生産職から始まる初めてのVRMMO

ん?なんかきた。





イベントのお知らせ


『第一回 3日間サバイバルイベント』

●開催日時
現実時間 9月25日 20:00〜23:00

●イベント内容
ゲーム時間で72時間の間、装備一式以外アイテム未所持状態でサバイバル生活をしていただきます。
各地にいくつかベースキャンプエリアが設置してあり、外側からも内側からもダメージが当てられないようになっています。
このステージでしか手に入らないアイテムを多数用意しておりますので皆様のご参加お待ちしております。

●詳細内容
ゲーム内時間10時までに第1階層の街噴水前に集合

イベント専用世界に転移

イベントスタート

終了1時間前に鐘がなります


また、《アイディアルワールド・オンライン》の初のイベントとの事で下記日時より前夜祭を開催いたします。

『初イベント前夜祭』
●開催日時,場所
現実時間 20:25〜(ゲーム時間 明日10:00〜)
第1階層 噴水前

●イベント内容
第1階層の街で様々なミニイベントを開催いたします。
また、前夜祭記念アイテムの配布もありますので是非ご参加ください。



尚、今回のイベントでアップデートなどはございません。






そういえばそんな事も書いてあったね!

今日かー。

装備作り終わってたら行こうかな。

とりあえず装備作ろ!

「ライムー、おまたせ!これから装備作るよー!」

「やったー!楽しみ〜♪」

まずはライムの装備から作ろう!

まずはどんなのがいいかだよねー…

作りたい服の色の糸も無いしとりあえず熊の毛とマラカイトでも使って動きやすい感じのドレスワンピースみたいなの作ろうかな。

清流熊の毛とマラカイトのインゴットをとりあえず糸にしようかな!

毛の方はいいとして問題はマラカイトの方だよねー。

ある程度細くしたら錬金したら出来ないかな?

やってみよっかな!

まずは毛を錬金で糸にっと。


●清流熊の細糸
評価 : 10


うん、これはまあ出来るよね。

とりあえずレシピ作っちゃお。

………

《細糸生成 評価10のレシピを習得しました》

さて、次は問題のマラカイトの糸だね。

まずは鍛治で槍作ったときくらいの棒まで伸ばしたら、次にお店で売ってるミシンの糸をイメージしながら…スキル錬金!

…あ、失敗した。

やっぱ難しいかー…

もう一回!

糸がくるくる巻いてあるイメージで…スキル錬金!

ダメかー…

現状そこそこ貴重なマラカイトが…って!

ライムの可愛い姿のためなら『背に腹はかえられぬ』だね!

頑張ろ〜!

………

28回目でやっと出来た〜!

練習のためにインゴット1/4ずつ使っててよかったー…

ここからが本番だよ?

まずは…スキル錬金!


●マラカイトの細糸
評価 : 10


よっしゃ!

とりあえずこれもレシピ作っとかなきゃね!

………


《鉱石の細糸 評価10のレシピを習得しました》


ありゃ、10のレシピ作るのに17回もかかった…

これはレシピ作っといてよかったやつだね。

間違いなく…

そしたら次はさっきの糸と今の糸を合わせて…スキル錬金!


●錬金糸(清流熊.マラカイト)
評価 : 10
特徴 : 両者の特製を併せ持つ錬金糸


なんか凄そうなの出来た。

くるくる巻ければ良かったのにくっついちゃったね。

エメラルドグリーンですごい綺麗だからいいんだけど。

とりあえずくるくる巻いたやつも作ってみよ。

短いの作ってレシピ出来れば長いのも作れるよね…?

流石にあの長さ10個はきつい…

とりあえず30cmくらいで…


●合成糸(清流熊.マラカイト)
評価 : 10
特徴 : 裁縫により作られた複数の糸を合わせた糸


あれ、出来た。

あ、そういう事だったのね。

さっきのは錬金でこっちは裁縫なんだ!

とりあえず2つともレシピにしちゃって量産しようかな!

………


《錬金糸 評価10のレシピを習得しました》

《合成糸 評価10のレシピを習得しました》


さて、出来たし早くライムの服完成させてあげないとね。

まずは元となるワンピースを作って、その後にフリフリとか飾りつけてく感じで行こうかな!

服は家でも作ったことあるし、ちゃっちゃと終わらせちゃおうかな!

ゲームだから計測しなくていいんだよね。

大きさが勝手に調整されるってよくよく考えると凄いよね。

この間白いワンピース作った時は裁縫キットみたいなの使って作ったけど、これ布にするまで錬金でできたりしないかな?

一回やってみよっか!

とりあえず糸をいっぱい作ってやってみよう、《スキル錬金》!


●錬金布(清流熊.マラカイト)
評価 : 10
特徴 : 錬金で作ったため普通の布よりも丈夫


おー、これってもしかしたら錬金使って色んなもの作れたりするのかな?

また今度試してみよっか!

そしたら布作って一気に編んで終わらせちゃおー!


《錬金布 評価10のレシピを習得しました》


………

んー、ライム用だし胸元はあんまり開けないで…

………

袖はとりあえずつけなくていいかな…

………

スカート丈は膝上くらいで…

………

この辺で《スキル付与 剣撃速度増加 斬撃強化》!

………

こんな感じかな!

そしたら合成糸の方で今度はフリフリとかつけちゃお!

「まだ出来てないのー?」

「そうだよー。この後もっと可愛くするんだよー!」

「わかったー!」

………

肩にこれつけるでしょ…

………

あと、胸元とお腹周りにはこんな感じで…

………

スカートには少し多めに下に行くにつれて波を大きくして行く感じで…

………

最後に腰のところに大きめのリボンをつけて…

………

よし、こんなもんかな!


●清流のドレスワンピース
評価 : 10
能力 : DEF+15 MDEF+20 VIT+5 MADEF+5
水属性強化(小) 水耐性(中) 反射速度強化(小)
付与 : 剣撃速度強化(小) 斬撃強化(小)


おー、なんか強そう!

「ライムー、おまたせー!」

「やったー!」

「あっちで着替えておいで…って、もう脱いでるし…」

「これどう着るのー?」

「えっとね、ここをこうしてー、こうすると、ほら!」

「わー!着れたー!」

「フウ、似合うー?」

「うん!すっごく可愛いよ!」

ほんと良く似合ってるよ!

髪と瞳の色にもすごいマッチしててほんと可愛い!

「フウ、ありがとー!」

さて、次は自分のだね。

熊の毛でいいかなもう。

自分のとなるとめんどくさくなるんだよねー…

わかる人絶対いると思うんだよね、この気持ち。

おっと、それはさておき早く作っちゃわないとね。

熊と猪の素材でもういいかな。

あと、マラカイト使って。

この間の黒蛇のところにいっぱいいたもんね。

あっ!

黒蛇!

黒蛇の素材余ってたし使っちゃおー!

まずは熊と猪の皮錬金で合成できないか試してみよっか。

熊と猪の皮重ねて、《スキル錬金》!


●合成皮(清流熊.大猪)
評価 : 10
特徴 : 清流熊の弱点の耐久性を大猪の強靭さで補強した物


いい感じに上手くいったね!

そしたらマラカイトで基盤を作って…

合成皮と黒蛇の皮をこうして…

ここをこことくっつけて…

あ、ここもこうしておこうかな!…

最後に黒蛇の鱗をこうして…

ここもあったほうがいいよね!…

よし、できた!


●清流の髪飾り(黒蛇強化版)
評価 : 10
能力 : DEF+10 MDEF+20 DEX+20
水耐性強化(小) 水属性攻撃強化(小)
物理攻撃軽減(中) 属性攻撃強化(小)
付与 : 攻撃力強化(小) 魔法攻撃力強化(小)

●清流の軽鎧(黒蛇強化版)
評価 : 9
能力 : DEF+10 MDEF+15 DEX+15
水耐性強化(小) 水属性攻撃強化(小)
物理攻撃軽減(中) 属性攻撃強化(小)
付与 : 物理攻撃軽減(小) 魔法攻撃軽減(中)

●清流の腕当て(黒蛇強化版)
評価 : 8
能力 : DEF+10 MDEF+13 DEX+10
水耐性強化(小) 水属性攻撃強化(小)
物理攻撃軽減(中) 属性攻撃強化(小)
付与 : 生産速度強化(小) 生産効率強化(小)

●清流のスカート(黒蛇強化版)
評価 : 10
能力 : DEF+10 MDEF+20 DEX+20
水耐性強化(小) 水属性攻撃強化(小)
物理攻撃軽減(中) 属性攻撃強化(小)
付与 : 回避率強化(小) 回避速度強化(小)

●清流の靴(黒蛇強化版)
評価 : 7
能力 : DEF+10 MDEF+12 DEX+7
水耐性強化(小) 水属性攻撃強化(小)
物理攻撃軽減(中) 属性攻撃強化(小)
付与 : 移動速度強化(小) 跳躍強化(小)

●清流のマント(黒蛇強化版)
評価 : 10
能力 : DEF+10 MDEF+20 DEX+20
水耐性強化(小) 水属性攻撃強化(小)
物理攻撃軽減(中) 属性攻撃強化(小)
付与 : 物理耐性(小) 魔法耐性(小)


全部10じゃないのがなんか悔しい…

まあ私のだし、いっか!

次いこ、次!

次はジュドラの装備だね。

輝岩竜かー。

多分鎧とかにしたほうがいいんだろうなー。

鍛治か…

骨の時みたいな感じなのかな?

とりあえずカンカンするって事だね!

最近鍛治使うこと多いからだいぶ慣れたんだよね。

とりあえず始めちゃおうか!

まずは骨をインゴットにしなきゃね。

レシピ無いから打たないとだね…

カンッカンッカンッ…カンッカンッカンッ……

ふぅー…


●輝岩竜のインゴット
評価 : 10


やっぱ鉱石と違って骨は疲れるね。

ってか、最近ほとんど評価10しか出てない気がする…?

なんか理由でもあるのかな?

嬉しいからいいんだけどね〜!

ささ、気を取り直して全部作っちゃお!

カンッカンッ…カンッカンッ…カンッカンッ……

とりあえず終了。

あとちょっとでレシピ出来るね!

素材が少ないとやっぱり大変だなー。

この間兎の骨インゴットにしてみようとしたけど出来なかったからなー。

どんな条件があるかわからないけど、モンスターに格付けとかあるのかな?

まあいいや、早く作って前夜祭行かないとね!

ジュドラ、確か斧ぶん回すとか言ってたな…

そしたら付与は攻撃力強化と魔法防御強化でもつけようかな。

斧は…

何がいいかな…

とりあえず防具の原型皮で作っちゃおうか!

って言っても前作ったことあるし、原型は簡単だからすぐ終わるんだけど…

ちゃちゃっとね♪

………

よし、次は輝岩竜の素材!

黒紅石とインゴットだね。

普通にやればいいよね?

カンッ…カンッ…カンッ…カンッ…カンッ……

ここで《スキル付与 攻撃力強化 魔法防御力強化》!

カンッ…カンッ…カンッ…カンッ…カンッカンッ……

こんな感じかな!

レイナの時同じ感じで作ったから比較的簡単に出来たなー。

あとは斧だね…

付与何にしよう…

斧…斧…斧…うーん…

攻撃力強化と衝撃強化とか…?

付与できるもののリストが欲しい…

あ、でもそうすると自由感が無くなっちゃうね…

難しいことはガゼルさん達に任せよう。

付与も決まったし早く終わらせないとね!

カンッカンッカンッ…カンッカンッカンッ…カンッカンッ……

うーん…ここをこうかな?

この辺で《スキル付与 攻撃力強化 衝撃強化》!

そしたらこの辺でスキル彫金で…

こんな感じかなー。

なんか呆気ないというかなんというか…

完成したからいいんだけどね。


●竜戦斧・黒紅
評価 : 10
能力 : ATK+100 STR+20
火属性(中) 闇属性(小) HP吸収(小)
付与 : 攻撃力強化(小) 衝撃強化(中)
特殊能力 :

●輝岩の竜鎧・頭
評価 : 8
能力 : DEF+35 STR+8 MND+8
付与 : 攻撃力強化(小) 魔法防御力強化(小)
特殊能力 : 全身装備時『火属性吸収(小) 防御力強化(小)』

●輝岩の竜鎧・胴
評価 : 9
能力 : DEF+40 STR+10 MND+10
付与 : 攻撃力強化(小) 魔法防御力強化(小)
特殊能力 : 全身装備時『火属性吸収(小) 防御力強化(小)』

●輝岩の竜鎧・手
評価 : 9
能力 : DEF+40 STR+10 MND+10
付与 : 攻撃力強化(小) 魔法防御力強化(小)
特殊能力 : 全身装備時『火属性吸収(小) 防御力強化(小)』

●輝岩の竜鎧・腰
評価 : 10
能力 : DEF+50 STR+20 MND+20
付与 : 攻撃力強化(小) 魔法防御力強化(小)
特殊能力 :
全身装備時『火属性吸収(小) 防御力強化(小)』

●輝岩の竜鎧・足
評価 : 9
能力 : DEF+40 STR+10 MND+10
付与 : 攻撃力強化(小) 魔法防御力強化(小)
特殊能力 : 全身装備時『火属性吸収(小) 防御力強化(小)』


さて、ジュドラの一通り出来たし後はライムの装備だけだね!

ライム武器は私みたいに短剣じゃ無いから背中に装備2本ともつける感じで行こうかな!

あ、でもその前におまけで指輪作っておこうかな!

簡単にできるし。

ここをこうやって叩いて…

ここをくっつけて…

最後に磨いて模様つけたらもう完成!


●輝岩竜の指輪
評価 : 10
能力 : ATK+3% STR+15


おぉー、そこそこ良い出来になったんじゃない?

素材が良かったからかな!

とりあえず出来たし、ライムの武器作らなきゃね!

でも素材何使おう…?

今あるのはマラカイトとか黒蛇の骨とかしか残ってない…

ライムに合わなそうな素材しかない…

とりあえず保留かなー。

「ライム〜、武器とりあえず無くても大丈夫ー?」

「んー、そもそも無くても大丈夫だよー?」

「それはダメだから今度作るね!」

「はーい、ありがと!」

さて、終わった。

…前夜祭行こ。

「ライムー、お祭り行くよー!」

「お祭り!?行く行くー!」

とりあえずジュドラに連絡いれとこ。

『出来たから大丈夫な時連絡ちょーだい』

っと。

それじゃあ前夜祭行こうか!

………

ピヨピヨッピヨ…

さて、イベント本番だね!

前夜祭も楽しめたし、ジュドラに防具も渡せたし思い残す事なくイベントに臨めるね!

それじゃあ噴水前まで行こう!

「ライム行くよー」

「しゅっぱーつ♪」
うわー…

凄い人の数…

まあでも人気のゲームだしゲーム始まって初めてのイベントだしこんなもんだよね。

おっと、そろそろかな!

『皆さん初めまして!私はこのゲームのGMを勤めさせて頂いております、ストルフィと申します!ついに始まりました、始まってしまいました!長々しいことはなしにして今は初めてのイベントを皆さんと一緒に楽しむとしましょう』

流石に大歓声だね!

「うわっ、誰!?」

「こっちで会うのもお久しぶりって感じだねー」

「びっくりしたー、アヤカか…」

「チーム系のイベントになるってメールにあったからフウの事探してたんよー」

「そうなの?あ、発表されるよ」

「いやー、待ってましたとも!」

『それではみなさんお待ちかね!イベントを早速始めていきたいと思います!というわけで、まずは5人組パーティーを作ってください!』

えっ4人も知り合いいないんだけど!?

アヤカにレイナにファイスにジュドラに…

って居たわ。

ただアヤカ以外他の人と組むだろうメンバーだなー…

「アヤカ組めるー?」

「とーぜんっしょ!そのためにここにいるしメンバーも集めてきたんだからね〜」

「集めたの?私の知ってる人って…えっ!?」

いやいやいやいや、今私が思ってたメンバーじゃん。

「え、アヤカが集めたメンバーって全員トップギルドのメンバーじゃん!?」

「なーに言ってんのさー、うちらのギルド何もしてないけど人数も満足度もトップクラスだからね?」

「そうよ?ほとんどの話題の中心にいる人が何を言ってるのかしら?」

「あー、もしかしてフウは掲示板見てない感じか…」

「そんな感じだろうな。一気に追い上げてそのまま去って行ったもんな」

え、ねえ、待って?

みんな何言ってるの?

私が私のために作ったギルドがトップクラス!?

それに満足度って何よ!?

「私状況が全然わからないんだけど…」

「まーまー、それは後で説明するとして今はPT組んでイベント楽しみましょうやー」

「わかったけど、後でちゃんと説明してよ?」

「はいよー」

(やいやい、みんな後は任せたみたいな目でうちを見るんじゃないよ!)

「みんな、そろそろよ」

『さて、そろそろ組み終わりましたかね。4人以下でも1人でもPT扱いとなりますのでご了承願います。それではみなさん、ご健闘をお祈りしています!』

………

ここが今回のイベントエリアかー。

どっからどう見ても山頂なんだけど…

「わー、雲海が綺麗だー」

「ほんと、凄く綺麗ね」

「いやいや、レイナ?私棒読みしたよね?」

「姉さん!俺も綺麗だと思います!」

「おい…」

「え、待って!ハズレって思ってるのうちだけ!?」

「そんな事ないわよ?確かに綺麗だけど厄介なのに変わりはないわ」

「ファイスってレイナの前だとキャラ変わるよね」

「フ、フウ!今それは関係無いだろ!?ってかそんな事はない!」

「んー、あるね?」

「そうなの?私の中ではこれがファイスなのだけど…」

「なあ…」

「ファイスってもしかして…?」

「あるかもねぇ〜」

「え、どういう事?」

「お前らいい加減に…」

「おい!!!」

………

うわっ、びっくりした…

「俺を蚊帳の外にするな!あと、喋ってないで攻略はじめないとダメだろ!?」

「あら、寂しかったのかしら?それにジュっくん硬いわよ?」

「せ、先輩!その呼び方はやめて下さいって!」

「「「えっ!?」」」

「あー、ごめんなさい。私たち職場が同じなのよ」

「いやー、これは三角関係の完成かな〜?」

「アヤカ、揶揄うのも良いけどジュっくんの言う通り今は攻略始めないとだよ!」

「お、おまっ…」

「そうだね〜。確かにうちもジュっくんの意見に1票かなー」

「お前まで…」

「………」

「ファイス、そこは乗らなきゃダメっしょ〜」

「いや、遠慮しておく…」

「ジュっくんって呼び方そんなにおかしいかしら?」

……30分後………

いやー、楽しかったけどだいぶスタート遅れたなー笑

今の状況説明すると、お喋りの後改めて軽く自己紹介をした後、少し下った所に洞窟を見つけて分かれ道であえて風が抜けてない方に進んでる所。

風が出てる方は出口だろうしどうせなら、ね?

