①物語の設定
聖女。
それは、天から与えられた能力【ギフト】を持って生まれた女性である。

地図を見れば危険な場所を察知できる【地図】の聖女エマは、上位聖女達の浪費癖、そして、それについて王族に意見したために王国を追放される。だが、その時エマは見ていた。
エマが王に対し、聖女の浪費と王の浮気(聖女との不倫)について話す瞬間、前日に聖女からの口づけを受けていた王の唇に『触れるな殺すゾ』という赤い文字が浮かんでいたことを。
エマは、考える。
『もしかして、自分の【地図】のギフトは生き物にも使用することが出来るのではないか』と。
そして、エマは、隣国へ逃げる最中に、誇り高い白狼、ネガティブすぎる邪竜、全肯定スライム、めんどくさすぎる暗黒騎士と出会い、彼らの触れてほしいポイント、触れてほしくないポイントを見極め、心に触れ、仲間にすることに成功する。
辿り着いた隣国でも、エマは冒険者として仲間と共に、失せ物探し、冒険者の悩み相談、さらには、反乱の兆しまでも察知し事前に防いだりと大活躍をする。
そして、呼ばれた帝国の宮廷で、仲間にしためんどくさい暗黒騎士のグリが皇帝の血を継ぐ皇子の一人であることが発覚し、エマの周囲はさらに騒がしくなり始める。
また、上位聖女の我儘と、王の乱れた生活が明らかになったことでエマを追放した王国は崩壊していくことになり、エマの有用性に気づいた王はエマを取り戻そうと躍起になり始める。
更に、エマの【地図】の能力はどんどんと広く知られ、医療大国の天才医師や獣人国の獣王子、古代竜や魔族達による争奪戦が始まる。
だが、最後にエマを射止めたのは、エマの居場所を作り、誰もが知らない彼女の触れてほしくて触れてほしくないポイント『失った家族の代わりに幸せな家庭を作る』を理解していたグリだった。
そうして、大切な家族とともだちとふれあいながらエマは幸せな日々を過ごしていく。


主要キャラクターの説明

主人公
エマ
王国に48人いる聖女の内の第48位。【地図】のギフトを持っており、地図をじいっと眺めると危険な場所や幸運が起きそうな場所を予見することが出来る。だけだと考えていたが、実際は【地図】というのは地図で最初にギフトが発動して以来地図でしか使わなかった為に呼ばれた呼び名で、神に与えられたギフトは【予見】であり、彼女のギフトは『生き物の触れるべき場所、触れてはならない場所を予見するギフト』。
彼女の一言で大切にしていた家族が崩壊し、家族に対し異常なまでの執着が心の奥底にあり、浮気や家庭内での暴力に対して異常な程の怒りを見せる。自分で失ってしまったが故に誰にも言えないが幸せな家庭が彼女の求める幸福。
倹約家だが他人へのプレゼントは大好き、涙もろい、強迫観念に近いほどの自己犠牲の精神、地図は読めない女、おもしれー女。


グリ(グリアム=ラクスブルグ)
ラクスブルグの皇子だが、養子故に色々拗らせている。面倒なので帝位を破棄することを願い、スケジュールの半分を暗黒騎士として過ごすが、それでも、与えられた皇子としての責務は残り半分で終わらせる天才。
クールに見えるが単純にコミュ障。実は本人も知らないが魔族とのダブルで普通の人間とは感性が違っている部分が多く、それ故に孤立しがちで拗らせた。イタい天才だが、エマと仲間以外は知らない。長ければ長いほど、濁点が付けばつくほどかっこいい名前になると信じている壊滅的なネーミングセンス。

スネイル=サニルサルド
サニスサルド王国の王であり、女好き。半分以上の聖女に手を付けている。家族を大切にしなかったが為にエマに叱責されエマを追放する。エマは美人だと考えていたが、一向に靡く様子がなかった為、家臣の言葉も無視しエマを最低位に置いていた。人の地雷を踏む達人。

ベルナ
サニスサルドの48聖女の内の第一位【炎】の聖女。元々はエマと同時期に聖女に覚醒し王宮に入った。エマのメンタルケアと攻撃に優れたギフトでどんどんと位を上げていったが同時に上位やエマへの嫉妬やコンプレックスの炎に燃え、誰に対しても攻撃的になってしまう。最終的に、王と関係性を持ち、聖女の選別も行い始める。口が悪く炎上の天才。火の車にするのも得意。

