「すまないけど、私が知っているのはそのくらいでね…。まぁ、せっかくここまで来てくれたからゆっくりしていってな。私は今から寺の仕事があるからここらでお暇するけど…また、何か聞きたいことがあればいつでもおいで」

最後に私達にそう声をかけた住職は「よっこらしょ」とゆっくり重い腰を上げた。

「ありがとうございます。とりあえず町に行って椿さんに会ってみたいと思います」

私も慌てて立ち上がり、小さく会釈を返す。

住職のおかげで、有益な情報を得られたし本当に助かりました、ありがとうございます。

そんな気持ちを込めて私は微笑んだ。

「お茶頂いたら、帰りますね!」

「あぁ、そうしんさい。それじゃ、幸枝ちゃん。それに葵ちゃん…気いつけて帰るんだよ」

「「はい」」

ニコリと柔らかい笑みを浮かべ、住職は客間を後にする。

残された私と幸枝ちゃんは、その姿を見りると、お互いに顔を見合わせた。