ってみんなの意見が一致して今の状況。

「にしても少しモンスター強くないか?」

「確かに2層目か3層目くらいの強さはありそうだな」

「でも、ファイスがフウ装備じゃないっていうのも理由の一つかもしれないわね」

「さっきも言ってたけどそのフウ装備って何?」

「あぁ、掲示板で話題なんだが、フウの量産装備じゃない特注装備の事をフウ装備って言ってるらしいな」

「なにそれ…」

「いやー、俺も早く欲しいっす!」

「なんでそんなブランドみたいになってるの…」

「いや、弓が売りに出されてからずっと話題になってて、最近名前がわかってからもうずっとフウの装備はブランド物よ…」

「確かにねー!フウは間違いなく化け物だからなー笑 そんな人と契約交わせてるうちらは幸せ者だからねー」

「いつの間に…」

「おっと、お話は一旦中止だ」

「多いっすね…」

「なにこの気持ち悪いの…」

「蛇蝙蝠っぽいね、2層の洞窟でこの前似たような奴見たなー」

「やるしかないわよっ!フウ、みんなに付与お願い!」

「まずジュドラの分ね《スキル付与 攻撃力強化 連携強化 溜め時間軽減》!次ファイスの分《スキル付与 攻撃力強化 斬撃強化 攻撃速度強化》!次アヤカ《スキル付与 魔法攻撃力強化 連携強化 移動速度増加》!最後レイナ《スキル付与 攻撃力強化 貫通力強化 状態異常強化》!」

「ありがと〜」

「助かる!」

「サンキュー!」

「ありがとね!」

「って、打合せでは思わなかったけどみんな攻撃強化系なんだね…」

「ファイス、アヤカ、頼んだ!」

「「りょーかいっ」」

「ジュっくん!後ろもちゃんと警戒しなさい!」

「すんません、助かります!」

「わー、私やる事ないなー…」

みんな凄いよ、ちゃんと連携してるしそれぞれ役割分担されてるんだね。

みんな攻撃ばっかって思ったけど、ジュドラが壁しながら攻撃やってファイスは物理特化、レイナが遠距離から補助攻撃、アヤカなんて魔法剣で攻撃しながら回復までやってるよ…

最初は戦い怖かったけど今は面白そうなんだよね。

ステータス的には厳しいんだけどね〜…泣

「ほい、次っとっ!」

「アヤカ乗ってるわね」

「とーぜんよっと!多数相手は一番得意だからね!」

本当にいつにも増して楽しそう。

根っからの戦闘狂だからね。

「俺もやる事がほとんど無いくらいにな…」

「ほんと、化け物が多いと違うもんなんすね…」

「フウのバフがあるだけで威力が桁違いだものね」

「終わった終わったー、これじゃ肩慣らしにもならないやー…」

「おつかれ、私なにもできてないけど…」

「安心して、フウがいなかったらここら辺のモンスター私たち苦戦すると思うわ」

「ああ、先輩の言う通りだ」

「ジュっくんもレイナの前だとキャラ変わるよね〜」

「アヤカ、また長くなるから…」

………

ここまで結構降りてきたし、結構モンスター倒してきたのにまだ先があるよ…

ダンジョンって訳でもないのにどこまで続くんだろ…?

「おいおい、これって…」

「ちょっと待って、これミスリルじゃない!?」

「わー、またいっぱいあるね〜」

「確かにこりゃ凄い量だな」

「腕がなるね!」

………

「やっと終わったね〜」

「そうね、今だけで5セットと40個くらい集まったわね」

「ん?1セット確か99個だから…って、そんなに集まったの!?」

「面白いくらい集まったわよね。ちなみに私の分は全部フウに預けるわね」

「もちろんうちも預けるよー」

「まあ当然だな」

「当然っすね」

「え、?みんないらないの?」

「みんな欲しいわよ?でも、私たちが欲しいのはミスリル鉱石じゃなくてミスリル製のフウ装備なの。持っていても宝の持ち腐れって所よ」

「みんながいいならいいんだけど…」

そんなポンポン譲っちゃっていいものじゃ無い気がするんだけどなー…

確かまだ見つかってないんでしょ?ミスリル。

「それよかだいぶ時間掛かったし、先進んじゃおー?」

「そうだな」

「山頂が雲の上だったあたりちょうど中腹くらいかしら?」

「かもね〜。こりゃ足が疲れるわ」

ほんと足が疲れるよ。

戦いながらって言うのもあるかもしれないけど、それを言ったらみんなの方が疲れてるよね。

弱音吐いてないで頑張らなきゃ!

………

外ではその頃…

「おい、噂のフウが見当たらないぞ!」

「知らねーよ、スキャンにも引っかからないんじゃどっかでのたれ死んだんだろ」

………

「トップギルドのマスターがほとんどいないって噂本当なの?」

「全員揃ってる所1回でも拝みたかったのになー…」

………

「でもあの化け物連中が死ぬなんて事あるか?」

「そんな事ないと思うけど…」

………

「フウ様はいったい今どこでなにをしているのでしょ〜」

「あぁ、早くお会いしたいですね〜。我らが天使に!」

そんなこんなでフウ達はイベント参加メンバーの話題となっていた。

それも今回は別の意味で。

………

その頃フウ達はというと。

「くそっ、こいつ他の奴らと別格すぎやしないか!?」

「なかなか厳しい戦いっすね…」

このガーゴイル、本当に強い。

私戦ってないからあれだけど、みんなの表情が今までと違って本気だし、みんな凄い楽しそう。

あー、この気持ち。

凄いもどかしいというかなんというか…

めちゃくちゃ戦いたいんだけど!?

みんなの連携とかもそうだけど、こうなんと言うか目の前でこんなにも楽しそうな戦闘見せられたらそりゃね?

「門番くせーこいつがこんだけ強いんじゃあのデケェ扉の中にいる奴はどんだけ強いんだよっ!?」

「ジュっくん、つべこべ言わないで。ここまで来た以上あの扉の中の倒さないと帰れないんだから!」

「まあまあ〜、ボスがどんな奴にせよ通ってきた道ふさがれたら進むしかないよねっと!危ないな〜」

「こいつ消耗してきたみたいっすよ!」

「一気に畳み掛けるわよ!」

………

「疲労感半端じゃないな…」

「そうね…流石に私も疲れたわ」

「みんなお疲れ様。あんまり役に立てなくてごめんね」

「いやいやー、十分十分」

「間違いないな」

「サポート系は居たら心強いけど貢献出来てるかはわからないものね」

そうなのかなー…

何かないかな、生産職専用の武器みたいな物。

今は短剣、短刀しか装備出来ないからなー…

やっぱ専用武器欲しいよね!

今度考えてみよー!

サポートだけじゃなくて戦闘もやってみたくなっちゃったんだからしょうがないよね!

私もみんなと一緒に戦いたいし!

「みんなありがと、そろそろ扉の中入る?」

「そうね」

「準備はできてるぜ!」

「うちもオッケー!」

「俺も大丈夫っす!」

「それじゃあ行きましょうか!」

この緊張感、今までにない感じ。

私でもこの奥に強いのがいるってわかるよ…

「おもっ!?」

「ジュっくん、しっかりして?」

「先輩、本気ですって!」

「ファイス、手伝ってあげて?」

「わ、わかりました!」

「いくぜ?」

「「せーの!」」

「姉さん、これマジのやつです…」

「アヤカ、私達も手伝いましょ…」

「はいよー!」

「いくわよ!」

「「「「せーのっ!!!」」」」

「あー、これはダメだね〜」

「ほんとピクリともしないわね…」

「だろ?」

「アヤカ、どうしたの?」

「ひらけ〜ごま〜!」

………

「は…?」

「アヤカ、急にどうしちゃったのよ?」

「いやー、こういう扉の定番かと思ってさー。まあ、そう簡単にはいかないか〜」

こんな巨大な扉開くわけ…ってあれ?

少しだけど魔力が流れてる…?

気のせいかもしれないけど、そんな気がする。

「ん、ちょっといい?」

「お、フウもチャレンジか!」

「うちら4人でもダメだったんだよ!?」

「何か考えがあるのかもしれないわよ?」

「姉さんの言う通りっすよ!」

扉に手を当てて、扉に魔力を流し込むイメージでっ…!

「「「「!!!??」」」」

「う、嘘だろ…!?どんだけ馬鹿力なんだよ…」

「いやいやー、本当にやっちゃったよ…」

「でもどうして?」

「えっとね、扉に魔力が流れてる気がしたからもしかしたらと思って魔力を流しながら押してみたの」

まさか自分でも本当に開くなんて本気では思ってなかったんだけどね。

「「「そんな考えが…」」」

「扉の中はすごい広い空間みたいっすよ」

「間違いなくボス部屋だろうな…」

「ここからが本番だからな〜」

「フウ、みんなに付与お願い」

「りょーかい!」

………

「それじゃあ行くっすかね!」

「そうね!」

本当に何も見当たらない。

それに扉が大きいだけに中もすごく広い。

「ねえ、なんか風強くない?」

「てかこれ翼で羽ばたいてる風圧じゃねーか!?」

『コノ我ノ眠リヲ邪魔シタ挙句、我ノ住処二侵入シ宝マデ奪オウトシタ虫ケラハ貴様ラカ!我ノ力デ消シ炭二シテクレル!』

「こいつっ…」

「うっ…」

「2人とも大丈夫!?」

「いや〜、これは想定外中の想定外だよ…」

「ほんとっすよ…まさか…」

「ああ、まさかファフニールが出てくるなんて聞いてないぞ…」

「ファフニールってあの宝を守ってる竜の事だよね!?」

「ああ、これは厳しい戦いになるぞ…」

「とにかくまずはいつも通りやるしかないわ!行くわよ!」

「「「りょうかい!」」」

「ファフニールの鱗は硬いから気をつけてねっと!」

………

「っ!!?あぁ、こりゃ打撃が欲しい硬さだな…」

………

「速さが売りの俺は厳しいっすね…」

………

「私の矢も柔らかそうなところでやっとって感じだわ…」

………

「効いてる感じの攻撃はうちの魔法剣だけっぽいねー…」

「何か作戦考えないと、このままじゃ勝てないわよ…!」

どうしよう、このままじゃみんな負けて全滅しちゃうよ…

せっかくの最初のイベントなのにそんな結果で終わっちゃうなんて絶対につまらない。

私に何かできることがあればいいんだけど…

あ、ライム呼んだら少しは違うのかな…?

こんな所で隠して出し惜しみしてる場合じゃないよね!

「フウ、ライム呼ばないときついかもしれなっ…こうなっちゃった以上全滅よりかはマシだと思う!」

「うん、私もちょうど同じこと思ってた!ライム、お願い!」

「フウ〜?どうしたのーって、わっ!?」

「戦いの途中に呼んじゃってごめんね!私達じゃ倒せなさそうだったからライムに手伝ってもらいたいの!」

「まっかせるのー!」
「まっかせるのー!」

「だ、誰だよそいつ!?どっから出てきやがった!?」

「とりあえずその話は後よ!とりあえずこいつ倒さないと!」

「ねえ、ライム。光剣操りながらみんなの回復出来たりする…?」

「もっちろん!余裕なの〜♪」

「じゃあライムそれでお願い!タイミングとかわからなかったらアヤカに聞いて!」

「わかったのー!」

「アヤカ!ライムに回復任せたから全力でやっちゃって!」

「…っと、りょーかい!」

「俺らはどうしたらいい、さっきまで客観的に見てたフウが指示してくれ!」

「えっ!?私!?」

何がどうして私になったの!?

客観的にって言っても私ゲーム経験そんなにないよ?

って言ってもみんな戦闘で忙しそうだしやるしか無いのかな…

「フウ!フウなら出来るよ!」

「っちょ、アヤカ!?はぁ〜。わかった、少しだけ時間ちょうだい!」

どうしよ、まずみんなのメイン戦闘スタイルからだよね。

まず私は支援、ライムは全距離魔法火力と回復、アヤカは近距離魔法火力と回復、レイナは遠距離物理火力、ファイスは中距離高速物理火力、ジュドラは近距離物理火力+壁って感じかな。

…ただの脳筋パーティじゃん…

ライム呼ぶ前は私とレイナはほとんどダメージ入ってなかったから、これしかないよね!

「ライムはさっきの指示通りに!アヤカは近距離から、ファイスは中距離から、レイナは遠距離からもう全力でやっちゃって!あと、アヤカはライムが手に負えなかったり見落とした回復補って欲しいかも!ジュドラは壁しながら攻撃お願い!」

「りょうかいなの〜」

「難しいこと言うね〜、まあゲーマーの腕の見せ所だしやってやりますか!」

「りょうかいっす!」

「わかったわ!」

「それくらい出来なきゃギルメンに合わせる顔がねぇ!」

これで倒せなかったら責任重大だけど、私だってパーティの一人なんだからそれくらいの責任負わないとね。

………

「ちょっとまずいな〜、そろそろMP切れるわー…」

「ライムも危ないかもー…っ!?みんな広域麻痺毒ブレスが来るの!」

「なっ!?」

まずい!今そんなの直撃したらダメージだってまずいのに、麻痺毒なんて食らったら全滅しちゃう…

なにか、何か私に出来ること…

そうだ!

「《スキル広域付与 状態異常耐性強化(中)》!」

「みんな!防御態勢!!」

うっ、毒だけ入っちゃったか…みんなは!?

「毒だけだった人は麻痺入った人回復するまでカバーして!」

「すまん、一番入ったらまずい俺が麻痺入っちまった…」

「そういうの後にして、とりあえず耐性立て直さないとね〜っと!」

「私もクリスタルダガーあるから少し参戦するね!」

「おっけー!麻痺入ってないのうちとフウとファイス、あとはライムかな。ファイスとライムで麻痺入った二人にダメージ入らないように立ち回って!うちも出来る限る限りヘイト稼いで壁やるから!フウはとりあえず死なないで!」

「おうよ!」

「は〜い!」

どうしよう、不意に戦闘しなきゃいけなくなったからすごい緊張する…

でもなんでかすごいワクワクもしてるんだよね。

というかクリスタルダガー何が出来るか試してないよね…

まず属性は風属性、魔力放出って武器の魔力なのか私の魔力なのかどっちなんだろ?

まあ両方やってみるしかないよね!

「えいっ!………」

「何してるの?」

「ねえアヤカ、武器の魔力放出ってどうしたらいいの?」

「自分の魔力を武器に込めるだけだよ!おっとっ…!」

「ありがとー!」

私えいっ!とか何恥ずかしいこと言ってんだ…

何か作る時みたいに体に流れる魔力を物に流し込む時と同じ感じで武器にこんな感じで…

「すごい、圧縮された空気が剣の先から伸びてる感じ?周りは風強いしどうなってるんだろ?」

「フウ!?それって魔剣だったの!?」

「魔剣?ってなに?」

「はぁ〜、とりあえず後で説明するから今はそれでやっちゃって!」

「う、うん」

ライムが剣持って戦ってる時みたいにこんな感じかなっ!

「ちゃんとダメージ入ってるね!そのままやっちゃって!」

「りょーかいっ!」

おぉー!これって私ちゃんと戦えてるよね!?

まだちょっと怖いし、慣れてないからどう動けばいいか全然わからないけど楽しいかも!