シロ
エマが王国にある入ってはならぬ【白狼の森】で出会った伝説の白狼。プライドが高いが寂しがりや。エマにずんずんと心の中に入ってこられ苦手そうにするが大好き。シロゲロブロベログレイトライトニングウンヌスという名をグリにつけられそうになったが、エマによってシロに。メス。


クロ
心を蝕む『悪魔』に取りつかれていた邪竜だったがエマによって自己肯定感を取り戻し、救われる。すぐに自爆魔法を使おうとする。エマに超絶依存しており中毒。クロデロジャロギャロハイパーダークネスゲリオンという名をグリにつけられそうになったが、エマによりクロに。メス。

スラ
一番大人な出来たスライム。何も語らないが背中で語るその姿に、誰もが『スラさん』と尊敬のまなざし。スラと呼んだらクロやシロに「スラさん、な?」と怒られる。




②冒頭部分のプロット
第一話 立入禁止エリア

エマが追放されるところから物語は始まる。
そして、回想。エマは【地図】の聖女。地図をじっと見つめると、『ここ、超危険!』や『ここおススメ!』などという文字が浮かび上がる能力。
その力を活かし、開拓や災害時の避難、さらにはダンジョンに潜る探検者に同行するなどとにかく一生懸命聖女としてのお役目を果たそうと頑張っていた。他の聖女たちは王宮から出ようともせずエマを笑っていた。
昔は一番仲が良くよくお世話してあげていたベルナまでもエマを笑う。ベルナは、炎の聖女として選ばれた時には気弱で小さな炎しか生み出せなかった。それをエマが応援やメンタルケアを行うことでどんどんと自信をつけ、炎の力も成長していった。
だが、エマは王に靡かずとにかく働き続けたので聖女の序列は最下位に。ベルナはどんどんと上にあがっていき差が付いてくると、ベルナはエマを馬鹿にし始めた。
そして、ずっと一位であり続けた氷の聖女スノウを蹴落とす為にベルナは王を籠絡し始めた。
ある夜の事、エマは寝ぼけて、何かに導かれるように王宮を歩いていると、ベルナと王の逢引の現場を見てしまう。
思わず逃げ出したエマだったが、その後姿をベルナは見ていた。
そして、翌日、王からの追放を言い渡されたのだった。

追放になるならと、エマは上位聖女の浪費癖や王の行動を戒める。
饒舌に喋っている内にエマは気づく。エマが喋る度に否定する対象の紅く輝く部分が破裂していることに。そして、今にも破裂しそうな大きく紅く輝いていたのが王の唇、昨夜、ベルナと口づけをしていた部分だった。

その唇には『触れるな殺すゾ』という赤い文字が。
だが、次の瞬間王の唇から零れた言葉は今いる王妃やその子を貶めるような発言。
キレたエマは、王の足で黄色く輝く『踏まないでいたいよ』と文字が浮かぶ痛風部分を踏みしめる。
その上、王の浮気を叱責すると、王は怒り狂い、剣を抜いてくる。
死を覚悟したエマだったが、自分の右側が『安全地帯』と青い文字で浮かんでいることに気付き、右に移動する。すると、王子が王の剣を止めていた。
そんな王子の頭が桃色に『撫でて撫でて』と文字が浮かんでおり、エマは気づく。

(もしかして、自分の【地図】のギフトは、生き物にも使えるのでは?)

怒りの収まらぬ王から逃げ出したエマは地図の能力を駆使しながら、また、今まで助けた街の人間や冒険者の力を借りながら王国を飛び出す。

そして、【地図】に導かれるままにやってきたのは隣の帝国との間にある魔の森。

「なあんでよぉおおおお!」

エマの絶叫が魔の森に響き渡ると、現れたのは一匹の紅い紋様を身体に浮かべた狼の魔物。
絶体絶命のピンチのその瞬間、エマは見つける。
青く輝く『ここに立て』の文字。
文字の通りに立つと……何も起きない。
狼に追い詰められるエマ。その時、エマは見つける。狼越しの崖の上に立つ黒い鎧の騎士を。

そして、黒騎士の全身に『オレに触れて!』の文字。

「そ、そこのあなた! 助けて!」
「ふははははは! 良いだろう! 今日は黒い風が騒がしい……なぜか? 死神が貴様を呼んでいるからだ」

兜を外した美形の黒髪の戦士は自信満々にそう言った。


第二話 めっちゃ触れて欲しい領域


エマは迷っていた。
黒騎士の発言は正直かっこ悪かった。だが、黒騎士の全身には『触れて触れて!』の文字。
狼も唖然としている様子だがいつエマに襲い掛かるか分からない。
断腸の思いでエマは叫ぶ。

