「また元気になったら一緒に買いに行けばええからね。さ、部屋についた!はよ、お布団に横にならんと…って。あら?」

サッと障子を開けた先には、一組の布団が敷かれてある。さらにその奥には小さな座椅子が1つ。

そして、そこに腰掛けた少女が私達の方向を向いた時、私は思わず息を呑んだ。

「……っ」

ひと目見てすぐにわかった。
彼女が私の曾祖母"椿さん"なのだと。

だって、写真に映っていた姿よりもずっと…自分に似ていたから。

「…コホッ。泰葉(やすは)さん?そんなに慌てて何かあったんですか?それに…そっちの女の子はどなた?」

小さく咳き込んでいる様子を見ると、まだ椿さんの体調は万全ではないようだ。

「あ、あの…。あれ椿さん?そしたら、こっちの子は…え?」

"泰葉さん"と呼ばれた女性は、私と椿さんの顔を交互に見つめ戸惑っている。

「…貴女はどなた?」

そんな彼女の代わりに、淡々とした口調で椿さんが尋ねてきた。

「私は"菊池葵"と言います。ごめんなさい。さっきから人違いされてるようだったので間違えであることを伝えようと、声をかけてたんですけど…」