「フウー、一緒に戦うの楽しいねー!」

「そうだね!ライム、今度戦い方教えてくれる?」

「いいよー!ライム、フウの先生するー!」

そんな会話をしていたフウ達を見ていた麻痺組はというと…

「ものすごくほのぼのしいわね…」

「ああ、強敵と戦ってる感じは全くないな」

「まあ、二人が楽しいならいいんじゃないかしら?」

「死んじまったらそこまでなんだがな…」

「でも、逆に私達は見習うべきなのかもしれないわね」

「どういう事だ?」

「だって、私達も昔はああやって楽しくやってた時期があったのに今じゃ攻略攻略って必死でしょ?」

「確かにそれはあるな…」

「ごめん、私はそろそろ動けるようになったから先に行くわよ」

「ああ、すまん。俺もすぐに追いかける」

………

「こいつ強過ぎだよ〜…」

「だね…ブレスしてから全然ダメージ与えられてる気がしないよ…」

「ごめんなさい!回復したから私も参戦するわ!」

「お、ようやっと復活かな!意外と早かったね!?」

「姉さん、お帰りなさいっす!!」

「遅くなってごめんなさい!ジュッくんのもう少しで回復すると思うわ!」

これで私の出番も終わりかなー。

「わりぃ、遅くなった!」

「これで全員復活かな!全員で一気に畳み掛けるよ!」

「わ、私も!?」

「当然でしょ!」

「わ、わかった」


………


「………」

「俺は死を覚悟した…」

「安心して、私もよ」

「流石にうちも覚悟はしたね〜」

「俺もっす…」

「ライムも危なかったかもー」

確かに、ここまでメンバーが完璧に揃っててピンチになるほどの敵だったって事だもんね。

「あー、うちさ。みんなに1つ謝らなきゃいけない事があるんだよねー…」

「どうしたの?」

「えーっと、実はファフニール別のゲームでも戦ったことがあるんだけど、今回同様そのゲームも逸話を忠実に再現されてたの。それで攻略法なんだけど、本来ファフニールって回復魔法をあえてかけて解呪してから戦うものなんだよねー…。それで倒せば本来通りの報酬は貰えるんだけど、解呪前の状態で倒すと理不尽なほど強いからそのゲームだと特別報酬が入るんだよ。だからごめん、自分の欲でみんなを危険に晒しちゃって」

アヤカとジュドラが互いになにかを確認したかと思ったら。

「ごめんんなさい、アヤカに言わせてしまって…」

「すまん、実は俺らも知っててそのまま戦ったんだ…」

「フウやライム、ファイスには悪いことしちゃったわね」

「いいよ、倒せたんだし!」

「ライムも楽しかったから、大丈夫ー!」

「いい報酬貰えるのは嬉しいっすからね!」

「とりあえず私はフウに素材渡しておくわ、契約もあるしね!」

「そんならうちも〜」

「あ、俺も渡しとくっす!」

「お、おい!待て待て、その契約ってのはなんだ!?」

「ただの専属契約だよ〜」

「ええ、素材を渡して作って欲しいものがある時、直して欲しい時に協力してもらうって感じよ」

「なっ、おい!フウはそれでいいのかよ!?」

「フウ、普通の人ならこの反応が正解よ」

「あ、うん。流石にわかってきたよ…」

「ジュっくんは装備作ってもらって気づかなかった?」

「なにを気づ……いや、待てよ…って!確かに受け取った時が前夜祭真っ只中だったから考えもしなかったが、言われてみれば異常だな…」

「異常って…」

「少ししか残らないはずの素材で全身防具に武器、アクセサリーまでおまけに付きって事は失敗なしって事か!?加えて評価も平均で8を超えてやがる…フウ、お前どんなチート使ったらこんな事になりやがるんだよ!」

「どんなって私普通にやってただけだよ?それをチートって言われるのはなー…」

「わりぃ、頭に血が上ってた…そのー、すまん。あんなこと言った後であれなんだが俺も契約していいか?」

「大丈夫だよー」

「一件落着だねー!とりあえず初回討伐ボーナス貰っちゃおっか!」

「いくわよ、せーの!!」

「うち、金護竜の竜血だってー」

「私も同じね」

「俺も竜血だな」

「ライムも〜」

「私、龍の書Ⅰってやつ。龍語が話せるようになるらしいよー。全部で10まであるらしいよ」

「フウらしい物が出たね〜」

「あれ、ファイスは?」

「あ、姉さん。俺、金護竜の呪宝って名前のアクセサリーでしたね」

「「「!!!!!」」」

「どうしたの?3人とも驚いて」

「??フウー、呪宝ってなあにー?」

「そのままの意味なら呪われた宝って事かな?」

「竜血は1時間HPとMPが500増えるみたいだけど、呪宝はなんて書いてある?」

「あ、えっと…使用回数制限無しのアクセサリーで5分間竜人化か1分間竜化出来るらしいっすね!」

「なっ…!?」

「またデタラメな物出したわね…」

そんな感じでファフニール討伐も終わって奥の部屋にあったポータルで外に出た。

「予想はしてたけどやっぱ山頂だね〜」

「これは無駄に時間食いそうね…」

「ちょっといいっすか?呪宝試しに使って乗って降りちゃうのはどうっすか?」

「お、名案じゃねーか!!」

「それは確かにありだなー」

「でもどんな竜になるんだろうね?」

「「「あっ…」」」

「貴方達はもう少し考えましょうよ…何か説明欄に書いてないの?」

「お、書いてあったっすね!えっとー、ある一定種の中から自分の想像した物に一番近い種になるらしいっす!」

「これは間違いなく飛竜だな」

「間違い無いわね」

「じゃあいくっすよ!!!……」

「「「「っっ!!!?」」」」

「おぉー!これは面白いっすね!時間ないんで乗っちゃってくださいっす!」

「ライムは戻ってよっか!」

「はーい!」

「とりあえず街の前まででいいかしら?」

「そうだな」

「私もそう思う!」

「じゃあしっかり掴まってて下さいね!」

すごい!私達、飛んでるよ!

私語彙力あんまり無いから上手く伝えられないけどとにかくこれは最高だよ!

景色すごいし、ちゃんと空気抵抗無いしすっごい快適かも!

「これは凄いわね!」

「最高に気持ちいいね〜」

「街が見えたんでそろそろ降りるっすよ!しっかり掴まってて下さい!」

………

『ヘレヴィラの街へようこそ』

街を囲う様に壁が張り巡らされ、アーチ状にくり抜かれた壁の上にそう書いてあった。

「ここが今回のイベント唯一の街か、1つしか無いだけあってでかいな」

アーチを潜るとそこは大通りを中心として様々な店舗や住宅の立ち並ぶ西洋風の街並みが広がっていた。

高い建物は無く、高くても3階建ての建物しか見当たらない。

「ね、ねえ!あれって…」

「まじか!」

「ほらやっぱり!生きてるって言ったろ?」

「きゃー!トップギルドのマスターが勢ぞろいしてるよ!」

「まじ神!スクショしとこ!」

なんかアニメとかでよくある騎士団の帰還みたいに人で列が出来てるんだけど…

「いや〜、予想はしてたけどやっぱこうなるか〜」

「しょうがないっすよ、しばらく洞窟に籠ってたんでサーチもされなかったみたいですし」

「にしてもここまで来るとやりづらいわよね」

「これじゃまるで芸能人だね…」

「とりあえず宿屋っすかね?」

「私ははアイテム整理して外でちゃった方がいいと思うけどなー。宿屋に居る間に噂でも広まって余計に人増えても面倒だし…他のみんなはどう思う?」

「私はファイスに賛成して休みたい所だけれど、この状態の街に長居するのも難しそうって考えるとやっぱり私もフウに賛成って所かしら」

「俺は休めりゃどっちでも構わねー。まあ、宿屋の方が休みやすいって考えりゃファイスに賛成ってとこか」

「うちもフウに一票かなー」

「確かにちゃんと考えればフウの言う通りっすね…」

「じゃあとりあえずアイテム整理していいとこ街から出ちゃいましょ」

「そうだね〜。ポーションとかの必需品もうちのパーティには天才がいるしね〜」

「あぁ、サバイバル環境においてこれほど頼れる人材はそうそういないからな…」

とりあえず素材屋に着いていらないものを全員片っ端から売って素材屋の外に出たわけ。

まあ予想通り人だかりはまだあったんだけどね?

街を出ようと歩いてたんだけど…

「ねえ、この人だかりはいつまでついてくるのかしら…」

「なんのパレードだよって話だな…」

「それはそうとこの後の行き先は?」

「それなんだけどね〜!さっき小耳に挟んだんだけど、難易度が恐ろしく高い火山があるらしいんだよね〜。しかも入口が2種類あるらしくて、下は普通に入れるらしいんだけど、上は山登りの道中も強いしほとんどHPの減らない門番が居て入れないんだってさー。そこでね!」

「あ!私アヤカがなに言うかわかった」

「俺もだ…」

「うん、ファイスに竜になってひとっ飛びっしちゃえばいいじゃん!ってね」

「確かにそれなら人も振り払えるっすもんね!」

「確かに名案ね」

「そうと決まれば出発っすね!いくっすよ!」

「え…え!?ファイス様が竜に!?」

「おい、なんだよあれ…」

「あんなアイテムあったっけか?」

「おい、現ファイブトップの4つが集結してるんだぞ?俺らにわからないことなんて一つや二つどころじゃないだろ…」

「あんな化け物連中勝てる気がしねーや…」

「バトルだけで言えばフウには勝てるだろ」

「おい、バカ!辞めとけって!フウのファンクラブギルドに狩られるぞ!」

…ん!?今なんかすごいことが聞こえたような気がする…

ファンクラブギルドってなに!

いや…聞かなかったことにしよ…

………

「近づくにつれて亜竜とか小型飛竜が多くなってきたね〜」

「時間もやばいんでちょっと飛ばすっすよ!」

「お、おい!待て!バカァーーー………」

………

「最後のあれ楽しかったね!」

「どこかの誰かさんは腰が砕けちゃったらしいけどね。ジュっくんったら可愛いんだから」

「もしかしてジュっくんずっと我慢してたのー?」

「う、うるせぇ…止まった状態で高い所は平気なんだが動いてるとダメなんだよ…」

「ジュっくん動けそう?」

「あぁ、問題ない」

「それじゃあいくっすか!」

にしても活火山の火口だけあって暑いよ…

地形ダメージって言うんだっけ?少しずつダメージ食らってるし大丈夫かな?

ん?先に見えるあれが例の入り口かな?

「こりゃまた随分とでっかい扉だね〜」

「両端にいるのってもしかして火竜かしら…?」

「ありゃ、ちょっとばかしまずいな…」

「そうなの?」

「そうっすよ、恐らくっすけどファフニール級2匹って考えるべきっすね…」

「あ、はい…」

いやいやいやいや、、、

どう考えてもダメでしょ!?

あれが2対って…しかもここ天井ないからあの2匹は自由に空飛ぶわけでしょ?

「どうしましょうか、逃げるべきかしら?」

「それは俺も賛成だな…こりゃ勝てる見込みがない」

「そうだね〜確かにイベント期間まだ残ってるのにこんな所で死んじゃもったいないしねー」

でもなんだろ、なんか引っかかるような気がするんだよなー…

「………」

「フウ、どうかしたっすか?」

「ん、気になることがあって…」

「どした〜?」

「あの2匹って飛べるんだよね?」

「そうね」

「ファイスに飛んで乗ってる時も今もそうだけどなんで襲ってこないんだろうなーって思って」

「「「「っっっっっっ!!!?」」」」

「いや、その考えは一理あるな。確かに引っかかる」

「確かに言われてみればその通りね…火竜がここの門番ならもう縄張り…いえ、戦闘エリアに入っていてもおかしくない距離だわ」

『オイ』

うわっ!?

「みんな気をつけて!」

「コチラニ攻撃ノ意思ハナイ。人ノ子ラヨ、コチラへ来テハイタダケナイダロウカ」

「どうしましょうか」

「いや、もうこの際いくしかないだろ」

「ちょっと待って、私行って来てもいい?」

「フウだけじゃ危ないっすよ!」

「大丈夫だよー。私、龍語話せるし!」

「そう言えばそうだったわね…」

「いや、それでもみんなで行こう。うちも何かあったら心配だし」

「わかった」

「んじゃ、みんなでとっとと行こうぜ!」

「急ニ呼ビ出シタリシテ申シ訳ナイ。我ハ火竜ガ一対《フレビア》ト申ス」

「同ジク火竜ガ一対《マデルヴァ》ダ。ファフニールヲ滅ボシテクレタ事、感謝スル」

「ソンナソナタラニ願イガアル。コノ扉ノ中ノダンジョン、ソノ最奥地ニイラッシャル我ラガ火竜族ノ王《焔龍皇 グラデヴィナ》様を助ケテ頂キタイ」

《緊急クエスト 焔龍皇の危機》が発生しました

「緊急クエストかー、うちはやるに一票かなー」

「私も!」

「俺も異論なしだ」

「私も異論はないわ」

「もちろんやるっすよ!」

『そういう事なので、ご協力させていただきます!』

『おぉ、そなた龍語が話せるのか』

『という事は龍の書をお持ちなのかね』

『ええ、まあ』

『龍の書は持っている数で内容が変わるものじゃ。大事にしなされよ』

『それでは門を開けるので後は任せたぞ』

『わかりました』

あっ、普通に龍語で話しちゃってた…

「なんか違和感ね…」

「あぁ…」

「そうだね〜。まあ今は進もー!」

「それじゃあみんな!行こっか!」

………

こうしてイベント2つ目のダンジョンが始まった。
………

暑い!!!

暑すぎる…

火山だからしょうがないのはわかるよ?

それにしたってマグマ近すぎじゃない?

まだ門を潜ってから1つも下に降りられてないし…

それにモンスターにも会ってないし、鉱石もない。

ちょっと期待してたんだけどなー…

「いや〜、こりゃ予想以上に暑すぎるよ〜…」

「確かにこれじゃあすぐにバテちゃうわね…」

「おい、フウ。確か付与に炎熱耐性無かったか?」

「え…!?」

そんなものあるの!?

もっと早く行って欲しかったよ〜…

「あ、ほんとだ…《スキル付与 炎熱耐性》!」

「これなら快適っすねー!」

「涼しくさえ感じられるわね…」

「ジュっくん教えてくれてありがとね!」

「お、おう…」

「破壊力抜群だね〜」

「そうね…」

「どうしたの?」

「なんでもないわよ」

なんだったんだろ?

あ、そういえば…

「話変わるけどさ、強いって言われてた火竜戦わなかったね。私、ちょっと興味あったんだけどなー」

「あー、それね。多分ファフニールがキークエストだったんじゃないかなーって」

「キークエストって?」

「名前の通り鍵だな。今回の場合、ファフニールを倒す事が鍵でこの門に入る為にその鍵が必要だったって訳だ」

「まあ簡単に言うとあれやらないとこれ出来ないよーって感じ?」

「そういう事か。ん?そしたら今回の場合、私たち以外ここには入れないって事?」

「そうなるっすねー」

「でも、暑さと寒さの対策アイテムが現状まだ出てないから付術師必須ダンジョンって事になるから多くのパーティが攻略できるわけでもなさそうよね」

「あぁ。それにファフニールの時もフウの付与が必須だったしな」

「これは付術師が今後必要になってくる運営からの警告っすかね〜」

「そうだね〜。今後は武具への付与も調整入って必須になってくるだろうしね〜」

「調整入ったらフウの店はもっと繁盛するわね」

「え…今でも忙しいから流石にやめてほしいかも…」

「お、階段見つけたっすよー!」

「アヤカ、マッピングの方は問題なさそう?」

「んー、あと2箇所行ってない所あるからそっち行ってからかなー。ただ階段はここだけしかないと思うよ〜!ここ多分だけどマップの中心だし!」

「なら、一応そっち行ってからだな」

この前も思ったけど、マップって全部埋めるものなんだね。

でもよく考えたら当たり前なのかな?

道に迷わなくて済むし行ってない所になんかあるかもしれないしね。

「それにしてもアヤカのマッピングはさすがとしか言いようがないわね」

「あぁ、完璧すぎて怖いくらいだ」

「そんな褒めるなって〜!まあ、別のゲームで探索者っていう職業やった事あるから慣れてるだけだよ」

………

「結局なんも無かったっすねー」

「まあだ概ね予想通りってとこね」

「そんじゃB1に降りちまおうぜ」

「フウは降りたらライム呼んでから付与の掛け直しお願い!」

「りょーかーい!」

………

予想はしてたけど景色全く変わらないね。

「ライムー、おいでー!」

「はーい、なの〜!」

「おはよー」

「フウ、おはよー。ここ暑いねー?」

「うん、ちょっと待っててね!《スキル付与 炎熱耐性》!」

「暑くなくなったー!!」

「おい、結局そいつなんなんだ?」

「自分も知らないっすね」

「そうだね、前回読んだ時ファフニールの戦闘中だったもんね。この子はスライムのライムで私の従魔だよー」

「「ス、スライム!?」」

「スライムだよー?ほら〜!」

「お、おぉ…マジでスライムだ…」

「人化っすね、自分も初めて見たっすよ」

「ほら、わかったら行くわよ」

「しゅっぱーつ!」

………

「おい…このダンジョン何階層まであるんだよ…すでに地下11階層だぞ…」

「一番スタミナありそうな人が真っ先にへばってどうすんのよ!ほら、敵が来たわよ!」

「あー、めんどくせーなっ!」

あの後2階層からモンスターが出始めて今地下11階層まで来たんだよ。

道中で鼠やら恐竜っぽいのやらマグマの中泳いでる魚みたいなのとか、カブトガニみたいな奴もいたし。

それになんかよくわかんない宙に浮いた石ころの集合体みたいなのもいた。

でもね!

10階層辺りから、ちらほら鉱石が出てくるようになって来たの!

これは期待できそうだよね〜!!

それから地下15階層まで来たけど、今まで手に入れたことのある鉱石しか手に入らなかった。

「ボス部屋見っけー!」

「「「「!!!!?」」」」

「これで最後だと良いんだがな…」

「あ、それフラグっすね!」

「間違い無いわね…」

「あーあ、ジュっくんやっちゃったね」

「お前ら揃いも揃って…」

「でもアヤカが何も言わないのは珍しいわね?」

「アヤカ?」

「ん?ごめん、聞いてなかった」

「なんかあったっすか?」

「いやー、ちょっと考え事してただけ〜」

アヤカが黙ってるなんてこれは本格的に何かあるかもね…

ただ、いいことなのか悪いことなのかわからないのがアヤカなんだよなー…

いつも直前まで考え込んでるからね。

あ、って事はもしかしてこの階最後じゃない…?

「とりあえずここ突破しちまおうぜ」

「そうね、何してても時間が惜しいわ」

「そうだね、貴重なイベントの時間だもんね〜!」

「じゃあみんなでしゅっぱーつ!」

………

「中ボスって感じだったな」

「ええ、ちょっと拍子抜けだわ」

「ジュっくんはがっつりフラグ回収したね〜!」

「うるせー!」

「それにしても、さっきのが中ボスならほんと何階層まであるんだろうね…」

「んー、あと15〜25階層くらいじゃないっすかね?」

「そうね、他のゲームも大体それくらいだと思うわ」

つまり最低でもあと今までの倍はあるって事ね…

ここからが長い気がするよ〜…

15階層までも徐々に難易度上がってたから絶対次までも上がるよね。

ただやっぱり鉱石には期待したいかな!

ミスリル以上の鉱石とか出てきたらテンション上がるんだけどねー!

