「うわぁ…美味しそう」

目の前には炊きたてのご飯に、山菜の煮付けに湯気が立ち上ったお味噌汁が並べられてある。

私は言われた場所にソッと座り、目の前に並べられた朝ご飯を見つめていた。

すると。

「ふふ。母さんね、葵ちゃんがおるからって張り切ってつくったんよ。一応言っとくけどいつもこない豪華やないの」

コソッと耳打ちした幸枝ちゃんは、いたずらっ子のようにフフッと微笑む。

つられて笑顔になる私に対して「さ、2人共あたたかいうちに食べてな」と幸枝ちゃんのお母さんが促した。

「はーい。いただきます」

「いただきます…」

手を合わせ、箸と茶碗を持つと私は一口ご飯を口に運ぶ。

何もつけていないのに、甘みがあるご飯に私は驚いて目を見開いた。

「お米…とっても美味しいです」

「あらあら、嬉しいこと言うてくれるね〜。それうちで作った米なんよ。その山菜もよく味が染みてるけ、食べてな?」

「は、はい!いただきます…!」

美味しいお米に箸も進み、普段であれば食べきれない量をペロリと平らげてしまう。

ご飯、お代わりなんて久しぶりにしたな…。