「か、かっこいいー!」

エマの言葉でとても嬉しそうな黒髪の美男子。どんどんと浮かんでくる『褒めて欲しいポイント』をエマは必死で褒めると、調子に乗りまくった黒騎士は一瞬で狼を倒す。
その美しい剣さばきと表情にエマはどきりとしてしまう。

黒騎士によって倒された狼だが、それでも、戦おうと身体を起こす。
その時エマは狼の背中の右側に『ここ、気持ち悪い』の黒文字を発見する。
そこに見えたのは紅く怪しげに輝く刻印。

エマは黒騎士を褒め倒し、エマを抱えて狼の背中に運んでもらう。
そして、浄化の魔法をかけた手で何度も何度も撫で擦る。
すると、刻印は消え失せ、狼は美しい白狼の姿に戻るのであった。


第三話 触れて欲しいけど触れてほしくないトコ


元の姿に戻った白狼だったがエマ達に横柄な態度をとっていた。エマは背中の刻印のあった場所が『お願い、触れないで』という黄色文字が浮かんでいたので敢えて触れた。
すると、白狼は急にしょんぼりし始め、油断によって敗れてしまった事。また、敗れたことで弱者はいらないと白狼の巣から追い出されてしまった事を話し始める。
白狼の家族に追い出された話を聞いたエマは白狼を抱きしめる。初めは『触れるな!』という文字ばかりが浮かんでいた白狼だったが、エマがどんなに脅しても離れずしがみ付いている内に徐々に『もっと抱きしめて』の文字が増えていき、最後には触れるなという文字は一つもなくなってしまう。
その姿を見て微笑む黒騎士。そんな黒騎士の胸の奥に何か文字が見えた気がしたエマだったが、小さい上に隠されているようで読むことが出来なかった。

戦闘を終え、互いに自己紹介をしあう三人? エマに恩を感じる白狼はエマについていくことを決める。そして、黒騎士は自分のセンスを褒める見どころある人間だと帝国に連れて行きたいと申し出る。
エマは力強い用心棒を得たことで魔の森を抜けられる自信を持ち始める。
意気揚々と【地図】の力を使うエマは、地図に導かれるままに邪竜に出会う。

「地図読めないんですけどおおおお!」






③今後の展開

ネガティブな邪竜の触れてほしくないポイント触れて欲しいポイントを的確に付いて仲間にする。
全肯定スライムと出会う。
帝国に辿り着いてからエマは大活躍。
少女のなくしていたペンダントを見つけ、冒険者の進路相談にのってあげ、帝国に反乱を起こそうとする集団のアジトを見つけ未然に防ぐ。
あまりにも活躍しすぎたエマは皇帝に呼ばれお城へ。
そこで、黒騎士(暗黒騎士)であるグリが皇帝の血を継ぐ皇子の一人であることを知る。
自分の居場所を探すグリに対し自分が居場所になってあげるとエマが宣言すると、諜報部からそれを聞いた皇帝はエマとグリを婚約させることを提案する。
だが、エマはそれを拒否。原因はグリではなく自分にあると謝る。
まずは『友達から』始めた二人は、皇帝の『なかよし大作戦』により、他国への旅を命じられる。
一方、エマを追い出した王国では、上位聖女の我儘や王の乱れた女性関係が明らかになり崩壊の兆しが見えていた。エマの有用性に気付いた王は取り戻すために、それを良く思わないベルナは消すためにエマを探し始める。
そんなことを知らないエマは、医療大国の天才医師をも驚かせる診察技術や手術を見せ、獣人国では全ての獣人を手懐け、魔族の迷宮をいとも簡単に潜り抜け、古代竜に勇気を見せつけ、世界中から認められ、また、求愛される聖女となっていた。
だが、エマは頑なに誰とも結婚しようとしない。
そんな中、王の配下やベルナによって奴隷にされそうになるエマ。
必死になって逃げだし、誰にも見つからないであろう故郷にエマは隠れる。
そこは、エマによって、地中の財宝を見つけ、そして、欲に塗れ滅んでしまった村だった。
エマは、自分のいるべき場所はここなんだと一人息を殺して暮らし続ける。
そんな彼女を自力で見つけたのはグリだった。
グリは、自分がエマの失ってしまった居場所に自分がなると宣言し、エマの触れてほしくない家族の話題と正面から向き合って見せるとエマに伝える。
エマは涙を溢しながらグリと口づけを交わす。
そこには何も文字は浮かんでいなかった。すべきではなく、ただ、そうしたかっただけだから。そこには損得も何もないキスがあった。
そして、二人は二人の白地図にこれから色んな思い出を描いていくことを誓い合う。