「そろそろ行くっすか?」

「そうね。小休憩も出来たし出発しましょうか」

「ここからまた面倒くなるのか…」

「しゅっぱーつ!」

「ライムはいつでも元気ね」

「あぁ…無邪気ってのも恐ろしいな…」

………

それから着々と階層を降りて行ったフウ達は30階層でとある難関に直面していた。

「お…おい…」

「何もないわね…」

「罠ならあるんだけどねー…」

「行き止まり〜」

30階層に降りたらそこは、降りてきた階段とアヤカが言う罠以外何もなくって、ただ整地された広い空間だけが広がってたの。

「降りる場所間違えたっすかね?」

「それはないと思うよ〜。隠し階段でもない限りはね…」

「ん?アヤカ、逆にこの部屋に隠し階段あるんじゃない?」

「その可能性は十分にあり得るが、あった所でこの馬鹿みたいに広い所からどうやって見つけるんだよ…」

「一番手っ取り早いのは罠を全部発動させる事だけれど…」

「うん、リスクが高すぎるね…そういうものだったらやるしかないけど」

ここまで来て降り方が分からないなんて…

まあでも裏を返せばここの奥がボス部屋って事だよね!

罠ってこともあるかもしれないけどあんまりネガティブな事ばっかり考えてても何も進まないし、とりあえず頑張って探すしかないよね!

それにゲームの難しいことはわたしにはよく分からないしね…

「とりあえず何かないか探さない?私は罠とか見つけられないから手分けしてとかは出来ないけど…」

「いや、多分アヤカ以外出来ないだろ…俺も出来ないぞ?」

「ここはみんなで団体行動ね。アヤカに任せっきりになってしまうのはなんだか気がひけるけど…」

「だいいじょーぶ、だいじょーぶ!任せちゃいなよ!♪」

「頼もしい限りだな」

「まあただ私は盗賊本業じゃないからスキル無しだから出来る事にも限度があるけどね〜」

「能力無しでここまで出来るのが凄いんじゃないっすか!」

「アヤカすごーい!」

「なんかもう、フウといいアヤカといいこのパーティだと私達の存在が霞むわね…」

「そうっすね…これでもこのゲーム含め他のゲームでもトッププレイヤーって言われてきたメンバー揃いっすからね」

「あぁ…間違いないな。こうも見せられると負けられねーって思うがそれ以上に自信なくすな…」

「あー、この話は終わり終わり!そんなに謙遜しなくても私達より十分すごいから!」

「そうだよ!私なんてなんで私が比べられてるのか分からないくらいだよ」

「アヤカはフウの事言ってたけどあなたも人の事言えないわね…」

………

「おい…こりゃ本格的に詰んだんじゃねーか?」

「ええ、何もなかったわね」

「この階もそうっすけど一個上もなんもなかったっすね…」

「だね〜。さてっ、どうするかね〜…いっそ罠全部やっちゃう?」

あっ、そういえば…

「ねー。アヤカさ、15階だったっけ?何考えてたの?」

「あっ!ちょっと待って!」

………

「うん、やっぱり間違いじゃなかったよー」

「何かわかったって感じね」

「ちょっとこっち来て〜。えっと…この辺かな?」

「ここに何かあるっすか?」

「まあ見ててよ。多分ここのスイッチを踏めば…」

「あっ!おい!」

「大丈夫だよー。ほら!」

えっ…と、ん!?なにこれ、部屋の中央にいきなりでかすぎる扉が出てきたよ!?

「おー、出た出た」

「アヤカ、これどういう原理なのか説明してくれねーか?」

「結果に言うとトラップの中にスイッチがあったわけなんだけど、実は15階層の時から気になってた事があってね」

「アヤカが何か考えてた時よね?」

「うん。うちがマッピングする時って罠の位置も一緒に印付けとくんだけどね、あの時点では可能性でしかなかったから言わなかったけどマップを重ねると一箇所だけ罠が重なる場所があったんだよね。こんな感じで」

本当だ、綺麗に同じ場所に印がつけられてる。

「なるほどね、ただこれは本職の人かアヤカにしかできない事だと思うわ」

「そんな事ないと思うけどな〜」

「そんな事あるっすよ!まずこんなに綺麗にマッピング出来ないっすよ!それに…」

「あぁ。さっきも言ったがまずスキル無しで罠なんて探すの至難の技だぞ?それを簡単にやってる時点で規格外だっつーの…」

「ま、まあまあ!とりあえずはあの扉どうにかしちゃお!ね?ライム!」

「ふぇ!?う、うん?」

あ、話逸らして遊んでたライムに話振ってるし…

ぐぎゅるるるるるぅ〜

「「「「………」」」」

ん、ん?今のって…

「ねえ、ジュっくん?」

「お、おう…なんだ?」

「ねー、フウー。今のおっきい音なにー?」

「誰かさんのお腹が鳴った音だよー。お腹空いちゃったんだって」

「ライムもご飯食べるー!」

「ジュっくんライムにも言われちゃったね〜」

「まあでもここで一回ご飯食べよっか。ライムも食べたいみたいだし」

「そうっすね!タイミング的にもこの場所もちょうどいいっすもんね!」

「でも、食材になりそうな魔物いたかしら?」

「ちゃんとあるよー!ほら」

「「「「「え…?」」」」」

うん、知ってた。

これ13階層で大量発生してた魔物なんだけど溶岩魚(マグマフィッシュ)っていうやつらしいよ。

口から溶岩吐き出してたし鱗は固まった溶岩みたいだしみんながそういう反応になるのも無理はないよね。

説明欄に美味しいって書いてあるから食べるけど、書いてなかったら確実に捨てちゃう様な見た目。

「一応美味しいって書いてあるから大丈夫だと思うよ。多分…とりあえず料理しちゃうねー!」

まずは鱗?だね。

岩みたいで大きいから枚数も少ないし手で引っこ抜いちゃおうかな。

お、意外と簡単に取れる!

これは素材として残しとこーっと。

次に頭を落としてー…

お、意外と肉質は硬くないんだ、この頭も一応…

そしたら内臓だね!

中を傷つけないように…

ん?なんか光ってるものがある、これなんだろ?

えーっと、溶岩袋?って言うらしいよ。

これは一番使えそうだし残しとこう!

最後に三枚におろして…

骨と尻尾も一応…ね?

さて、まずは焼きと茹ででどんな感じか味見してみよう!

街が騒ぎの中どうにか買えた調理器具セットと調味料セットもあることだしねー!

まずは焼きから!

…んー、いくら焼いても火が通らない…もしかしてこれって…

…やっぱり、茹ででも火が通らない…

食べた感じだと鮫に近い感じの肉質かなー。

どうしよう、火が通らないとなると生食だよね、温かくはなるんだけどなー。

熱々の生食なんて地球にはないから未知すぎるよ…!

「なあ、あいつすげー目が光ってるけど大丈夫か?」

「あー、フウは料理してる時いつもあんな感じだよ?」

「フウがこの顔の時、お話しできない時ー…」

「凄いわね…私フウに料理教えてもらおうかしら」

「この会話も多分聞こえてないっすね…」

そんな話をされてる事など聞こえてないフウは順調にメニューを考えていた。

まずは刺身でしょー、次に昆布の出汁で溶岩魚の骨を沸騰させないようにゆっくりと火にかける。

おっと、ご飯炊いとかないとね!

出汁を取ってる間に溶岩魚の肉を擂り身にして繋ぎに片栗粉を入れて丸くして置いておく。

次にかえしを作って出汁、味醂、砂糖を加えてとろみがつくまで煮詰める。

そしたら骨とかを取って2回くらい濾したらつみれみたいなやつを出汁に入れて火にかけしっかりと灰汁を取ったら最後に塩で味を整える。

最後は、冷水と卵を混ぜて小麦粉を加えたらさっと混ぜてあとは切り身にした溶岩魚をつけて揚げる!

あと、冷凍卵も天麩羅にしとこう!

炊いておいたご飯にタレ、中央に卵、周りに溶岩魚、最後に上からタレをかけたら…完成だね!


《火山で作る簡単ランチ!》

・溶岩魚と卵の天丼
・溶岩魚のつみれ風汁
・溶岩魚の刺身


野菜ないのは許して〜…

ここまで空で飛んできたから葉物関係の食材何も持ってなかったんだよ…

まあ形にはなったから良しって事で!

「みんなー、出来たよー!」

「お!待ちくたびれたぞ!」

「やった〜!ごはんだー!」

「ライムはお行儀良くねー。冷めないうちに食べちゃおー」

「それもそうね」

「いただきまーす!」

………

「なんだこの刺身、食べた事ない味と食感だが脂が乗ってて意外と美味いな」

「あ、うん。それリアルの方で例えるなら鮫の刺身に似てるかも」

「こっちの天丼は不思議な感じっすね…周りは凄いサクサクして中身は熱々なのに食感は刺身と変わらないっすね。味はめちゃくちゃ美味いっす!!」

「こっちのスープもだわ。出汁もつみれみたいなのも美味しいのだけれど食感が生なのね」

「そうなの。この魚、火を通しても熱々になるのに火が通らないの」

「ライム、おかわりー!」

………

すごい、結構多めに作ったのに全部無くなっちゃった!

ジュっくんが3回、ファイスとライムが2回、アヤカとレイナが1回おかわりしたの。

6人前しか作ってなかったら足らないところだったよ…

まあでも、みんながこうやって美味しいって綺麗に残さず食べてくれるのは凄い嬉しいけどね!

「自分、食べすぎたんで少し休みたいっす…」

「そうね、少し休憩したら扉調べましょうか」

「そうだね〜!ここまでほとんど休み無しだったしねー」

「ねぇ、フウ?」

「ん?」

「私あなたに料理を教えてほしいんだけど何か方法はないかしら?」

レイナ、急にどうしたんだろう?

なんか凄い深刻そうな顔してるし…

「ゲームの中の能力の話?それとも現実!?」

「ゲームで上手くなるならいいのだけれど…出来ればリアルで教わりたいわ」

「ゲームじゃ難しいかなー…アヤカ、何かいい方法ない?」

「ん、ごめん!聞いてなかった。なんの話?」

「レイナが料理教えてほしいらしいんだけど、どうしたらいいかなーって」

「あー、なるほどね!それならいっそこのメンバーでオフ会しちゃえば?うちはそれが早いと思うけどな〜」

「オフ会って何?」

「オフラインミーティングっていうんだけどね、ゲームとかSNSとかのインターネット上で知り合った人達がオフライン、つまりリアルで会う事って言えばわかるかな?まあこれにはみんなの同意が必要だけどね〜」

そういう意味でオフ会なんだね。

それならだめっていうか、なんか凄い楽しそうなんだけど!

「なるほどね、私は全然いいよー!」

「本当に!?凄く助かるわ!ジュっくんとファイスはもちろん来るわよね?」

「フウとアヤカが大丈夫ならってとこだな」

「自分は行きたいっす!」

「そこで許可取るのがジュっくんらしいな〜。みんなで集まろうよ!って話なのにー!」

「アヤカの言う通りだよ!みんな居た方が絶対楽しいよー!」

「お、おう。2人がそう言うなら俺も行くぜ」

「ごめんね、2人とも。普段ジュっくんの周りに女性が居ないから緊張してるのよ…」

「なっ!?」

「それはしょうがないっすね…」

「ねえ、ファイス。あなた口調が素に戻ってるしそれに第一印象良くしようと口調変えるのやめたら?」

「うっ…」

「あー、だからか。ファイスの喋り方最初の方ジュっくんみたいな感じだったもんね」

「まー、とりあえずイベントお疲れ様会兼ねてオフ会決定って事で!」

「それはいいけが、都道府県どこだ?ちなみに俺とレイナは東京だ」

「自分もっすね!」

「あ、私達も東京」

「じゃー、待ち合わせは新宿駅って事でー!」

「わかったわ。日時はどうするの?」

………

「それじゃあリアル時間明後日の10月9日の午前10時新宿駅西口の宝くじ売り場前集合って事で!」

「ええ、詳細も決まったしそろそろ行きましょうか」

「そうだな」

「ライムーおいでー!」

「んー!ふぁ〜……フウおはよ〜…」

(やっぱライム可愛いな〜)

(な、何この可愛い生き物!?)

「少しはゆっくりできた?」

「うん、だいじょうぶー。もうしゅっぱつー?」

「うん、もう行くって」

「ライムおっはよー!」

「ライムちゃん、おはよ。出発しても大丈夫?」

「ん、おはよー。だいじょぶだよー」

「なんかほのぼのしいっすね」

「そうだな」
この扉全員でやってやっと開いたよ…

初めに裏側っぽい方からやって見たけど動く気配すらなかった。

次は表側っぽい方をやってギリギリ開いたところに急いで中に入って今に至るわけだけど…

「これはなかなかしんどいね…」

「そうだねー…多分だけど竜が通るための門だろうからそれに合わせてあるんじゃないかな?人用の重さだと壊れちゃいそうだしー」

ん?竜が開ける門って言った…?

それを私達6人で開けちゃったって事?

それもそれでどうかと思うんだけど…

それはそうとここから先はまた一段とすごそうだよ…

一本道の通路があって通路の両端にはマグマ垂れ流れてるし、通路の方のちょくちょく何か噴き出してるし。

これはリアルじゃ確実には入れない場所だね、まあこの祠そのものも入れるかどうか怪しいけど…

「そろそろ進むっすか?」

「あぁ、早く終わらせてとっとと出ちまおうぜ…」

「そうね、フウ達は準備いいかしら?」

「大丈夫だよー」

「ライムもー!」

「うちもいつでもー」

………

「おい、これいつまで続くんだよ…」

「ジュっくん、それすっごいデジャブ…」

「だらしないわよ!ほら!」

「いや、そうでもないっぽいよー。ほらー!」

「いや、おい…」

「えっと、溶岩海…?」

「これは流石に…」

「手詰まりっすね…」

「…うん…うん。…はーい!」

「ライムどうしたの?」

「えっとね、龍皇さん?がちょっとの間加護を与えるから降りていいよーって言ってるよ?」

「えっ?ライム何か聞こえたの?」

「うん、いまお話ししてたよ?」

「とりあえず飛び降りてみるー?」

「じ、自分高い所ダメなんすよ…飛び降りるだなんて、そんな…」

「ほら、行くわよ!」

「ちょっ!姉さん!?うぎゃぁーーーー!!」

「先輩!俺まで巻き込まないでくださいよーーー!!!」

レイナ、今落としたよね…

(うわ~レイナもよくやるなー…)

「楽しそー!フウもいこー?」

「うん、そうだね。じゃあ一緒にせーの!!」

「あー、まさかのうちが最後かー。最初に飛ぼうと思ってたのになー…えいっ!!」

………

「……あ、姉さん…死ぬかと思ったっすよ…」

「ファイス、安心しろ俺もだ…」

「あっちの楽しそうな3人と違ってこっちの男性陣2人は情けないわね…」

「そう言われてもな…」

「苦手なものは苦手っすからね…」

『よくぞここまで来てくれた…人の子らよ…』

「どこから喋っているのかしら?」

「溶岩の中とかー?」

『姿を現せずにすまないな…今はそれすら難しいのじゃ…』

「それで、どうしてそんなんになってるんだ?」

「そうっすね、危険な状態ならなおさら時間が惜しいっすよ?」

『簡単なことよ…火竜種の一部がとある龍に寝返った…裏切られたのじゃ…』

「そいつら消しちゃえばよかったんじゃないっすか?」

『いや…そう思わせてしまった環境を作った儂…そして裏切ってしまうまで気付いてやれなかった儂…結果的に儂の責任じゃ…』

「そうだな、恨むより気付けなかったと後悔する方が断然いいと思うぜ」

「そうだね~。それで、どうしたら元に戻れるの?」

『復活にはいくつかやらねばならぬことがある…まずは…この火山の活性化じゃ…これには此処より下にある焔龍皇の神殿…まあ儂の家なのじゃが…そこの最下層…といっても三階層しかない…のじゃが…そこから一本道で…マグマ溜まりのような場所に繋がる…道がある…そこで火山活動を停止させている…原因を突き止めてほしい…』

「なるほど。でも何かしらの方法で塞き止められてるなら一気に爆発して噴火しそうじゃない?」

「それは確かにあるわね。でもここの近辺街とか無いから大丈夫じゃ無いかしら?」

「うん、周りの生き物のこと考えてたけど、人為的とはいえ本来の流れに戻すだけだもんね」

『そうじゃ…それに…噴火は確かに…甚大な被害をもたらすとはいえ…その後の恵にもなるのじゃ…それで二つ目…じゃがな…龍皇の秘焔玉…というものがあってな…ここへ持ってきて欲しいのじゃよ…いわば魔力の塊なのじゃが…儂の封印されてしまった力の回復に必要なのじゃ…』

「それでその龍皇の秘焔玉っていうのはどこにあるっすか?」

『そ…それがな…お…覚えてないのじゃよ…二つあるのじゃがな…』

「んなっ…!?おいおい、そう来たか…」

「なんと無くもわからないのー?」

『す…すまない…それでじゃな…三つ目なのじゃが…』

あ、話逸らした…

(逸らしたわね…)

(こいつ…)

『三つ目は…儂の復活の時の…護衛を頼みたい…生まれたばかりの赤子の様に…無防備に…なる…でな…すまぬ…喋り…す…ぎたせい…か…そろそろ…限界…の…ようじゃ…頼んだ…ぞ…』

………あ、大雑把に言うだけ言って本当に寝ちゃったの!?

「しょうがないわね…元々弱ってたみたいだし…」

「あぁ、でもどうすんだ?」

「どうするって探索するしか無いでしょう」

「そ…そうだが…」

「まあ探すものは多いけどマグマ溜まりと龍皇の秘焔玉探すしかなさそうだね~」

「とりあえず出てきたこの階段降りちゃう?」

龍皇が寝ちゃった後、上の方にある飛び降りて来た穴とちょうど反対あたりに下る階段の穴出来てたの。

まあ、ライムが教えてくれたんだけどね!

