◆5話

≪page1≫

〇場所:冒険者ギルド会議室
ギルドの会議室にはギルド長とマリアの二人だけがいる状況
(マリアはまだ見せない)

ナレ「アルベルスたちが街に到着した三日後」
ギルド長「この三日間で合計100名の行方不明者がでている」
ギルド長「それも子供たちばかりで目撃情報は皆無」
ギルド長「ぜひあなたにこの事件を解決していただきたい」

≪page2≫

マリアの初だし。
ナレ「三大ギルド『祝福の癒し』
ギルドマスター」
ナレ「マリア・セレスト」

マリア「わかりました。その依頼お受けいたします」
ギルド長(冒険者ランクのトップに位置するオリハルコン級冒険者)
ギルド長(その冒険者を有するギルドは現在三つだけ)
ギルド長(それらを合わせて三大ギルド。そのマリアがこの街にいたのは幸運だったな)

≪page3≫

マリア「では冒険者ギルドでは協力者を募ってください」
マリア「私は被害があった地域を見て回りますので」
ギルド長「わかりました。どうかよろしくお願いします」
マリア「ええ、困っている人がいるのならすべて等しく救う。それが私の信条ですので」

〇場面転換:宿屋の外
宿屋の前にやってきたマリア。
手に持った資料を確認する

≪page4≫

マリア(この宿に泊まっていた女の子が被害者……)

そして中に入る。

〇場面転換:宿屋の中
アルと魔王、ノエル、カルクス宿屋の女将が集まっている
カルクスは疲れ切った様子。

アル「街の中はくまなく探したけど、どこにも」
魔王「目撃者もなければ何の痕跡もないとはな……」

≪page5≫

ノエル「冒険者ギルドの方では探索チームを結成しているみたいだから、きっとすぐに見つかるよ」
カルクス「そう、ですか……」

暗い表情の一同を見回しマリアが声を掛ける。

マリア「冒険者ギルドからやってきました。お話を聞かせてもらってもいいでしょうか?」

暗転時間経過

マリア「なるほど娘さんが……」
アル「捜索の状況はどうなっているんですか?」

≪page6≫

マリア「まだ冒険者を集めている段階です。おそらく明日には街の中を三日後には外の捜索が始まります」

マリアがチラッと魔王のことを見る
マリア「気を付けてください。被害者は子供ばかりです」
魔王「な!? 私を子ども扱いするでない!」
マリア「ふふ、失礼しました」
アル「あの、僕たちも捜索に加わっていいでしょうか? こう見えても冒険者なので」

アルベルスが冒険者カードをマリアに見せる。それを確認するマリア。

マリア「もちろんです。人は多い方が助かりますから」

≪page7≫

ノエル「よし、そうと決まればもうひと頑張りだね!」
カルクス「みなさん、なんとお礼を言えばいいのか」
魔王「礼なぞいらん。友を救うのは当然のことだ」
アル「それに護衛の依頼を受けていますしね」
カルクス「いえ、依頼はあくまで街に着くまで、あなた方に落ち度はありませんよ」
ノエル「それでマリアさん、私たちはどこを捜索すればいいですか?」
マリア「街の外にある森をお願いします」
魔王「全員すぐに向かうぞ!」

暗転

≪page8≫

〇場面転換:森

魔王とアルとノエルの三人が森にやってきていた。

ノエル「この広い森で捜索か。手分けして探す?」
魔王「いや空から探すのが一番だろう」

そして魔王が手をかざす
魔王「我が声が届いたのならば召喚に応じよ。空舞う疾風、叡智なる哲学者」
魔王「召喚術:ウィズ」

魔王の手の先に魔法陣が現れて、そこから梟の魔物が現れる

≪page9≫

ウィズ「召喚に応じ参上しました」

魔王「うむ、よく来た」
ノエル「ニーニャちゃんすごい! 召喚魔法が使えるんだ!」
魔王「魔王たるものこれくらい当然だ」

魔王城で必死に練習している魔王の背景でアルのセリフ。
アル(魔王の威厳がかかってるって言って、この魔法だけは必至で練習したんだっけ)

≪page10≫

ウィズ「それで魔王様、何用でしょうか?」
魔王「お主に捜索を頼みたい。この森に人の子がいないか。また気になることがあれば報告してほしい」
ウィズ「かしこまりました」

