『必ず相性のいい相手と出逢えます! マッチングアプリ「キラキラ」』
「実にうさん臭い売り文句だなと思うだろ。でも、看板に偽りなし、本当に素敵な相手とマッチングしてくれるんだよ」
数少ない友人のアキラが、興奮して早口でまくし立てる。
AIも駆使しながら、百パーセント、相性のぴったりな相手を紹介してくれるらしい。
こういうのに疎かった僕にも評判は聞こえていたけど、まさか、アキラまでハマっていたなんて。
「じわじわと口コミが広がって、今じゃ俺が勧めるまでもなく大人気さ。だけど、これだけ登録者が増えてるのに、未だに満足行ってないなんてやつ、見たことがないんだぜ?」
なんとなく、ずっと敬遠してきた。
こういうツールに頼るよりも、自分で意中の相手を探すほうが、ずっといいんじゃないかって。
それに、初対面の相手といきなり会って、そこから先のステップへ……というのもやっぱり、二の足を踏んでしまう一因だ。
「お前が疑り深い性格なのは百も承知だけどよ、ヤマトも、試しにやってみなって。本当にイイんだよ。この俺だって、カワイイ女の子と会って、そのまま上手くいったんだからよ」
そう力説するアキラは、いくら賑やかな飲み屋だといえ、辺り構わず声が大きくなるところが昔からの悪癖だ。
でも。
僕だって、他人はすべて疑ってかかるような根暗な性格で、かなりイケてない部類の人間だという自覚はあるけど、その僕よりも正直イケてないんじゃないかってアキラが満足する出来というのは、ちょっと、惹かれる。……なんてことは、本人にはもちろん言えないけれど。