「…えっと、フウ?階段なんてどこにあるの…?」

「え…?そこにあるじゃん?」

「ごめんなさい、私も何も無いと思うわ…」

「あるもーん!!ね!フウ?」

「うん」

「二人で降りちゃおー?」

「え、でも…っちょ、ライム!引っ張らないでー」

「みんなも来てー!」

「お、おう…」

「二人も行くっすよ、目の前壁っすけどね…」

私とライム以外は階段が見えてないから壁に向かってダイブする羽目になったの。

まあちゃんとみんな階段にたどり着けたんだけどね。

階段を一番下まで降りたらそこには地下なのに誰が見ても神殿と思えるすごく…凄く立派な?建造物が建ってたの。

「これが龍皇さんのおうちー?」

「そ、そうみたいだね…」

「なんというかすげー人間サイズじゃねーか?」

「ま、まあダンジョンにイレギュラーは定番っすからね!」

ここまではまだよかったよ?問題だったのはこの先。

「ダンジョンって言うよりこれは豪邸ね」

「うん、ただの家だよこれ」

「いや~これには流石に不意打ちだったねー…」

確か三階建てって言ってたもんね。

「危険はなさそうだしみんなで散らばって散策でもする?」

「そうね」

………

「みんなは何か見つかった~?うちはなんも見つからなかったよー」

「私も収穫なしだわ」

「俺はゴミ箱っぽい所に抜け殻が入ってたぞ」

「自分ベットの下に赤い宝玉見つけたっすよ!」

「あら、自分がエロ本隠してる所だから見つけられたのかしらね?」

「ちょっと姉さん…!」

「「ファイスも男の子だね~」」

私とアヤカが口を揃えてそう言うとファイスは顔を真っ赤にして伏せちゃった。

「ほら、照れてんじゃないわよ!」

「姉さん、鬼っすか!?」

(おいおい、それって先輩があいつの家に入ったって事じゃねーか!どういう事だ!?)

「アヤカ、ジュっくんもジュっくんでわかりやすいねー」

「そうだね~」

「まあ気付いてないレイナもレイナだけどねー」

「女性側が鈍感ってのも珍しいからね~」

「それで話戻すがフウ達は何か見つけたのか?」

今のジュっくんの切り替えは考えたくなかったのかな?

「私はファイスが見つけたやつが二つ置けそうな燭台みたいなの見つけたよー」

「二つありゃなんか起きそうだな」

「そうね、そのためにももう一つ見つけなくちゃいけないわね」

「ライムは何か見つけたのー?」

「ライムはね、階段を見つけたのー!」

ライム…そんなぴょんぴょんしながら褒めてみたいな顔でこっちを見ないで!…可愛すぎるから…

(あれはもう反則ね)

(うちも従魔術師取ればよかったかなー。まあフウが例外なのは間違いないんだけどさー)

「ライムは探索の天才だねー!」

そんなことを言いながらライムの頭をわしゃわしゃしながら褒める私を眺める四人。

この構成すっごいデジャブなんだよなー。

まあそんな緩い会話をしながら次の地下一階?もともと地下だからそう呼んでいいのかわからないけどそのエリアも探索したけどやっぱり普通の家。

それでもって階段を見つけるのはやっぱりライム。

なんかの能力なのかな?それとも幸運値の問題とか?

私なんかはライムの恩恵受けてるだけだしね。

それで問題だったのは次の地下二階、龍皇さんが言ってた最後の階だったんだよ。

「なんなんっすかこれ…」

「ここだけは完全にダンジョンって感じだな…」

「それにこれはただのダンジョンじゃないねー。この黒くて赤い線の入った鼓動してる変なやつが壁を覆っちゃってるって感じだしね~」

「なにこれ気持ちわるっ!」

「ここ凄く嫌な感じがするよ?」

アヤカの言ったように黒いのが木の根っこみたいに壁を覆っててその黒いのに赤い血管みたいなのが巡ってて鼓動してるの、気持ち悪いの。

「でも逆に言えばこれを辿っていけば黒幕を突き止められるって訳よね?」

「まあそういう事っすね」

「とりあえず進んでくしかねーって訳だな」

「そうだね~。明らかにこの黒いのが衰弱の原因で間違いなさそうだし」

………

それからしばらく探索してたんだけど、なんの部屋かわからないけど扉を開けた途端そこで事態が急展開しちゃって。

この黒い塊が千切れていろんな形したモンスターになって私たちに抵抗し始めたの。

黒い塊は剣や弓、魔法なんかも使って多彩な攻撃を仕掛けてくる厄介な敵だったのだが…

「アヤカ!ジュっくんのサポート任せた!ジュっくんはそのまま敵の気を引きつけてて!」

「「りょうかい!」」」

「レイナとライムは後ろからじゃんじゃん攻撃しちゃって!ファイスは抜けてきた敵の牽制お願い!」

「はーい!」

「了解っす!」

「任せて!フウはそろそろバフが切れ…ってさすがね!」

「フウもバフが切れる前に更新が出来るようになったか~」

「ありがと!でも次くるよ!!」

………

「ひとまずは落ち着いたみたいだな…」

「フウは完璧な采配だったわ。ありがと」

「あれはマジ助かったっす!」

二人がが言ってるのは第二波が来た少し後の話。

三分の一くらい倒した時に第三波が来てみんなの態勢が崩れちゃったから戦力を分担して二人一組にして采配したの。

ジュっくんとレイナは引きつけ役とバックアタック、アヤカとファイスは二人で暴れてもらって、私とライムはいつも通り。

この作戦がうまくいったみたいで形勢逆転出来てそのまま勝つことができた時の事。

「そう言ってもらえると嬉しいな。少しでも役に立てならよかったよ!私攻撃できないしね」

「ライム、楽しかったのー!」

それから明らかにここから黒い塊が出て来てるだろうって階段を降りて行ったの。

一番下まで降りた所は下が一面マグマの部屋の天井だったんだよね…

「これは…マグマ溜まりなのでしょうけど…」

「あぁ、こっからどうしろってんだよ」

「でもさ焔龍皇の話から変だと思ってたんだけど、普通マグマ溜まりって空洞あるのかな?」

「あー、確かに言われてみればそうだね~」

そんな話をしてた時にね、ライムが教えてくれたんだ。

「ねー、フウ。下の赤いの無くなっちゃったよー?」

「えっ!?」

当然驚くよね、他のみんなも驚いてたし。

「こりゃ相当妙っすね…」

「いや~、真下の穴からこの黒いの出てるっぽいね?」

「なあ、もしかしてまた飛び降りたりしないよな…?」

「さぁ?どうかしらね?」

「あ、姉さん!?顔が怖いっすよ!?イデッ!」

そりゃそんな事言ったファイスが悪いよ、うん。

「でも飛び降りるにしても着地はどうするの?」

「そ、そうだよな!」

「ねえ、フウ?物理耐性の付与、出来るかしら?」

あー、レイナさんの目が本気です。

私も少し怖いです。

「出来るけどそれで飛び降りた時の衝撃って緩和されるものなの?」

「まあ一か八かやってみるしかないんじゃないかな~。ファイスの竜化も使用制限で使えないし」

「ま、マジっすか…?」

「《広域スキル付与 物理耐性(中)》!ライム、いこっか!」

「はーい!せーのっ」

「うちも行くよーっと!」

「ほら、女の子達が飛んだんだからあなた達も早くいきなさい!」

「ちょっ、姉さん!またっすかあぁ~~~…」

「先輩!?うぎゃーーーーー…」

「私もそれっ!」

こうして二人の叫び声は黒い塊が出て来ている深い穴へと消えていったのだった。ってね!
この時はまだみんな気づいてなかったんだよ。

ある大切なことに…

「無事だったね〜」

「死ぬかと思ったぜ…」

「自分もっす…」

「もう!情けないわね!」

「んな事言ったってなー…突き落とされたらそりゃな?」

「そうっすよ!せめて飛び降りさせてくださいっす!」

「あれ、っていうかフウとライムは?」

「「「っ!?」」」

「そういえばいねーな…」

「どこ行っちゃったのかしら?」

「リアルを追求しすぎたサバイバルだから今回のイベントってチャット機能無いからね〜」

「探すしかなさそうっすね…」

………

「ライムー…大丈夫ー?」

「フウ。だいじょうぶー」

「ここどこだろうね?」

一番最初に飛び降りた私達はどうやら別の場所に飛ばされちゃったみたい。

この辺り黒い塊無いし、結構離れちゃったのかな?

「とりあえず移動しよっか!」

「はーい!」

………

「くそっ!なんでこんなに黒い塊が出てきやがるんだよっ!」

「しょっ、しょうがないっすよっ!中心部に向かってるっすからねっ!」

「二人とも、戦いながらっ愚痴言ってんじゃ無いわよっ!」

全員トップギルドのマスターやサブマスターでゲーマーなだけあってなんだかんだで倒しひと段落するのだが…

「いやぁ〜にしても、フウとライムが居ないとなかなか厳しいねー…」

「ええ、本当にね。フウのサポートとライムの攻撃と回復の存在感は凄かったのもね…」

「あぁ、当たり前は無くしてから気付くってこういう事なんだな」

「ちょっ、ちょっと皆さん!?その流れお二人がリタイアしちゃたみたいな流れになってるっすけど、逸れちゃっただけっすよね!?」

「ファイス、あんまり騒がないの」

「そうだぞ、あんまり冷静さを欠くと良く無いぞ?」

「ファイスは考えすぎなんだよ〜」

「いや!自分何も変なこと言ってないっすよね!?ね!?」

「ま、まあ。冗談はさておき、フウ達がリタイアしちゃった可能性は視野に入れといた方がいいかもね〜」

「そ、そうね…」

………

「フウー!石いっぱいあるねー」

「みんなには申し訳ないけどここすごく楽しい!」

ここミスリルとダマスカス魔鉱石の宝庫だよ!

でもなんでだろ?

ミスリルは自然に存在する魔力が結晶化した鉱石だよね?

ダマスカス魔鉱石はダマスカス鉱石が強い魔力に当てられた時に生成されるんだったよね?

って事はここがそんなに自然な魔力と他に強い魔力を持った何かがいるって事だよね。

これはちょっと調べる人用がありそうだね!

「ライム〜この辺にして先に進もっかー!」

「はーい!」



「ねえフウ?この扉すっごく嫌な感じがする…」

「これは明らかに怪しいね…」

さて、私達がここに来た時にこの道が一方通行でライムと二人で決めて左に行く事になったんだけど…

まさかあたり側引くなんて思ってなかったからなー…

二人で勝てる保証ないけど進まない事には意味がないんだもんね!

「どうするのー?」

「二人でどうにかできるかわからないけど行こうか!」

「ライム頑張るね!」

「うん!じゃあいつも通りって事で!行こうか!」

「しゅっぱーつ!」

そう言って扉を開け、部屋に入るフウ達を待ち構えていたのはあの黒い塊が鎧のように光沢を帯び、黒光りする一つの巨大な…

………

その頃アヤカ達一行は相変わらずの黒い塊に苦戦するもとある一つの大きな広場に辿り着いていた。

「これは…流石にしんどいわね…」

「ああ、アイテムが万全じゃないだけにHPもMPもそろそろ危なくなってくる頃か?」

「そうっすね…強いて言うなら黒い塊の戦闘アルゴリズムが全く変わらないことくらいっすか…?」

「いや〜ほんとも…!?みんな戦闘態勢!今までで一番多いかもね…」

アヤカ達がいた広場は中央に下りの螺旋階段があり、そこから黒い塊が伸びていたのだが…

「あの螺旋階段の下がボス部屋で間違いなさそうね…」

「よっしゃ!ボス前最後の一踏ん張りやったるぜ!」

「このあとボスすっからね、無理しない程度に頑張るっすよ!」

こうして今までで一番多い黒い塊との戦闘を開始した一方でフウ達はアヤカ達が知る間も無くボスと戦っていた。

………

黒光りする塊は寝ていたらしく、フウ達が入ると目を覚まし大きな翼を広げて大きな咆哮を上げた。

「また龍!?今度はまた強そうな…」

ここに来て何個かわかったことがあるんだけど、まず黒い塊は恐らくこの龍の体の一部という事。

あの赤い線はこいつがここに来て散々吸収したマグマじゃないかなって。

あと後ろの二頭は門番の火竜が言ってた裏切ったっていう竜のことで間違いないと思う。

あの黒い塊に寄生されて操られてるんじゃないかな…?

「フウー?」

「か、勝てるかな…」

「三体もいるもんねー、ライムもちょっと自信ないな〜…」

「まあ、入っちゃったものはしょうがないしやるしかないよ!」

「うん!がんばる!」

そんな流れで戦う事になったのだが…

「ライム!次またブレスくるよ!」

「は、はーい!」

「次尻尾攻撃!」

「は…はーい!」

まずい、ライムがさばききれなくなってきてる…

私がサポート以外できたらいいんだけどな…

「ライム!とりあえず取り巻きの二体だけ片付けちゃお!」

「りょーかい!なのっ!」

「私も前に出るね!」

「フウと一緒に戦えるの!?やった〜」

いや、ライムさん?そんなに目を輝かせないで…?

それはそれとして、私が入ったところでこの状況、どうにかなるのかな…?

「私が出来るだけライムに攻撃いかないようにするからライムは出来るだけダメージ入らないように回復お願い!」

「はーい!それじゃあいっくよ〜!」

それからは今までゲームやってきた中で一番苦しい戦いな気がする。

ボスの攻撃を躱しながらひたすら取り巻きを倒す事に専念してたんだけど、ブレスが飛び交ったり爪に尻尾に噛みつきに、空中からの攻撃もあった。

ライムは私が攻撃食らっちゃった時には回復魔法掛けてくれたりしてようやく…

「やっと…やっとだよ…あとは本命のこいつだけだね…ここからが本番だよ!」

「ライム頑張るー!」

………

「数が減らないどころか増えてないかしら…?」

「これはちょっとやばいかもね〜?」

「ちゃんとこれ戦いに終わりあるっすかね?」

「そんなみんなで疑問ぶつけても仕方ねーだろ…やばいのには間違いないんだが…」

トップギルドのマスター、サブマスター達が四人も集まって戦っているこの戦いは黒い塊に圧倒的な数に押されて苦戦を強いられていた。

ま、まあパーティーのバランスには目を瞑るとして…

「このままじゃジリ貧よね…」

「そうだな…ボス戦用にアイテム多少温存してるからHPもMPも心もとないしな…」

「ここであのラッキーガール達がタイミング良く帰ってきてくれたりしないかね〜」

「それは確かに形成逆転できそうっすもんね!…」

そんな期待を寄せられているフウとライムは未だに戦闘を続けていた。

………

「全然HP減らせてる気がしないよ…」

「フウ〜…こいつ強いよー…」

こりゃリタイアも覚悟でやるしかないかな…

せっかくのイベントまだ時間残ってるし、焔龍皇まだ復活させてないけどここが私の正念場だね!…

「さぁ!ライム、きついけどラストスパート頑張ろっか!」

「うん!強いけどフウと一緒だから楽しいもん!」

私AGI高くないからなー…攻撃当たるんだよなー…

回避率にダイレクトに影響してくるわけじゃないらしいけど…

なんで詳しいかって?

もちろん、調べました!

ま、まあ。それはそれとして…

「ライム、攻撃受けながら攻撃してたまに回復できたりする…?」

「まっかせるのー!ちょっと難しいけどフウのために頑張るのー!」

「ありがと!私はその間にできるだけ攻撃するからね!」

それから戦いは長く続き突然今までにない大きな咆哮を上げたと思ったら敵の行動に変化があったの。

突然大きな翼を広げて滞空状態に変わったの。

これってアヤカが言ってた残りのHPが二割くらいまで減った時にボスの行動パターンが変化するって言ってたやつか!

「ライム!あいつのHPあと少しだからがん…あ、どうやって攻撃しようね…?」

「ライムの光剣は当てられるけど難しいのー…でもライム頑張る!」

その瞬間竜が纏ってた黒い塊が宙に浮かび、無数の大きな針となり雨のように降ってきた。

「わかった…ってライム!!」

「フウーー!!」

………

私…まだ生きてる、みたいだね…ライムは!?

「ライム!?大丈夫!?」

「…ん、だいじょーぶ…なのー」

ライムは流石にHP残ってるね。

って私もうほとんどHP残ってない!

これで最後だけどポーション使うしかないか…

「こく、こく、こく…ぷはぁー!」

これは付与かけてなかったら確実に死んでたね…

「ライムいけそう?」

「大丈夫なのー!」

「じゃあ対空戦始めよっか!」

「はーい!」

対空戦って言っても私また戦えない状況になっちゃったんだけどね…

それからは最初のスタイルで私が攻撃とか見極めて指示をしつつ援護する感じだったんだけど…

「フウー!MP無くなっちゃった!」

「え!?」

今このタイミングでそれ来る!?

多分あと少しってところなのに…

「ちょっと考えるから待ってね!その間攻撃避けてられる?」

「だいじょーぶー!」

さて、私に何かできることないかな…?

何か…何か…んーーー…んー…うん。

可能性があるとしたらやっぱり魔力操作しかないよね。

魔力操作で私の魔力をライムの魔力に移せないかな?

考えてる暇はないね、やるしかないよ。

「ライム!ちょっとこっちにきてー!」

「はーい!」

「ちょっ!ライム後ろ後ろ!」

竜が急降下して突進して来てるんだけど!?

「んー?あー、だいじょーぶだよ?ほらー」

ライムは急降下してくる竜を見る事もなく見事に躱し壁に激突させたのだった…なんてね。

「あ…うん」

まあ急降下して壁にぶつかる竜も竜だけどね…

「そうそう、ちょっと手出して」

「こうー?」

まずはライムの魔力の流れを見つけて…

あった!次はそこに魔力を流すイメージ…魔力を流すイメージ…

短剣に魔力流すのとやってる事は同じだよね。

流し方がちょっと難しいだけで。

点滴をイメージすればいいんだよね!

「ライム、どう?魔力回復してる?」

「うん!どんどん回復してるの!」

こんなもんかな!一応付与一回分残しておいたし大丈夫!なはず…

「じゃあ最後の付与いくよ!《スキル付与 … … …》」

これもいちいち一個一個掛けるのめんどくさいし今度どうにかしたいなー…

「ありがとなのー!ライム行ってくるの〜」

さて私も魔力無いし、ライムの魔力無くなったら今度こそ終わりだね…

でもライムの光剣の命中率もどんどん上がってる気がするしこのまま一気に倒し切っちゃいたいな。

「フウー?あと二回しか打てないのー…」

「大丈夫!ライムなら出来るよ!」

「頑張るの〜」

あ、あいつ避けたな!…

「もういいもん!えーーーーいっ!!!」

………

た、倒した…?

