「えっと…私も小さい頃、母さんに見せてもらったことがあったのよ。…あ!この人、葵、この真ん中の女の人が椿おばあちゃんよ」

母は、嬉しそうに目を細めて私にアルバムを差し出す。

「椿おばあちゃんの写真、懐かしいわ〜。母さんが大事にしてたものね。あら、少し葵に似てるんじゃない?」

私の隣から菫おばさんが写真を覗きこむと、驚いたように私と椿おばあちゃんの写真を交互に見つめ、そんなことを言い出した。

「やっぱり、血筋なのね。ねぇ、姉さん。母さんが葵のこと特別可愛がってたのも椿おばあちゃんに似てたからかもね」

「そう言われて見ると、確かにちょっと似てるわね。葵って私にも父親にもあんまり似てないとは思ってたけど隔世遺伝ってやつだったのかしら」


…似てる、かな??

母と菫おばさんとの会話を聞きながら、私は、まじまじとアルバムの写真を見る。

古い白黒の家族写真には、椿おばあちゃんらしき女の人。

そして、その手には、まだ小さな赤ちゃんが写っている。

たぶん、この赤ちゃんが桜子おばあちゃんなんだろうな。