「母さん、知ってるん?やっぱり、昔いなくなったって住職さんが言ってたこと本当やったんやね」
「えぇ。確かに…そんなことあったわ。ねぇ、あんた」
「あー…覚えとるよ。まだ幸枝が小さい時やな。確か村の男、総出で探したわ」
幸枝ちゃんのお父さんも、お母さんも思い出したように言葉を紡ぐ。
そんな中。
“城崎呉服屋のお嬢さん”と、幸枝ちゃんのお母さんが発した言葉に私は改めて確信を持った。
城崎椿。
それは日記帳に記載されてあった名前と同じ。つまりは、私の曾祖母と同姓同名。
繋がった…。やっぱり、そうなんだ。
予想はしていたが、ここまでピースが当てはまると少し怖い気もする。
「あの…!その、椿さんってどういう人…ですか??」
「そやねぇ…。私等よりは町によく行く隣の次郎さんの方が知ってはるんやないかな?」
「そうだ…!父さん、母さん。実はその椿さんに葵ちゃん、会いに行って話を聞きたいらしいんよ。明日にでも次郎おじさんに乗せてってもらえんかな?」