木箱から出てきたのは、分厚い古い日記帳。

色褪せた表紙は元々綺麗な椿の花が描かれていたようだ。

これ、桜子おばあちゃんが書いたのかな?

そう思い、パラパラとページを捲ってみる。

「うわぁ、びっしり書いてあるなぁ。それにめっちゃ字が達筆…。うーん…何て書いてあるんだろう。でも、おばあちゃんってこんな字書いたっけ?」

不思議に思いながらも、そのまま日記を捲る私。

「…城崎(しろさき)椿(つばき)?誰だろ…?」

すると、最後のページにそんな名前を見つけ、私は小さく首を傾げる。

聞いたことない名前だけど、日記帳も椿の絵柄だし…おそらくこの城崎椿という人の書いたものなのだろうということが伺えた。

そして、最後のページには…。

「…手紙?」

もとは白い綺麗な封筒だったのだろう。
年月がたち、だいぶ色褪せてしまっているそれは、封が閉じられたままの状態で挟まれていた。