「葵ちゃん、私と同い年なのね!周りにあまり同年代の女の子がいないから嬉しいわ…!山の麓って言うと、もしかして菖蒲寺があるあたりかしら?」

「そ、そう…!…です」

まさか彼女の口から"菖蒲寺"というワードが出てくるとは思わなかった私は、ついタメ口で話してしまい慌てて「です」と付け加えた。

「まぁ。葵ちゃんったら私達同い年なんだから、普通に話してくれていいのよ?私のことも名前で呼んでくれると嬉しいな」

「あ、はい…じゃなくて。うん…。じゃあ、椿さんって呼ぶね」

「椿でいいのになぁ」

流石に自分の曾祖母を"ちゃん"付けで呼ぶのには少し抵抗がある。

あははと、苦笑いを浮かべる私に「まぁ、徐々にでいいか」と椿さんはクスッと微笑んだ。

「あ、あの!椿さんは菖蒲寺の方はよく行くんですか??」

「私?そうね…。前はよくお参りしに行ってたんだけど、最近は体調崩すことが多くて行けてないの。それに…お父様が心配するから」