「フウー!やっつけて来たの〜!」

「うん!うん!ありがとう!お疲れさま〜」

流石に私達は疲れて抱き合ったままそのままその場に倒れこんだよ。

「少し休憩しよっか…」

「は〜い…」

………

その一方でひたすら黒い塊と戦い続けるアヤカ一行はフウ達がボスを倒す少し前に…

「いい加減こいつらと戦うの飽きて来たぜ…」

「そうね…経験値もそんなに美味しくないし『謎の黒い塊』ってアイテムしか落とさないものね…」

「もう軽く二百体は超えてるね〜『謎の黒い塊』ってやつも確定ドロップみたいだし、抽選は個人だからもうそろそろ千個越えてそうだしね〜」

「何かしらギミックがあるはずなんすけどね?」

と、その時まだ数百体はいたであろう黒い塊が一瞬にして一欠片も残す事なく灰になったように消えていったのだ。

「「「「なっ!?」」」」

「これ多分一定以上倒すとボスの所に戻るギミックじゃないかしら?」

「多分そんな所だろうね〜」

「合計で三百体くらいか?」

「無茶なギミックっすね…ところで一方通行でもうボス部屋の前っすけど…」

「そうね…フウとライム見つからなかったわね…」

「こりゃもうリタイアしたパターンかもね〜」

「あぁ、フウは俺たちと違ってゲーム慣れしてないんだもんな…」

「まあなんにせよとりあえず態勢整えてボスちゃっちゃと倒しちゃおっか〜!」

「そうね」

………


「準備も整ったし行きますか〜!」

「ええ!」

「そうだな!」

「はいっす!」

大きな扉を開きいざボスへと意気込む四人の目の前に飛び込んできた光景は待ち構えるボスではなく、中央に倒れる少女が二人いるだけだった。

「お、おい…これどういう状況だ…?」

「自分にも理解不能っすよ!?」

「これってまさかと驚くべきなのかしら?とりあえずリタイアしてなかった事は喜ぶべきなのだけれど…」

「いや〜…やっちゃったのかー!これはまさかとしか言いようがないよねー…」

「まさか従魔がいるとはいえソロでボス攻略するとはな…」

「そうなるとあの塊が消えたのもフウのおかげって事っすよね…」

「ええ、そうなるわね…」

「ほら、そろそろ二人の所に行くよ〜」

「あぁ。そもそも二人ともリタイアしてないとはいえ倒れてる訳だしな…」

「そっそうじゃないっすか!早く行ってあげないとっすよ!」

そのまま順にフウ達のもとに駆け寄った。

「フウー、ライムー。生きてるかー」

「生きてるよ〜。HPとMPもうほとんど無いの〜」

「ライムもMPもう無くなっちゃったのー」

「本当にギリギリ倒したって感じなのね」

「それにしてもよくやったもんだな…ほれ、ポーションだ」

「お、気が効くねー!ありがとー!こく、こく、こく、こく…はあぁー…」

「くぴくぴ、くぴくぴ、くぴくぴ…ぷはぁぁー!」

あー、このライムの可愛さをどう表現したらいいものか…

なんというかこう、ポーションの瓶を両手に抱えてちょっとずつ瓶を傾けながら飲み干して満面の笑みで「ぷはぁぁー!」って!

もう可愛すぎだよ〜!おっと、いけないいけない…ここまでにしとこう。

「それよりもほら!秘焔玉見つけたよ!」

「やっぱりボスが持ってたのね」

「早いとこ二つともはめてみよーぜ」

「これ渡しとくっすよ!」

そう言って渡された秘焔玉と持っていた秘焔玉を持っていた燭台に秘焔玉を二つはめた途端全員が光に包まれたのだった。

「きゃー!なっなにこれ!?」

「フウーー!」

「あっははーこうきたか〜」

「おいおいおいおい!どうなってんだよ〜!」

「きゃっ!やだ、なにこれ!」

「こここっこれ!大丈夫なんっすかーーー!」

………

そうして飛ばされた場所はどことなく見覚えのあるマグマに囲まれた広場だった。

「なぁここって…」

「そうっすね」

「それよりもうちは誰かさんの「きゃっ」の方が気になるかな〜」

「誰かさんってレイナー?」

「ライム、しー」

「ちょっ!アヤカにフウ!?ライムまで!」

珍しく私たちがレイナをからかってると男性陣二人が何やら小声で話しをしていたのだ。

「さっきの姉さんは確かにレアっすね!」

「あぁ、先輩のあんな声は初めて聞いたぜ」

などと本人達は小声で話しをしてたつもりだったんだろうけど、まあ筒抜けだよね。

「はぁ、もういいわ…早く行きましょ!」

「アヤカ?行くって言っても目的地ここな気がするんだけど…」

「アヤカが動揺するなんて珍しいね〜」

「…っっっっ!………」

「ま、まあそれは置いといてだ。さっきから思ってたんだがこれ地震だよな…?」

「そうっすね、これは明らかに噴火するっすね…」

「…うん…うん。わかったー。フウー?焔龍皇さんが燭台をこの広場の中心に置いて欲しいってー!」

「ん、わかった」

その瞬間また私達を光が包み込んだと思ったら目の前に巨大で尋常じゃない迫力と圧力を放つ龍が現れたの。

しかもその龍が咆哮をあげると鼓膜が破けそうなほどの轟音に身体中が震えるほどの振動。

そして巨大な揺れ、まあ地震とか噴火だと思うんだけどそれも併発してるありさま。

「儂を復活させてくれた事、感謝してもしきれないのじゃ!それより褒美をやらねばならんの!今は全員に加護と秘焔玉を一つしか渡せぬがそれで良いかの?」

「私はなんでもいいよー。それより復活おめでとー!」

「うちもなんでも〜。復活できて良かったよ〜」

「俺もなんでもいいぜ」

「私もなんでもいいわよ」

「自分も任せるっすよ!報酬欲しさにやったわけじゃ無いっすからね!」

「加護はここへのパスにもなっとるでの、また遊びにきてくれれば大歓迎するのじゃ!」

全員でタイミングよく「はい!」と返事をすると焔龍皇に街まで送ってもらったよ。

その後は特にこれといったダンジョンに出会う事もなく採掘や採集、外のモンスターなどを狩ったりしてイベントは無事リタイアするメンバーが出る事なく幕を下ろしたの。

そしてここから私、フウの第一幕が幕を下ろしまた新たなる挑戦が始まるのだった!
イベントから戻った後、今私は自室で戦利品の整理をしてるの。

龍皇の秘焔玉は喧嘩にならないようになぜか私が預かることになった。

それで今後装備で必要になった人に使うってことで話がついた。

ちなみに今回の戦利品はというと…

まず何と言っても目玉は『焔龍皇の加護』。

この加護はなんでも完全版ではないらしいんだけど

火属性攻撃20%上昇
火属性ダメージ20%軽減
炎熱系地形ダメージ50%軽減

っていうなかなかの代物だったよ!

次は当然『龍皇の秘焔玉』。

これはまあ私の物ってわけではないけど。

あとはジュっくんが見つけた焔龍皇の抜け殻から取れた素材かな。

皮とか鱗とかその辺しか取れなかったけど結構いい戦利品。

その素材と私がボス戦で戦った火竜の素材使って今度展示用の装備を作ってみようと思ってるの!

次はやっぱりファフニール系の素材だよね!

私それに加えて『龍の書』っていう所持数によって効果が異なるらしいアイテム。

現状では龍の書Ⅰでは竜語話せるようになるとかなんとか…

あとはまあ『ミスリル』『ダマスカス魔鉱石』が新たに手に入ったり、今まで手に入れた事のある鉱石

その辺にいたモンスターの素材とか採集した植物とか。

で、最後のダンジョンで私がソロで討伐しちゃったあいつ。

なんか名前が《黒邪竜 グド・ランジェス》っていうらしいんだけど…

素材名で黒邪竜っていうんだけどまあ、こいつの素材はいいよ?

問題は初クリアボーナスに加えてソロ討伐ボーナスがあった事とその内容。

まず初クリアボーナスだけど《黒邪竜の呪剣》ってやつでなんでも呪われてる代物でして…

次がソロ討伐ボーナスなんだけど《邪竜教の大聖典》ってやつ。

なんかすごくいらないんだけど…

特に特殊効果も無いしよくわからない教団の説明書いてあるだけだし。

まあ両方とも倉庫行きだよね!

邪竜の素材使って武具とか作ったら呪い装備になるのかな?今度試してみよーっと!

とまあ戦利品の整理はこのくらいにして…

私のというより生産職専用の装備とか欲しいよね〜!

そんなわけで、とりあえず素材集めも兼ねて今まで行った事なかった二階層の鉱山に行ってみようと思います!

早速準備開始だね!

まずはもちろん飲食関係。

あとは鶴嘴にロープに…

よし!これでいいかな!

「ライム〜お出かけするよ〜!」

「はーい!どこ行くの〜?」

「んーとね、ここから見えるあの一番大きな山だよ!」

「山登り行くー!しゅっぱーつ!」

………

そこからはいつも通りを道中適当にモンスター倒したり採集したり何事もなくお散歩感覚で進んでいったの。

それでしばらくしてから鉱山の麓に辿り着いたんだけど…

「にしてもこの山、高すぎない…?」

「上が見えないねー?」

「これは富士山より高いかもね〜…」

どうしよう、山頂行ってみたかったけどこんなに高いと迷うなー…

まあとりあえず出発だね!

………

それから何時間経ったかはわからないけどロックタートルとか岩蝙蝠とかアクアスライム、リザードマンとか色々出てきたんだけどまあ苦戦することもなく倒しちゃったよね。

それよりも問題は採掘だよ!あれから色々採掘したんだよ?

でも全然…なんかイベントが良いの出過ぎててなんかもう…

今持ってる一番いい鉱石のミスリルまでの価値が

銅鉱石
鉄鉱石
ダマスカス鉱石
マラカイト鉱石
銅魔鉱石
鉄魔鉱石
銀鉱石
銀魔鉱石
ミスリル鉱石

こんな感じの順番になってるんだけど銀鉱石までしか出ないんだよ…

下に行く道が無くてずっと上に登ってるのも影響あるのかな?

まあ目的の鉱石は取れてるからいいんだけどさ…

あと所々に池とか湧き水、川っぽいのまであるんだよね。

さすがに水と鉱山のフィールドってだけはあるよね!

「フウ〜ご飯食べたーい」

「じゃあどこか安全そうな場所見つけて休憩にしよっか!」

「やったー!」

……さて、お腹も満たせたし!…って言っても空腹になってもなんかあるわけじゃ無いんだけど。

そういうシステムが追加された時怖いなー…

また私のお店忙しくなるじゃん。

今NPCの露店があるから私のお店くらいしか料理出してないらしいし、それをきっかけにみんなが料理の店出してくれればいいけど…

まあそれは私じゃ無くてガゼルさん達がなんか考えてくれるよね!

それよりも私は今この山をどうにかしないとね!

「行こっか!」

「はーい!」

それからさらに数時間歩いてたらここでやっと進展があったの。

少し先に明かりが見え始めたの!

「ライム!」

「うん!」

私達は山頂かと思って全力ダッシュしたの。

それでついに!と思って外に出たら山の中腹くらいかな。

まあそりゃそうだよね…

こんなにすぐ辿り着くわけがないよね。

ショックをを受けながらも登れる場所はないと周りを見渡すと少し上に行った所に一つの小屋があるのを見つけたの。

「ねえ、ライム。あそこにある小屋行ってみよっか」

「はーい!」

そもそもなんでこんな所に小屋なんてあるんだろ?

誰か住んでたりするのかな?

「すみませーん!」

「おや、こんな所にお客さんとは珍しいのぉ。そんな所ではなんじゃ入ってはくれんかのぉ。まあ茶ぐらいしか出せんがのぉ」

出て来たのは八十歳は軽く超えていそうな老婆だったよ。

中に入ってお茶をもらった後、そこからこの山に伝わる神話の話が始まったんだよね。

それで長かったからまとめると、この山には神鳥と呼ばれ祀られてる鳥型のモンスターがいるらしくてこの先へは進めさせないとの事。

「そういう訳じゃからのぉ。この先へは進めさせられんじゃて諦めて引き返してはくれんかのぉ。どうしても行くと…!?お主!もしやインペリアルスライムではないか!?」

「?そうだよー?」

「やはりか!ならばここを通る資格があるというものじゃのぉ。それが神鳥様のお告げじゃからのぉ」

「よくわからないけど、通って大丈夫って事だよね?」

「そういう事じゃのぉ」

ピコンッ

《固有クエストⅡ『神鳥からの招待状』が発生しました》

あ、なんか来た。

しかも固有クエストかー。

というかあれ招待状だったの…

「それじゃあ色々とありがとうございます!」

そうして小屋を後にして山頂に向かったんだけどこの後私達が想像もつかない出来事が待ってた。

山頂に着いて多分戦闘エリアに入ったんだと思う。

目の前に蒼白の羽根と巨大な翼、真紅の瞳をした鳥が姿を見せたと思ったら自宅のベットで寝てたの。

え、え!?どうなったの!?そういえばライムは!?

「ライムー!?」

ピコンッ

《デスペナルティタイムの為『後11時間59分57秒』具現不可能です》

ん?私達死んだって事…?一回も攻撃してないのに!?

うん、ライム復活したらもう一回行ってみよう…

その間にポーションとか準備しないとなー。

そういえばHPポーションあるのに未だにMPポーション作れてないもんなー。

今度二階層で取れた水源草とかマナウッドとかで色々試してみよ。

いや、今やっちゃおうかな。

まずは水源草だね。

●水源草
特徴 : 水源の近くに群生する、源水を大量に含む草

あー、つまり水源から水を持ってこなくても水源の水を使えるってことね。

微妙だなー…まあ見た目凄くいいから観賞用とかなのかなー。

あとはマナウッドだね、杖用にもとっておきたいからとりあえず一本だけ使ってやってみようかな!

作り方はこの前のHPポーションでやった緑茶風のと同じ感じで蒸したりいろいろして最後に乾燥させる。

それでとりあえず普通の水で抽出して…

●MPポーション
評価 6
能力 : MPを65回復する

あれ評価値低い。

水源草使ってみる?

同じ場所で取れたやつだしね。

水源草絞って水を抽出して…

●源泉水
特徴 : 抽出に適した純水だが、5分経つと普通の水に戻る

え!五分!?急がないとじゃん!

抽出して…

●初級MPポーション
評価 10
特徴 : MPを90回復する

できたー!

じゃあこれをあと9個だね…

《初級MPポーション 評価10のレシピを習得しました》

よし!MPポーションのレシピも出来たし、今日はもう買い出し行って寝よ。

………

「…ふあぁ〜……あ!ライムー!」

「フウー!おはようー!」

「元気そうでよかったよ!」

「ライム復活なの〜!」

「起きてすぐだけどご飯食べて早いとこ行っちゃおうか!」

「はーい!」

それから私とライムは前回と全く同じ道を通って山頂まで足を運んだ。

「よし、付与も終わったしいこうか!」

「うん!ライム頑張る!」

そうして前回何が起こったかわからず終わっちゃったボスエリアに入ってく私達。

前回は入った瞬間に攻撃された事も考えて全力ダッシュで左右に移動したの。

まあ私は足そんなに早くないんだけどね…

それでようやく本体をお目にかかることが出来た。

蒼白の羽根や羽毛をまとって、純白の冠毛3本、真青の尾羽が5本あってそのうち長いのが2本ある。

体は私からしたら巨大だけどこの前戦った火竜とか邪竜ほどじゃない。

「貴方達また私の住処を荒らしに来たのね。いいわまた追い返してあげる!!」

「ライム!来るよ!」

「うん!」

………

…負けました。

5分も戦えなかった…

でもだいぶ戦い方わかってきたよ!

次で勝てるとは思わないけど、もう少し戦える気がする。

それであの神鳥《イラ・エルニクス》っていうらしいよ。

あと今まで確認出来た行動パターンはね、正式名称わからないから私が感じたものになるけど…

最初の方舐められてたのか、滑空攻撃とか嘴、翼、尾羽、足なんかで物理攻撃されてたんだけど、途中から属性攻撃も始めたの。

まずは水ブレス。

これは広範囲散布型と高水圧直線型の2種類があった。

次は水の爆弾かな。

これは散弾式に爆発した水の刃が四方八方に飛んでいく感じ。

もう一つが粘着系のやつ、これは普通の水が体を纏わり付いて離れないの。

攻撃力低下とか弱体化系のいろんな妨害魔法を使ってきたりしたの。

5分も戦えてないにしてはいろんな攻撃見られたよね!

対策も練りやすいってもんだよ!

………

ってなわけでもう一回挑戦してきました!

結果は…まあ負けだよね…

こんなに負けたの初めてだよ…

あとね、半分減らせたと思ったら冠毛が光ってHP全回復するしさ…

そんなの聞いてないよ…って感じだよね!?

そしたらそのあと突然雨が降り出したりして。

その後また新しい攻撃が出てきて、集光した太陽光が雲の隙間から天使の梯子みたいに降り注いだり、羽根を飛ばしたかと思ったらその羽根が何かに触れたと思ったら触れたものに対して水の槍みたいなのが突き出てきたりで…辺り一面穴ぼこだらけだよ。

というかまだ絶対攻撃パターンあるよね…

でも攻略していく楽しさってこういう事なのかな!

少しずつ紐解いてく感じだよね!

リアルだったらって考えるとちょっと怖いけどゲームだもんね!

さて、話を戻してあいつどう倒すよ?

これはもうあれを先に作るべきなんだろうなー…

よし、覚悟決めて作っちゃおう!

………

よし!とりあえずこんなもんかな!

