「…えっと、葵ちゃんは椿お嬢さんの知り合いかい…?」

私の問いかけに少し怪訝そうな表情の住職は、私の目を見つめ、そんな質問を返してきた。

あれ、なんか怪しまれてる…?

そりゃそうだよね…急に住んでる場所なんか聞いたりしたら何かあるのかって思われてもしょうがない。

「いや、知り合いってわけではないんですけど…あの」

しどろもどろになりつつ、弁明を試みる私。

別に悪いことをしようってわけじゃないんです!ただ、おばあちゃんの所在を知りたいだけで…!

心の中ではそう叫びつつも、口に出せるはずもなく…。

どう返答しようか1人、戸惑っていると。

「葵ちゃん、もしかして何か思い出したの!?」

私にササッと詰め寄った幸枝ちゃんは、目をキラキラ光らせている。

そして…。

「…どういうことだい?幸枝ちゃん」

彼女の言葉に、私より先に反応したのは住職だった。

「あのな実は今日ここに来たのも住職に葵ちゃんのことを相談したかったからなんよ。葵ちゃん、昨日畑の真ん中で倒れとったのを助けたんやけど…記憶もないし、うちの母さんが、神隠しにでも合ったんやないかって…」

私の代わりに幸枝ちゃんは、事情を住職に説明をしてくれる。