難しい話だよね…。
両者の気持ちがわかるからこそ、胸が痛んだ。
「そういう理由があったんですね…」
「えぇ…。でもね、私はただ1人の妹のことすごく大事に思ってるし、せめて百合の命日くらいはお墓に行きたいと思ってるのよ」
え…、命日って。
ハッとした表情を浮かべた私に対して、椿さんはコクリと頷く。
「そうなの。実は、明日が百合の…妹の命日なのよ。本当はコッソリ行こうと思ってたのだけど体調も崩してしまったし…。葵ちゃんに頼むのは心苦しいのだけれど…他に頼れる人もいなくて」
申し訳無さそうに表情を曇らせた彼女のことを不憫に感じた。
お参りくらいなら、私でもできるし。
それに菖蒲寺にはまた行かないとと思っていたからある意味一石二鳥ではある。
「まかせてください…!私、椿さんの代わりに百合さんのお墓参り行きますよ」
「葵ちゃん…ありがとう」
椿さんの瞳が涙で潤んだ。
「私も、菖蒲寺にはまた行かないといけないって思ってましたし…!それに私の記憶のカギもたぶん、あそこにある気がしてて」