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「ふぅ…。幸枝ちゃん、お寺ってあとどのくらい…?」
朝食の後片付けが済んだ後、私は幸枝ちゃんの案内でお寺へと続く山道を歩いていた。家を出てから、小一時間歩きっぱなしでそろそろ私の体力も限界に近い。
普段、あまり運動しない体力皆無の私にとっては、かなり苛酷な道のりだ。
しかし、幸枝ちゃんはというと…。
慣れているのかケロッとした顔つきで黙々と山道を進んでいく。
「葵ちゃん、山道は慣れてないんやねぇ。この辺で休憩にしよか?」
「う、うん…!ぜひ、お願いします」
ようやく休めると、私が表情を輝かせるとクスッと笑う幸枝ちゃん。
「そこの川辺で休もう」という彼女の提案で近くに見えた小川付近の石に私は腰掛ける。
ふぅ…足がパンパンだ。
ふくらはぎ付近をマッサージしながら私がひと息ついていると。
「はい、葵ちゃんもお水飲むやろ?」
そう言って、幸枝ちゃんは筒に入った水を差し出してくれた。