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「え?吉澤家の幸次郎さん?あー…確かに以前、何かの集まりでお会いしたことがあった気がするわ。挨拶をした程度だったけれど…その人がどうかしたの?」
キョトンとした表情で私を見つめる椿さん。
「あ…実は昨日偶然声をかけられて。私の声を聞いて椿さんじゃないってわかってた様子だったから仲が良いのかなと思って…体調も心配してたみたいだし」
「そう…。うーん、吉澤のおじ様なら顔もすぐにわかるのだけれど…息子さんの方はあんまり覚えていなくて」
困ったように首を傾げる彼女に私は「そうなんですね」と相づちを打つ。
どんまい、幸次郎さん…。
でも、私は応援してますから!
心の中でソっと彼に同情する私。
「ふふ。でも、私の身体のことを気遣ってくださったのね…。今度お会いする機会があればお礼を言わないとね」
クスッと嬉しそうに椿さんは微笑むと、そう言って私を見つめた。
もしかして私、ナイスアシストだったんじゃない?
椿さんも幸次郎さんに好印象を持ったようだし、結果オーライだ。