まさかこんな事になるなんて思わなかったけどね…

とりあえずマイホームの設定で地下7階を大きい何もない空間に設定して設備は全部でこんなのもつけてみたよ!

戦闘可能エリア
破壊不能エリア
戦闘終了時HP自動回復エリア
戦闘終了時MP自動回復エリア
戦闘終了時アイテム自動復活エリア
経験値取得可能エリア

こんな感じにしてみました!

値段は聞かないで…あとちょっとで9桁入りそうだったなんて言わないよ…?

ま、まあそれは置いといてみんなに連絡しとかなきゃね!

『手伝って欲しいことがあるんだけどみんな私の家来れたりする?』

っと。これであとは大丈夫かな!

………
「あ!みんな来てくれてありがと!」

「あはは…また盛大にやったね〜」

「ね、ねえ?フウ、それはいいんだけどここなに!?」

「そうっすよ!何すかこの巨大な空間は!?」

「また常識はずれなもん作ったな…」

「もうみんなのその反応慣れたよ…ここは戦闘可能エリア、破壊不能エリア、戦闘終了時HP自動回復エリア、戦闘終了時MP自動回復エリア、戦闘終了時アイテム自動復活エリア、経験値取得可能エリアに設定してある特別訓練場だよ!」

「フウ?あなたもう大貴族ね?」

「いくら使ったっすか…」

「ま、まあそれは置いといて本題に入ってもいい?」

(話はぐらかすって事はやばいって自覚はあるみたいだね〜。あとで問い詰めよ〜!うん。本当に)

「それで?話ってのはなんだ?」

「うん、まず順を追って説明してくね!」

………

まず、今までの固有クエストのボス戦の話をしたの。

話はそこから始まるよ!

さて、話を戻してあいつどう倒すよ?

これはもうあれを先に作るべきなんだろうなー…

よし、覚悟決めて作っちゃおう!

生産職専用武器をまずはなんの武器にするかだよねー…

既存じゃないもので戦いやすそうなもの!

うーん…候補は銃、本、鎌、鎖、札、投擲、ブーメランとかかなー。

私的に興味あるのは本と鎌かなー!

銃も興味あるけど扱うの難しそうだし…

ただ本も銃も遠距離タイプで私がやりたい近距離戦じゃないから鎌にしよう!

鎌ってどうやって作るんだろ?

まあ刀の刃と槍の持ち手と同じ感じで作ればいいかな!

今回ばかりは自分のだからって手を抜かないで本気でやらないとね!

まずはなんの素材使うかだよねー!

今ある最高の素材で鎌に使えそうなのは、龍皇の秘焔玉とか焔龍皇の鱗、あとはミスリルとかボス戦の火竜から出らいろんな部位の素材とかかなー。

宝玉はまあ使わないとして防具用の素材も残しときつつその辺りの素材使っていこうかな!

まずはミスリル、焔龍皇の鱗、火竜の骨、火竜の鱗を一緒に高温、高圧力で溶かして鋳型の中に流して棒の部分を作る。

焼き入れとかも忘れずにね!

次はミスリル、ミスリル、焔龍皇の角、火竜の角、火竜の牙を溶かさないで柔らかくしてクロワッサンみたいに…

カンッカンッカンッカンッカンッ…

焼いて折り曲げて…

カンッカンッカンッカンッカンッ…

同じように…

カンッカンッカンッカンッカンッ…

これを何度も繰り返して徐々に鎌っぽい形にしていく。

細かい作業は前に刀作ったから割愛しちゃうね。

鎌っぽくなったらここから刃をつけてー。

砥石で綺麗に研いで刃を付けてもちろん鏡面加工もして…

便利技の錬金で持ち手と刃をくっつけてー…

彫金で紅葉の彫刻でも入れとこうかな!

あとは最後に火竜の翼を鎌の刃より小さくして鎌の反対側にくっつけちゃえー!

とりあえずこんなもんかな!

最後の最後に付与してー…出来た!

………

まさかこんな事になるなんて思わなかったけどね…

●紅炎の竜鎌(焔龍皇強化版)
評価 : 10
能力 : ATK+70 MATK+60 INT+20 DEX+10
火属性(中) 跳躍強化(中)
付与 : 火属性攻撃強化(中) 斬撃力強化(中)

ピコンッ

いや、ここまではいいんだよ?

性能は明らかにおかしいけどさ…

それよりも問題はピコンッだよ!

なにこれ…

《特殊武器 鎌がプレイヤー名 フウの固有武器になりました》

どういう事よ!?

私しか装備出来ないって事はわかるんだけどさ…

なんでこうなっちゃったの!

まあいいか、もう気にしない気にしない。

気にしたら負けだよ!

あ、そうそう。

みんな疑問に思ってるかもしれないけどなんでこんなに連戦出来るかってね。

ちょっとズルしてるんだよね〜!

ライムが死んじゃう前に戻ってもらってるの!

だからデスペナルティ発生しないから一日中連戦出来るよ!

明日はオフ会だしね!

その前にちゃっちゃと倒しに行こう!

ってその前にやらなきゃいけない事あるでしょ!

とりあえずマイホームの設定で地下7階を大きい何もない空間に設定して…

あと設備は全部でこんなのもつけてみたよ!

戦闘可能エリア
破壊不能エリア
戦闘終了時HP自動回復エリア
戦闘終了時MP自動回復エリア
戦闘終了時アイテム自動復活エリア
経験値取得可能エリア

こんな感じにしてみました!

値段は聞かないで…あとちょっとで9桁入りそうだったなんて言わないよ…?

ま、まあそれは置いといて…

「ライム〜」

「フウー!あいつ倒しに行くの!?」

「ごめんね、まだなの」

「わかったー。ねーフウ?ここどこなの?」

「ここは家の地下7階だよー!ライムにはこれから私と戦ってほしいの!あいつを倒すためにもね!」

「フウに攻撃…しなきゃだめ?」

「私が強くなるためにもお願いできない?死んでもすぐ復活できるし!」

「んー、フウが言うならわかった」

「ありがと。じゃあ始めよっか!」

「うん!」

そこから私とライムの戦闘が始まったよ。

最初は全然手も足も出なかったの鎌の使い方とかわからないし!

徐々に立ち回りとか回し方、使い方とかわかってきて2時間経った頃にはもう…

「フウどんどん強くなってる!これで一緒に戦えるねー!」

「そうだね!まあまだライムに1回も勝ててないけどね〜…」

ピコンッ

《新たに『大鎌術』の能力を獲得しました》

あ、なんか覚えた!

初めての戦闘系能力だよ!

これで私もやっと戦えるよ〜!

でもまだまだだよね、モンスターとか倒してレベル上げなきゃだね!

「ライムー、山登り行こっか!」

「うん!行くー!」

それから山頂に至るまで私はモンスターを嫌という程倒して倒して倒して…

それで山頂に着いた。

それにもうすぐ夜になるから挑戦はこれで最後だね!

明日のオフ会のことを考えるとゲーム内では明日が最後になるかな〜。

流石にこれなら勝てるよね…?


フウ Lv53 所持金 : 約200万G

●ステータス ステータスポイント 0p
HP 350 MP 2420

STR 0(+19) VIT 0(+35) INT 185(+47)
MND 100 DEX 80(+105) AGI 50

●装備

・武器 : 紅炎の竜鎌(焔龍皇強化版)
評価 : 10
能力 : ATK+70 MATK+60 INT+20 DEX+10
火属性(中) 跳躍強化(中)
付与 : 火属性攻撃強化(中) 斬撃力強化(中)

・包丁 : クリスタルダガー
評価 : 9
能力 : STR+15 INT+25 魔力放出(中)
付与 : 風属性(小) 斬撃強化(小)

・頭 : 清流の髪飾り(黒蛇強化版)
評価 : 10
能力 : DEF+10 MDEF+20 DEX+20
水耐性強化(小) 水属性攻撃強化(小)
物理攻撃軽減(中) 属性攻撃強化(小)
付与 : 攻撃力強化(小) 魔法攻撃力強化(小)

・胴 : 清流の軽鎧(黒蛇強化版)
評価 : 9
能力 : DEF+10 MDEF+15 DEX+15
水耐性強化(小) 水属性攻撃強化(小)
物理攻撃軽減(中) 属性攻撃強化(小)
付与 : 物理攻撃軽減(小) 魔法攻撃軽減(中)

・体 : ×

・手 : 清流の腕当て(黒蛇強化版)
評価 : 8
能力 : DEF+10 MDEF+13 DEX+10
水耐性強化(小) 水属性攻撃強化(小)
物理攻撃軽減(中) 属性攻撃強化(小)
付与 : 生産速度強化(小) 生産効率強化(小)

・腰 : 清流のスカート(黒蛇強化版)
評価 : 10
能力 : DEF+10 MDEF+20 DEX+20
水耐性強化(小) 水属性攻撃強化(小)
物理攻撃軽減(中) 属性攻撃強化(小)
付与 : 回避率強化(小) 回避速度強化(小)

・足 : 清流の靴(黒蛇強化版)
評価 : 7
能力 : DEF+10 MDEF+12 DEX+7
水耐性強化(小) 水属性攻撃強化(小)
物理攻撃軽減(中) 属性攻撃強化(小)
付与 : 移動速度強化(小) 跳躍強化(小)

・背 : 清流のマント(黒蛇強化版)
評価 : 10
能力 : DEF+10 MDEF+20 DEX+20
水耐性強化(小) 水属性攻撃強化(小)
物理攻撃軽減(中) 属性攻撃強化(小)
付与 : 物理耐性(小) 魔法耐性(小)

・アクセサリー
① : 紅炎竜のネックレス
評価 : 10
能力 : MDEF+20 DEF+10 MND+30 AGI+20
火属性攻撃強化(小) 火耐性強化(中)
付与 : 火属性攻撃強化(小) 物理耐性(小)

② : ミスリルリング・クリスタルガラス
評価 : 10
能力 : MATK+20 MDEF+10 INT+20
魔力操作(小) 消費MP-2%
付与 : 回避率強化(小) 魔法耐性(小)

③ : 黒蛇の腕輪
評価 : 8
能力 : ATK+20 STR+30
攻撃力強化(小)
付与 : 攻撃力強化(小) 移動速度強化(小)

●特殊能力
鍛治職人 Lv93 裁縫職人 Lv89 木工職人 Lv67
彫金職人 Lv86 錬金術師 Lv92 薬剤師 Lv71
調理師 Lv95 付術師 Lv47 従魔師 Lv52 魔力操作 Lv68

●能力
大鎌術 Lv28 幸運(大) 生活魔法

●従魔
ライム


これで負けたら私もうなす術無くなっちゃうよ?

付与も掛けたし、これが最終決戦であってほしいよ…

「ライム!行くよ!」

「はーい!」

まず、ボス部屋に入ると開始速攻で下から水の刃が出てきてこれに当たると即死しちゃうからこれを全力で避ける。

このゲーム回避行動がステータスに影響されないから助かったよ…

影響されてたら間違いなく私このボス倒せないしね…

そこから最初は物理攻撃のみ。

「ライム!一緒に行くよ!」

「はーい♪」

二人で特攻。

みんなの事脳筋なんて言えないね…

いろんな種類の物理攻撃をギリギリまで見極めて躱し、私は鎌、ライムは光魔法の光剣まあ正式名称ライトソードっていうらしいんだけどそれを7本出して攻撃。

あれ3本見極められるようになるまでどれだけ時間掛かったか…

あんなのが7本なんて考えたくもないよ…?

それでそこからボスの体力が2割減るとそこからさらに水ブレスと水魔法の攻撃が追加されて物理攻撃だけでも厄介だったのにここからさらに厄介になる。

2種類の水ブレスに水の爆弾、行動を制限してくるネバネバにデバフっていうんだっけ?それも使ってくるし…

「ライム!ネバネバくるよ!」

「はーい!」

………

「フウー、細い方のブレスがくるー!」

「わかった!」

そこから体力半分減らして全回復された後は雨の中での戦闘になるの。

天使の梯子だったり飛ばした羽根に触れたら地面えぐれるくらい強い槍みたいなものが飛び出てくるし…

前回はこの辺で死んじゃったんだよねー…

だからここからは未知の領域だよ!

私は流石に梯子と羽根の槍は躱しきれないからできる限る避けてライムに回復してもらう形になった。

ライムは全部綺麗に躱してるよ…流石に慣れてきたのかな!

私もライムみたいに真似できればいいんだけどね。

まずは水ブレスを躱してそこから追加で飛んでくる羽根の槍をできる限り躱して鎌で連撃する。

私がそんな感じで戦ってた時、陽は傾いて綺麗な夕陽でお天気雨の珍しくも綺麗な景色に変わった頃、夕陽の方からなにか…!?

「ライム!避けてっ!!!」

「フウ…?うわっ!?」

天使の梯子、まあ集光線が真横からレーザーみたいに一直線に飛んできた。

集光線が通った跡はマグマのように煮えたぎり雨で冷やされ固まっていくのがわかる。

「ライム、大丈夫!?」

「うん、ちょっと当たっちゃったけど大丈夫!」

「ちゃんと回復しておいてね!」

「はーい!」

そうして次第に夜になって真上には巨大に見える満月と天の川とか無数の星とか戦い中じゃなかったらすごい魅入っちゃったんだろうなー。

というかまたあいつ回復してるし…せっかく3分の1まで減らしたのに…

そんな事を思ってたら、大きな翼を伸ばしすごい風と共に星空に羽ばたいたの。

なんかすごい嫌な予感がするんだけど!…

「ライム!今すぐこっち来て!」

「…?はーい!」

…ん?なんか寒い…!

なんて思ってた瞬間、上から巨大な氷の塊が降ってきたんだよ。

「やばい!《スキル付与 魔法耐性 水属性耐性》!」

咄嗟に付与掛けたから私とライムは平気だったけど、気づいたら辺り一面に砕けた氷解が広がって一番外側は砕けた氷解で薔薇の花みたいになってた。

「あ、雪だ…さむっ!」

「フウーこれ綺麗だねー!」

「そうだね!」

というかなんで雲ないのに雪降ってるんだろう。

名付けるなら月下氷雪戦!なんてね…

そこからは少し変わったけど前と同じ感じ。

水ブレスは氷ブレスになって飛んできたり、水系の攻撃が全部氷系に変わったの。

そこから半分くらいまで減らした時、また出たんだよ…

冠毛が光って全回復されるって思うじゃん?

そしたらHP継続回復だって。

場合によっては全回復よりタチ悪いよね…?

そこからはもう地獄だったんだよ。

攻撃しては回復されての繰り返し…一応回復量以上にはダメージ与えられてるけど…

そんなのがしばらく続いてやっと残り2割まで減らした時また空に飛んだの。

またなんか強い技使ってくるのかと思ったら、今までずっと降ってた雪が何かに当たると薔薇みたいに咲き始めたの。

しかもその雪が私たちに体に当たって花が咲くとほんの少しだけどHPが減ってくし…

「ライム!これはスライムに戻ったほうがいいかも!」

「わかったー!」

というか降りてこないし…

空に逃げたって所かな?

対空戦かー…ライムの射程距離ではあるけど、私どうしようかなー…あっ!

そういえば鎌に跳躍強化ついてたっけ、使ってみよっと!

それっ!

「いやぁぁぁーっ!こんな高く飛ぶなんて聞いてないよー!」

でもこれなら上から攻撃出来るから狙いやすいよねっ!

えいっ!

私は鎌を大きく振りかざして縦に振り下ろしてそのまま鎌を持ち替えて横にそんで最後に上へと振り上げるっとー!

んー、鎌って空中戦難しいなー…

とりあえず一回降りないと。

今までは一回の回復量の半分くらいだったけど今は2割くらいってとこかな…

こりゃ相当持久戦になるね…

「ライム!一気に畳み掛けちゃおっか!」

「はーい!ねーフウー。ライムもあのぴょーんって飛ぶのやりたい!」

「ん?あ、跳躍の事ね。いいよ、じゃあ私に捕まっててね!」

「うん!」

そう言って抱きついてきたライムを抱き返して私達は空に向かって跳んだ。

空中で二手に分かれてライムは光剣で、私は鎌で攻撃する。

私達はただジャンプしてるだけだから空中で攻撃されたら避けられない。

だから攻撃受けたら落ちる前にライムに回復してもらってるんだ。

あ、空中では物理攻撃と氷ブレスがメインで地上にいるときは羽根の氷槍とかデバフなんかがメイン。

攻撃を躱して跳んで攻撃して、ダメージ入ったら回復。

こんなエンドレス状態が続いてしばらくした辺りで私たちにも限界が近づいてたの。

それでも神鳥のHPもあと僅かに迫ってあと1回か2回飛んで攻撃したら倒せそ…!?

「ライム!光魔法で障壁作れる!?」

「うん、ライムもおんなじこと考えてた!」

「私達包んだらすぐ防御体制とって!」

「はーい!」

今までずっと咲き積もった氷薔薇が一斉に花びらになって舞い始めたんだよ、これは見るからにもうまずいよね…

ただそんな花吹雪は月光に照らされてダイヤモンドダストみたいにすごい綺麗だよ!

