目の前にいたのは、母や菫おばさんと同い年くらいの中年の男女と、私と同い年くらいの女の子。
…だ、誰?
さっきまで寝ていたはずなのに、起きたら知らない人が目の前にいて、思わず身体が強張った。
しかも、なんというか3人とも服装が…変。
私と同い年くらいの女の子でさえ、昔のドラマで見るようなもんぺを履き、足元は草履だし…。
もしかしてドラマの撮影か何か?
そんなことを考え込んでいると。
「怖がらないで大丈夫や。うちは幸枝(ゆきえ)あなた名前は?どこから来たん?」
そう行って、声をかけてきたのは私と同年代に見える少女だった。
健康そうな日に焼けた肌に、頬にはそばかす。髪の毛はおさげに結われている。
幸枝と名乗った彼女は、優しそうな笑顔を浮かべ私の瞳を覗き込んだ。
「私は…葵。菊池葵…です。家の居間で寝ていたはずなんですけど…気づいたらここにいました…」
ポツリポツリと話し出す私の言葉を幸枝と言う少女と、中年の男女は真剣な表情で聞いてくれる。