翌日。

「それじゃ、行ってくる。葵ちゃんは無事に送り届けるから任せな」

そう言って、野菜を荷台に積み込みつつ、私が乗るスペースを確保してくれている次郎さん。

「よろしくな」と、次郎さんの背中を叩く幸枝ちゃんのお父さんは少しだけ心配そうな表情だ。

「いってきます…!」

見送りに来てくれた幸枝ちゃん家族に元気よく言葉をかけ、私は馬車の荷台に乗り込んだ。

「葵ちゃん、気をつけてな。夕方にはちゃんと帰ってくるんよ。夕ご飯美味しいもの作ってまってるから」

「葵ちゃん、椿さんと会えるとええな」

幸枝ちゃんのお母さんと、幸枝ちゃんも続けざまに私に声をかけてくれる。

「はい…。ありがとうございます。…幸枝ちゃん、私、必ず椿さんに会ってくるよ」

荷台から2人にそう答えた私に対して、コクリと幸枝ちゃんは頷いた。

その時。

「それじゃ、出発だ…!さ、行くぞ」

次郎さんのかけ声と共に、馬車がゆっくり動き出す。

私は、3人の姿が見えなくなるまで手を振り続けたのだった――。