な、何…?

突然、駆け寄ってきた女性に戸惑う私をよそに。

「貴女、誰かと思えば椿さんやないの!もう、こないな所で何してはるの?まだ体調が良くないってお手伝いのウメさんが言ってたわ。ほら!はよ部屋に戻らんと…!」

見知らぬ女性はそう言い放ち、私の腕をガシッと掴むと、ほぼ強制的に屋敷の中に連れて行く。

「あ、あの…ちょっと待ってください」

必死に自分が椿さんでないことをその女性に説明しようと、声をかけるも…。

「だーめ。病人は寝てなあかんよ」

と軽く一蹴されてしまう始末。

駄目だ…。
この人全然話聞いてくれないんだけど…。

未だに私の腕をしっかりと掴むものだから、逃げることもできなくて。

結局、私は、諦めて屋敷の廊下をその女性と一緒に進んだ。

「あら?甘い匂いがしはると思ったらそれお饅頭…?は!わかったわ。椿さん、お饅頭が食べたいからって無理したのね?もう、お菓子くらい私に頼めば買ってくるのになぁ〜」

途中、私が胸に抱えていた紙袋に目をやり、女性は小さく肩を落とす。