大きな亀の頭上に琥珀と稲荷が乗り、わちゃわちゃと戯れているんだが……。
 おいっ。琥珀よ? 遊んでんじゃねーか。
 なんかする為に、その亀の上に乗ったんじゃなかったのか?

『高いところは気持ち良いでちね~。景色が最高でちよ』
「キャふふ。わえサイコっ」

 …………ほう琥珀よ。わざわざその亀の上に乗ったのは、まさか景色を見るためか?

「あのっ。お兄ちゃん……僕どうしたら……」

 ミントがどうしたら良いのか困っている。
 だが俺に、何かいい指示ができる訳もなく……まだ召喚獣についてはよく分かってないからな。

『ミント様? タイタンの能力を使われないのですか?』

 そんな中、我路がどうしたら良いのか困惑している俺たちの間に入ってきた。
 さすが我路。察し能力が天才的。

「え……タイタンの能力?」
『ええ。そのタイタンの大地の能力を使えば、井戸水を綺麗に出来るはずですよ』

 この亀にはそんな能力が!? よく知ってるな。さすが我路だ。

「え? 僕にそんな事ができるの?」

 ミントも我路に教えてもらい、さらに動揺している。

『ええ。タイタンには、水の浄化や新たな水源の確保も出来るかと。ミント様? 水が欲しいと望んで下さい』
「僕が望む……分かった。ゴクッ」

 ミントは大きく深呼吸すると。

「タイタン。近くにある水源を探して!」

 亀に向かって叫んだ。

 すると亀は『グオオオオオオオッ』と雄叫びをあげた後。ドシンッドシンッとゆっくり歩き出した。

『おおっ動いた! 楽しいでち! 進めでち~!』
「キャふふ!」

 琥珀と稲荷が亀の頭上で、楽しそうにピョンピョン飛び跳ねる。
 ……お前ら何してるんだ。

 少し歩くと亀は動きをピタリと止め、地面をスンスンッと匂う様な仕草をしたと思ったら、頭を地面にズボッと潜らせた。

『うわぁ!? 何するでち!』
「うゆ!?」

 何するでちじゃないだろう? お前が何してるんだ。というか何がしたいんだ。

 琥珀と稲荷が亀の頭から背中へと、わちゃわちゃと慌てて移動している。
 ほんと楽しんでるな。お前ら。

 つい琥珀たちの方を見入っていたら、亀が地面から頭を出した。

「うお!?」

 次の瞬間。亀が潜った穴から水が噴水のように噴き出した!

「みっ水だぁー!」

 ミントが噴き出した水に走って行く。

 さらには掘建小屋から水の湧き出る音に、なんだなんだと人が出てきて、ワラワラと集まってくる。

「……水が!?」
「神の恩恵か!?」
「ああああっ!」

 みんなが歓喜の声をあげて、噴水のように湧き出る水のシャワーを浴びている。

「良かったな。みんな」

 亀の力……凄えな。