コクリと頷いた私に、椿さんは一瞬、キラッと目を光らせた。

「お饅頭屋のおばさんはね、私を小さい頃から知ってるの。だからそのおばさんが間違えるなんてよっぽど私達って似てるんだわ…!」

「そ、そうかな…?」

正直、椿さんの方が色白でほっそりとしていて綺麗だと思うのだけど…。

「もしかしたらお父様達でも気づかなかったりして…」

「いや、ご両親は流石に無理があるんじゃない?」

椿さんの両親ってことは…えっと、曾祖母の親だから…何て言うのかな…?
簡単に言えば、"ひいひいお祖父ちゃん"と"ひいひいお祖母ちゃん"ってことだよね?

1人頭の中でそんな考えを巡らせていると。

「椿さん、葵ちゃん、お茶持ってきました」

サッと部屋の入口の障子が開き、ひょこっと顔を覗かせたのは泰葉さんだ。

彼女が持ってきたお盆の上には、お茶だけじゃなくちょっとしたお茶菓子ものっていて。

それを見つけた椿さんは嬉しそうに「泰葉さんったら、気が利くわ〜」と呟く。

「2人とも、ええですか?私は店番に戻らないといけないからこれで失礼しますよ。時間厳守やから葵ちゃん、気いつけて」

「は、はい…」

「うん。ええ子やね」

コクコクと首を縦にふる私を見て、泰葉さんはフッと小さく笑みを浮かべた。