「なぁ琥珀……なんでお前は召喚出来たんだ? 俺さ? 師匠が描いてくれた神龍を召喚しようと思ったんだけどな? 全然無理ってか詠唱? ってのも分かんねーしさ。でもお前は詠唱してねーのに召喚できたじゃん? なんでだ?」
俺は小さな子供を抱くかのように、膝の上に琥珀をのせて話をしている。
なぜなら上半身肌の俺には、ふわモフの琥珀の体温が抱いていると心地良いんだ。
後でなんか着れる服を探さないとだな。
『え? らんどーちゃまは知らずにワレを召喚したんでちか?』
琥珀が大きな目をさらに広げて驚いている。
「そうだよ! 何も知らねーよ。そう言うお前は知ってる口ぶりだな? 琥珀よ」
琥珀はフンスと鼻息を荒くしふんぞり帰ると『ワレはこの世界で生まれたでち、だから何となく分かるんでち。ではワレが教えてあげるでち』っと得意げに話し出した。
『良いでちか? らんどーちゃまはレベルと言う言葉知ってるでちか?』
「レベル? ファンタジーゲームのそれか?」
『そうでち! この世界ではレベルがあるんでち』
なるほどな。
琥珀が言うには、この世界では色々なレベルランクがあり、自分のレベル以上の魔法や召喚はできない。
だから俺は、師匠の神龍が召喚できなかったんだな。
レベチってことだ。
……ってことは今の俺のレベルでは、こんなちんちくりんの白虎しか召喚できないってことか。
俺は少し残念そうに琥珀を見る。
『む? 何でちか? 何やら悪口を考えてないでちか?』
ぐっ琥珀のやつ中々鋭いな。
「そんなわけないだろ? お前はカッコいいなぁって見てたんだよ」
『ふふふ。そうでち? ワレはカッコいいんでちか』
琥珀の尻尾がゆらゆらと嬉しそうに揺れる。
「ところでさあ? 自分のレベルはどうやって知るんだ?」
『んん? そんな事でちか、らんどーちゃまは鑑定のスキルを持っているので、自分を鑑定したら良いんでち』
「鑑定?」
何だそれは? って!?
「わっ!! 何だこれ」
目の前に何やら文字が浮かび上がってきた。
『それがらんどーちゃまのステイタスでち』
名前 乱道
レベル 1
種族 人族
力 D/SS
体力 E/SS
魔力 SSS/SSS
スキル 召喚 E/SSS 鑑定 E/SS アイテムボックス E/SS
これが俺の……この力とかの横に描いてある、DとかSSとかってのは何か意味があるのか?
『ちなみにステータスの数値は一番低レベルはFでそこから順にE、D、C、B、A、SっとSが一番上でち』
なるほどな強さレベルか。でもDとSSって二個あるぞ?
『さらに左が現在のレベルで右が可能性のレベルでちこの右が低いとあまり成長できないでち』
おっおう。ナイスタイミングで説明してくれる琥珀。俺の心の声聞こえてねーか?
「じゃあさ? 俺さ成長レベルSSSとかあるぜ? すごくねーか?」
『えっ! そんなの知らないでちよ?』
琥珀がステータス画面を覗き込んできた。
『うわっホントでち! さすがワレの主でち! 最強でち』
琥珀が俺の膝から飛び降りると、クルクルと小躍りしている。
召喚レベルEか、そりゃ師匠の神龍を召喚出来ねーわけだな。
今の俺にはアイツが精一杯か……。
チラリと琥珀を見る、楽しそうに鼻歌を歌いながら小躍りしている
ははっ。なんか一気に緊張感がなくなるわ。
さてと……最低だったこの世界で、どうにか生きていけそうな気がしてきた。
まずはその為に、レベル上げが必須だな。