…!!

まさか椿さんの方から、私と話したいと言ってくれるとは思わなかった。

私にとっては願ったり叶ったりのシチュエーション…。

だけど。

「えっと…。私は暇なので全然大丈夫ですけど…お身体は大丈夫ですか?」

そう心配なのは彼女の体調。

先ほども咳をしていたし、私と話をすることで身体の負担にならないかと気にかかったのだ。

「あら、葵ちゃんは本当に優しいわね。ふふ。もう熱もないのよ?ただ、お父様が心配性で…咳がよくなるまでは部屋から出てはいけないと言いつけられてしまって。だから気にしなくて大丈夫。ねぇ、泰葉さん…!お茶を入れてきてもらえないかしら」

クスッといたずらっ子のように微笑んだ椿さんは、私の横に立っていた泰葉さんに向かってそう声をかける。

「椿さん…旦那様に内緒でそれは…」

「うーん…。じゃあ、彼女を私と間違えて連れてきちゃったことに関してはお父様に秘密にすることでなかったことにしましょう?ね!決まり!」