「神社って菖蒲神社?」
「うん。なんでかわからないけど…やっぱり少し気になってて…」
上手く言葉では説明できない分、ジッと真剣な表情で幸枝ちゃんを見つめる。
「別にええよ。すぐそこやし」
そんな私の気持ちを察してか、幸枝ちゃんは二つ返事で了承してくれた。
「ありがとう…!」
そうお礼を言いつつ、石段をタタッとかけ下りた私は、幸枝ちゃんの隣に並ぶ。
「でも、確か神社の方は…小さな鳥居と社があるくらいで…他にはなーんもないけどなぁ」
「うん…だよね。でもなんだか懐かしいような気がして…。それに行ったら何か思い出しそうな…」
そこまで呟いた瞬間。
「キャッ…!」
「何…!?」
突然、強い風が吹き荒れ、近くの木々や咲いている菖蒲の花びらが舞い上がる。
危険を感じ、とっさに顔を手で覆った私が、ギュッと目を閉じた時だった。
『つ、ばき…?』
え…?
聞こえてきたのは若い男性の声。