「それじゃ葵ちゃん、おやすみ」
「うん、おやすみ…」
そう言葉を交わした私達は、お互いが敷いた布団に横になる。
ふわぁ…眠い。
どうやら、自分で思っていたよりも疲れていたようで、布団に入って数分後には、睡魔が襲ってきた。
隣ではすでに幸枝ちゃんの規則正しい寝息が聞こえてくる。
夢うつつで、うとうとする中。
目が覚めたら、全部夢だったらいいな――。
そしたら、お母さんや菫おばさんにリアルな夢を見たよって笑い話ができるのに。
そんな思いが脳裏をよぎる。
でも、一方で「幸枝ちゃんと出会ったことだけは夢じゃなくてもいいなぁ」と考えている自分もいて…。
そんな矛盾した考えに思わず自嘲的な笑みが溢れた。
明日、椿さんについて情報を集めないと…あと、菖蒲って人についても…。
だんだんと眠気に襲われ、思考が続かなくなってきた私。
そして、いつの間にかそのまま眠りについていたのだった――。