なんて思ってたらその花吹雪が一斉に私達めがけて飛んできたんだよ…

最初はライムが作ってくれた障壁でどうにかなってたんだけど、徐々ににその障壁が薄くなっていくのに気づいたから私も私の魔力で障壁を作ったの。

それとほぼ同時にライムの障壁が無くなっちゃって…

ほんと間一髪だったよ…

そんな私の障壁も長く持つはずも無くて…

「ライム、ごめんね。ダメだったらもっと強くなってからまた来ようね…」

「うん、ライムももっともっと強くなってこいつ倒すもん!」

私達にダメージが入り始めて少ししたら花吹雪は砕け散って月光に照らされる砕けた花が降り始めたの。

「「綺麗だね」」

二人で同じ事を同じ事を言って、私が雪月花を同時に楽しんだ気分だなーなんて思ってたら神鳥が降りてきた。

「ライム」

「うん」

この言葉だけでお互い戦闘体制に入るって私達の息が合ってるのか戦い慣れてきたのか…

「あれを耐えきるとは流石ですね。もう私に戦う力は残ってないから武器を下ろして話を聞いてもらえないかしら?」

「フウ?」

「わかった。それで話っていうのは?」

「ええ、実はこの子の為に私に勝てる相手を探していたのよ」

そう告げた神鳥の表情には決断の中に寂しさを感じた気がした。

「聞いていいことかわからないけど、自分ではもう育てられないって事?」

「ええ、恥ずかしい話なのだけれど…溺愛しすぎて魔力も生命力もほとんど使い果たしちゃったのよね…あなたと戦う前は2割くらい残ってたのだけれど、もうほとんど残ってないのよ」

「じゃあライムと戦った時は本気じゃなかったのー!?」

「こらっ、ライム!」

「いいのよ、本気の私とはやめたほうがいいわよ?世界だって滅ぼせるんだもの」

「この鳥さん笑ってるのになんかこわーい…」

ま、まあ2割であれだもんね…

「そういえば勝てる相手を探してたって事は…」

「ええ、貴方達にあの子を育てて欲しいの。それで死んだ私であの子の装備を作って欲しいのよ。余ったものは貴方達が使って構わないわ。貴方の得意分野でしょう?」

そんな重大な事私に出来るのかな…それでもそれが私に出来る事なら…!

「うん、そういう事ならわかったよ!」

ピコンッ

《エクストラアイテム『神鳥の卵』を入手しました》

いや、入手って…

まあゲームだからしょうがないんだろうけどさ…

「そうそう!5階層の森と9階層の渓谷に私の友達がいるから合ってみるといいわ!」

「わかった、覚えておくね!」

「あ、そうだわ!最後に貴方にも渡したいものがあるの!これよこれ!」

「…私に?」

ピコンッ

はい、来ましたピコン。


●天巫女の神鎌
評価 : 10
能力 : 重力操作(小)
特殊能力 : 生産の境地
『生産職Lv10につき全ステータス+1』

●天巫女の小太刀
評価 : 10
能力 : 空間操作(小)

●天巫女の天冠
評価 : 10
能力 : MP継続回復(小)
特殊能力 : 全身装備時『生産の境地 生産速度上昇(小) 生産効率上昇(小)』

●天巫女の羽衣
評価 : 10
能力 : HP継続回復(小)
特殊能力 : 全身装備時『生産の境地 生産速度上昇(小) 生産効率上昇(小)』

●天巫女の領布
評価 : 10
能力 : 魔力放出
特殊能力 : 全身装備時『生産の境地 生産速度上昇(小) 生産効率上昇(小)』

●天巫女の空靴
評価 : 10
能力 : 跳躍
特殊能力 : 全身装備時『生産の境地 生産速度上昇(小) 生産効率上昇(小)』

●天巫女の天翼
評価 : 10
能力 : 飛翔
特殊能力 : 全身装備時『生産の境地 生産速度上昇(小) 生産効率上昇(小)』

●天巫女の指輪
評価 : 10
能力 : 全状態異常軽減(小)
特殊能力 : 全身装備時『生産の境地 生産速度上昇(小) 生産効率上昇(小)』


もう見るからにやばそうだよ…?

これでまたさらに周りから化け物呼ばわりだよ…

「これでやるべき事はやっただけれども、最後に貴方達に会えて本当に良かったわ。子供の顔が見られないのは残念だけれども…これでお別れね。さようなら…」

「うん、こちらこそありがとう。子供の事は任されたよ!さようなら…」

「フウー?鳥さん死んじゃったの…?」

「うん、そうだよ」

「なんか悲しいねー…」

そんなライムの瞳からはぽろぽろと雫が垂れてた。

ピコンッ

《固有クエストⅡをクリアしました》

そうして私達は素材を回収した後、最後にお墓を作って自宅に戻ってきた。

………

「まあ、そんな事があったからみんなを呼んだって訳!」

まあその前に新装備でライムと一回戦ったんだけどね!

「そんないい話を聞かされた後に私達は何をしたらいいのかしら?」

「新しい仲間の紹介って感じか?」

「そういう訳じゃないよー、まだ生まれてないしね…」

「自分もそれだと思ってたっすよ!?」

「うちはフウがやりたいことわかるけどな〜」

「うん!私の戦闘訓練して欲しいの!」
私は今新宿駅西口の地上にある宝くじ売り場の前にいるの。

なんて言ったって今日はオフ会だからね!

昨日の訓練は面白かったなー!

私が天巫女シリーズを手に入れたからみんなに戦闘訓練お願いしたんだよねー!

見た目は簡単に言うと巫女服に天使と天女の要素が合わさった感じ。

天女は女神だった気がするけどどこの神の使いだよって感じだよね。

まあどんな感じだったかは話に出てくるだろうからまた後でだね。

そろそろ彩華来る頃だし!

「おはよー!いやー相変わらずゲームでもリアルでも早いねー」

「あ、来た。おはよー!そろそろ来る頃かと思ってたー」

「ふう、そのトレンチコート可愛いね!」

「そう言う彩華は相変わらずボーイッシュだね〜」

そんな会話をしながら数分が経って…

「そろそろ待ち合わせの時間だしレイナ達探さない?」

「そだねー、まあ見つけやすいと思うけどね〜」

彩華がなんでそんな事を言ったのかわからなかったけど、とりあえず辺りを見渡したら宝くじ売り場を挟んで私たちの反対側に睨み合う二人の男性。

とその間に呆れた顔をする女性の3人組がいた。

「あ、そういう事か」

「ねぇ、ふう?」

「ん?」

「えっとね………」

「…それ面白いかも!」

そうして私達は小声で「せーの」と合図をして…

「「ジュっくーん!」」

と軽く叫んだ。

「お、おい!?」

「あ、やっぱりそうだったね〜」

「あなた達がフウとアヤカかしら?」

「そうだよー!レイナはわかるとしてさっきびっくりした方がジュっくんで反応しなかった方がファイスだね」

「お、おう…」

「ジュっくんもしかして照れてるのー?」

「そ、そんなんじゃねー!…」

「とりあえずカフェかどっか入らないっすか…?」

「そうだね〜。フウどっかおすすめの場所ある?」

「私この間彩華と見つけた歌舞伎町のカフェかなー」

「あー、あそこね!」

「逆にみんなはどっかおすすめとかある?」

「私はあまり新宿に来ないからわからないわね…」

「自分もっすね」

「俺もとくにねぇな」

そんな感じで歌舞伎町の入り口?の近くにある雰囲気の落ち着いたカフェに私達は入った。

「5名様でよろしいですか?」

「はい」

「おたばこは吸われますか?」

「たばこ吸う人いる?」

「私と隼人は吸わないわ。隆太くんは?」

「す、吸わないです」

「じゃあ禁煙席でお願いします」

「かしこまりました。ご案内いたします」

席に案内された私達は店員がおすすめを紹介し、立ち去った後なぜかレイナ、ファイス、ジュっくんが無言になっていた。

(え、何でこんな高いの!?リッチとかアロマとか色々あるけれど何が違うのかさっぱりわからないわよ!?)

(おいおい…いつも飲んでるコーヒー何杯飲めるんだよ!?そんなに味違うもんなのか…?)

(なっ、なんすかこれ!会社のコーヒーくらいしか飲まない自分が来ちゃいけないところな気がするっすよ!?)

そんな近くでメニューまじまじ見るものかな…?

「みんな決まったー?」

「うちはいつも通りふうと一緒でいいやー!」

「え!?ええ…(そうよその手があったわ!)」

「俺も大丈夫だ(アヤカ、その手に乗らせてもらうぜ)」

「じ、自分もオッケーっす!(その考えがあったっすね!)」

みんな大丈夫って言うから、私が手を上げて店員を呼んだんだけど…

「私、プレミアムリッチとモンブランで」

「「「「同じく」」」」」

「合計5セットでお間違いないですか?」

「え、えっと…みんな私と一緒…?」

なぜかみんな一緒だったの。

そこからこのなんかよくわからない空気をどうにかしようとした彩華が自己紹介しようって言い出してくれたの。

「じゃあまず言い出しっぺのうちからだね〜!名前は春谷彩華、もうわかってると思うけどキャラはアヤカだねー!高2の17歳だよ〜」

「次は私だね。名前は暁月ふう、キャラはふうで彩華とクラスメイトだよー」

「それじゃあ次は私ね。大代麗奈。に、24歳よ。キャラはレイナで普通の会社員よ」

「自分はファイスこと西野隼人っす!姉さんとは幼馴染みたいなもんすかね?歳は23っす!」

「最後は俺だな。十勝隆太、ジュドラだ。麗奈さんは同じ職場の先輩だな。同じく23だな」

「みんな呼び方は下の名前でいいわよね?」

みんなの自己紹介も終わって頼んだ物も来てここからお茶してスタートって感じになった。

「そういえばふうさんや?あの施設はいくら使ったのかな〜?あとあの装備なに!?」

「そうよ、呼び出されたから何かと思ったらあんな施設あるし、なんかふう巫女みたいな姿してるし…」

「え、えっと…施設はまあ、あと少しで9桁に…」

「9桁って事は、一十百…あと少しで1億使うところだったって事っすか!?」

「前にも先輩が言ってたが本当に大貴族だな…」

「それであの装備は前の話に出てきた神鳥から貰ったものって事でいいのかしら?」

「あ、うん。なんか生産職のための装備って感じだったよ?能力はね…」

「「「「はあぁぁぁーーー〜…」」」」

「つまりあれか?レベル10のボーナス考えねーと、レベル1につき5だろ…って事は…」

「今のふうのステータスだと武器と防具で合わせて112になってステータスが6種類あるわけだからステータスだけで言えばレベルが130以上差があることになるわね…」

「どこのラスボスっすか…」

「そりゃ当然あんな戦いになるよね〜…」

そう、あやかが言ったあんな戦いっていうのはみんなを訓練場に呼んだ時のこと。

まず最初に一対一で全員と戦ったんだけど、何でか全勝しちゃったの。

流石に全員には勝てなかったけどファイスとレイナだけには勝つことが出来たの。

ま、まあそんな事があって喫茶店では私攻略の話題で終わった。

「そろそろでよっか〜」

「そうだね、そろそろ麗奈に料理を…あ、そういえばどこで料理する?」

「そうね、それは考えてなかったわ…私の家吉祥寺にあるアパートだし…」

「うちも世田谷区だしなー?あれ〜誰かさん新宿じゃなかったかなー?」

「…え?私の家!?あ、でも器具も調味料もあるからやりやすいかも」

「じゃあふうの家って事で〜!」

「なあ、隼人?私の家って事は一人暮らしだよな?犯罪にならないよな…?」

「大丈夫っすよ!きっと…」

小声で話してた隆太と隼人を置いて私達は席を立って会計に向かっていた。

「ほら、貴方達なにやってるの?行くわよ!」

「会計は分割でいいか?」

「ちょっ…隆太さん!?いいっす!自分会計払います!」

「え?いいよ。ここ選んだの私だし」

「そんなこと言わずに…!?いや、いいっすよ出します!会計カードでお願いするっす」

「じゃあお言葉に甘えて…ありがと」

「ありがと〜」

(その笑顔反則っすよ!?それに相手は女子高生女子高生…というか自分には姉さんがいるっす!)

「すまん、あとで半分渡すから値段教えてくれ」

と隆太が隼人に小声で言った事は私達は知らない。

「じゃあ私はお昼代出させてもらうわ。授業料払ってないしこれくらいしかできないけれども…」

「わかったー。じゃあ買い物して私の家行こっか」

そんな感じで喫茶店を後にした私達はスーパーに向かった。

「あ、麗奈なんか作りたいものとかある?」

「いえ、特にないからふうに任せるわ」

「じゃあ無難にオムライスとかにしとくかなー。あとはサラダにスープに…」

「な、なあ。ふうの目輝いてねーか?」

「あー、あれね。料理するときはいつもあんな感じだよー!」

「前にもイベントの火山でこんな事あったっすね」

「うん!これでいいかな!」

買い物を済ませて私達はタクシーに乗って私の家に向かった。

お金を払って私の家の前についたんだけど…

「な、なあ。ここってタワーマンションだよな…?」

「そうね、何かの間違いかしら…?」

「まさかここって事はないっすよね!?」

そんな驚いてる3人に気づかなかった私と彩華は先に進み私がオートロックを開けて私と彩華は中に入っていった。

「「「ここなの!?」」」

と叫んだ3人も慌てて中に入ってきた。

エレベーターに乗って38階まで登って私の家に入る。

「ねえ、ふう?流石に実家よね?」

「え?一人暮らしだよ?」

「そうよね…」

「それより早くお昼作っちゃお!彩華達はリビングで待っててー。お茶とか持ってくから!」

「おっけー!隆太も隼人も行くよー」

………

なんか色々あったけどようやく私と麗奈の料理教室が始まったの。

「じゃあまずブイヨンでご飯炊いちゃおっか!」

「前から気になっていたのだけれどもブイヨンって何かしら?」

「んー簡単に言ったらフランス料理でよく使う出汁かなー」

そんな感じでご飯を炊いてる間にケチャップライス用とスープ用の玉ねぎ、自家製の鶏肉ベーコンをカットしてシーザーサラダとオニオンスープ、ケチャップライス用の飴色まで炒めた玉ねぎを作った頃にご飯が炊けた。

「麗奈やっぱり手際いいねー!本当に私から料理教わる必要あった?」

「それはふうの教え方が上手いからよ。これでも料理教室行ってもダメだったんだもの…」

「私からしたらそんな風には見えなかったんだけどなー。とりあえずソースの解凍も終わったしそろそろ今日のメインのケチャップライスと卵作っちゃおっか!」

「ええ、よろしくお願いするわね!先生、いえ。師匠!」

「ちょっ、流石に師匠はやめてー」

………

「あっちは二人で楽しそうだね〜」

「あぁ。それよりさっきからいい匂いがしてたまんねぇな!」

「そうっすね。それよりさっきの話の続きっすけどやっぱりふうに勝つにはプレイヤースキルで押し勝つか修正入るの待つしかないっすかね…?」

「そうだと思うなー。今はまだ力を使いこなせてないし持て余してる感じがあるからいいけどマスターしちゃった時点でただのラスボスだよね〜…」

「はは、ラスボスか。そりゃいい例えだ!」

本人のいないところでラスボス認定されてしまった事は当然ふうが知る事はない。

………

「そうそう!ケチャップライス振る時は両手で持ってご飯をひっくり返すイメージで上にあげるの」

「こ、こうかしら…?」

「うーん、なんて言ったらいいんだろうなー。こればっかりは見て練習して覚えてもらうしかないんだよなー」

「そうね、私もふうのを見ていたけれどもなんて伝えたらいいかわからないもの。でもどうやるか理解はしているわよ!」

「それなら良かった。まあ後4回もあるしね!」

(それにしてもふうのキッチンすごいわね…温蔵庫って言ったらいいのかしら?ウォーマーみたいな機械とふうはブラストチラーと言っていたかしら?急速冷却器みたいな機械にそのほかにもどれも業務用みたいで見た事ないものばかりだわ…)

「どうかしたの?」

「いえ、なんでもないわ!後4回終わらせちゃいましょう」

………

それからというもの、麗奈は凄まじい勢いで上手くなっていって4回目をするときにはアドバイスしなくてもできるようになってたの。

飲み込み早すぎて怖いよね…

ま、まあここからは本番の卵だし、気を取り直して次いこ次!

「じゃあとりあえず洗い物やって整理してから卵作っちゃおっか!」

「そうね!私ふうのおかげで今、初めて料理が楽しいって思えてるわ!」

「それならよかった!麗奈飲み込み早いから教えがいがあるよー!」

なんてそんな話をしてたら洗い物も終わっていよいよ今回のゲームで言う所のボスの登場って感じだね!

「これがオムレツ専用のフライパンなんだよね。今回はこれ使ってやってみよっか!」

「専用のフライパンなんてあるのね!」

「うん!これだとトントンしやすいし丸めやすいのー!」

(トントンって何かしら…?)

「じゃあまずは一回手本でやるねー!」

卵に塩胡椒、生クリームを入れて白身がほぐれるまでひたすら混ぜる混ぜる混ぜる!

「液はこんな感じー!次にフライパンに油入れて馴染ませながら表面を煙が出るまで火にかけてー………で最後にまた火にかける。これ鍋焼きっていうんだけどこれやらないと卵くっついちゃうんだよね!」

「卵焼くにもいろいろあるのね…」

「まあね、でも鉄製じゃなければやらなくても大丈夫だよー!それで、ここからが時間との戦いなんだけど…フライパンに卵入れたら急いでかき混ぜてー、ある程度ダマができてきたら持ち手の方持ち上げて傾けた方向に卵寄せてー、最後に持ち手のとこトントンして丸める。で、最後に継ぎ目に軽く火を通してー、これで完成だよ!」

ふうが作ったオムレツは綺麗にフワフワと丸まり、焼き目ひとつない鮮やかな黄色をしていた。

「え、えっと…私これできるかしら…?」

「これも練習あるのみかなー。まあ今回は何回か練習してもらったらオムライス用の卵は裏技使っちゃうけどね〜」

「そうね、裏技がきになるけれども後でのお楽しみにしておくわ」

そこから10回くらい練習したけど流石にここはうまくいかなくて結局裏技を使う事になっちゃった。

「じゃあ裏技教えるね!普通のフライパンにー、油引いて卵乗せてー、混ぜる!」

「…え?それだけ…?」

「?うん、そうだよ?ダマ作って半熟の状態で一枚の卵にしたらフライパンからずらしてさっき作ったケチャップライスの上に乗せるだけだよー」

「本当に簡単なのね…裏技っていうのも納得だわ」

「まあ包んだやり方よりはふわふわしないんだけどね…」

「そ…そうなのね…」

あれ、もしかしてちょっと引いちゃったかな?

ま、まあ。これが私だしなー?

「とりあえず人数分作って盛り付けしちゃおっか!向こうの3人も待ってるだろう事だし!」

「それもそうね!」