ガタン、ガタン。
「わっ…」
舗装されていない山道は、凹凸が多くてかなり揺れる。
野菜が乗っているからそこまでスピードは出ないものの、私は、乗り慣れていない馬車の揺れに悪戦苦闘していた。
「嬢ちゃん、大丈夫かい?結構揺れるから気をつけてな」
そんな私を気遣って、次郎さんが声をかけてくれる。
「は、はい。なんとか大丈夫です…!」
「町までは、馬車でも小一時間はかかるからな。あんまりきつかったら言うんやで」
「…はい!頑張ります」
心配かけまいと元気よく、返答しつつも"小一時間"というワードに若干、私は心が折れそうだった。
私、耐えられるかな…。
「次郎さんは、毎日ここの道で町まで行くんですか?」
気を紛らわせるため、馬車を操縦している次郎さんに声をかけてみる。
「あぁ。そうや、昔と比べるとこの道もだいぶマシになったんやけどなぁ。それにしても今日は晴れてよかった。雨やともっと大変になるからな。嬢ちゃん、ついてるで」
確かに雨の日だと、道もぬかるんでさらに馬車は進みにくくなるだろう。
この現状を鑑みると、元の世界の道路がいかに整備されていたのかということがわかる。