タマゴを見つめていると、ひとり試したい人が思い浮かんできた。

 今年八十歳になるおばあちゃん。
 
 私は両親とおばあちゃん、四人で築四十年の一軒家に暮らしていた。おばあちゃんはあまり部屋から出てこない。話しかけても返事をするだけで会話もあんまりしない。

 おばあちゃんは私のこと、どう思っているのだろう。ちなみに私はおばあちゃんのこと、ふわふわした雰囲気で静かな妖精みたいで可愛いなぁと思っている。

 どうしようかなと迷っているうちに、二日経った。

 タマゴを渡してみようかな? 

 でも渡す時、なんて言えばいいんだろう。普段あまり話をしないから、いきなりお願いをするのは少し気が引ける。


 結論は出ないまま。とりあえず学校から帰り、セーラー服から私服に着替えるとおばあちゃんの部屋に向かった。