「じゃあ、明日の予定も決まったし、とりあえず1回家に帰ろか。早く隣のおじさんに頼みに行かなやし」

「うん…!」

湯呑に入ったお茶を飲み干すと、サッと立ち上がった私達。

その動きがタイミングを合わせたかのようにほぼ同じで、私と幸枝ちゃんは思わずお互いの顔を見合わせて「フフッ」と吹き出していたのだった。


✼•✼•✼


「さ、行き道よりは帰りの方が幾分か下りで楽だやけど、距離はあるからなぁ。葵ちゃん頑張らなよ」

菖蒲寺からの帰り、再度上ってきた石段を下っていると、幸枝ちゃんにそう励まされる。

「が、頑張るよ…!」

せめて置いていかれないようにしないと…!

内心、そんな気合をいれ直し、歩む足に力を込めた時。

ふと、先ほど見えた小さな赤い鳥居に目が向いた。

菖蒲神社。

やっぱり、何か気になるんだよね…。

せっかくここまで来たし、ちょっと見るくらい…いいよね?

「ねぇ…!幸枝ちゃん、私せっかくだし神社の方も見てみたいんだけど」

私の前を歩く幸枝ちゃんの背に向かって、声をかける。