そしてウィズが翼を動かし空へと飛んで行く。

ノエル「本当にニーニャちゃんって魔王様なんだね」
魔王「ふっふっふ、今さら畏怖の念を抱いたか。案ずるな私は配下のものには――」

≪page11≫

魔王が喋っている間に魔王にほおずりするノエル

ノエル「こんなにかわいいのに魔王なんて信じられないよ!」
魔王「ぬわぁ、やめろといっておるだろう! アル! 助けるのだあああ!」

暗転時間経過

辺りを探索している三人。その時魔王に通信が来る
ウィズ『魔王様。怪しい痕跡を見つけました』
魔王『すぐに向かう!』

≪page12≫

魔王「ウィズが何か見つけたらしい、急いでいくぞ!」
アル「わかりました」

アルが魔王とノエルをヒョイっと抱っこする
アル「急ぎます。少し我慢してください」
ノエル「おぉ、かっこいい!」
魔王「むぅ、不本意だがしかたないか」

アルの身体がうっすらと魔法の光を帯びる
アルベルス「時力同調:【加速】」

速度アップしたアルが森の中へと走っていく

≪page13≫

〇場所:森の奥

地面に魔法陣が描かれた場所

魔王「これは……」
ウィズ「魔族との契約陣でしょう。契約用のアイテムを用いて人と魔族が魂の契約を行うものです」
ノエル「魔族が悪さをしてるってこと?」
アル「これだけじゃどんな契約をしたのかわからないし、なんとも言えないかな」

≪page14≫

魔王「だが魔族が関係していたことは確実だ」
魔王「魔族と人の間に決定的な亀裂が走るきっかけになりうるものだろう」

何か悩んでいる魔王
魔王「……」

≪page15≫

回想シーン:同話の魔王とマリアの会話
マリアがチラッと魔王のことを見る
マリア「気を付けてください。被害者は子供ばかりです」
魔王「な!? 私を子ども扱いするでない!」

回想終わり

何か決意したような表情になる魔王
魔王「帰るぞ」

≪page16≫

暗転

〇場面転換:夜の宿
同室のアルが眠っているのを確認する魔王

魔王「魔族の問題は私が解決する」

そーっと部屋から出ていく。
そして宿屋からでて夜道へ向かって行く魔王。

≪page17≫

〇場面転換:夜道
人気のない夜道を一人で歩く魔王。
その魔王を狙う人影がゆっくりと近づいてくる

魔王「ッ!?」

気付いた魔王だったが、魔法で眠らされる。
その魔王を担いで夜の闇に消えていく人物。

≪page18≫

〇場面転換:地下牢

牢屋の中。いくつもの牢がありそのすべてに子供たちが収容されている
(全部で100人の子供が収容されている規模です)
鉄格子からは月が見えている

フィオラ「……ちゃん――ニーニャちゃん!」

ゆっくりと目を覚ます魔王

魔王「ここは……フィオラ! 無事か? ケガはないか?」
フィオラ「うん、私は大丈夫。それにみんなも平気だよ」

魔王が辺りを見渡すと、牢屋の中にはほかに捕らえられた子供たちがいた。

≪page19≫

魔王「危険の中に道はある。どうやらうまく皆を見つけられたみたいだな」
※皆=みな
フィオラ「見つけられたって、もしかしてわざと捕まったの!?」
魔王「それが一番確実だからな」
フィオラ「そんな危ない事……」
魔王「友を見捨てるような者に魔王が務まるか」

≪page20≫

フィオラ「魔王?」
魔王「まあ気にするな」

 そして立ち上がろうとした魔王。手錠が繋がれていることに気づく
魔王がほかの子供たちにも目をやると、全員足かせや手錠などで牢と繋がれている

魔王「幼子相手にこのようなこと……」

そして懐から鍵を取り出す。

≪page22≫

魔王「マジックアイテムだ。普通の鍵であればこれですべて開けられる」

自分の手かせを外し、フィオラやほかの子供の拘束を解く
そして側にいる子供たちに向かって問いかける魔王。

魔王「お主らに問う。自ら危険に飛び込む覚悟はあるか?」
フィオラ「危険?」

≪page22≫

魔王「この規模の牢だ外には見張りもいるだろう」
魔王「逃げ出す者を無傷で捕らえるとは考えられん」
魔王「ケガはもちろん命を落とすことだってある」
フィオラ「そんな……ならここにいたほうがいいの?」
魔王「いいや、ここでは今日を無事でいられる保証もない」

≪page23≫

魔王「だから今一度問おう」
魔王「それでも家族やその身を案じるものたちの元へ帰りたいか?」

フィオラや牢屋の子供たちに問いかける魔王

フィオラ「私は帰りたい!」

フィオラの声に続いて子供たちも声を上げる
女の子「私も」
男の子「僕だって!」

それを聞いて満足する魔王。
魔王「ならば全員私に続け! その覚悟に私が必ず報いて見せよう」

魔王の言葉にうなずく子供たち。

≪page24≫

子供たちと共に動き始める魔王の絵(カッコいい系で)

魔王「ほかの者も救出しここを脱するぞ!」

≪page25≫
〇場面転換:宿屋

アルとノエルが慌てた様子で話しをしている

ノエル「ニーニャちゃんがいない!?」

森の何か悩んでいる魔王の回想シーン
アル「きっと事件解決のためにわざと捕まったんだ」
ノエル「それはさすがに考えすぎじゃない?」

≪page26≫

アル「友を見捨てるような者に魔王が務まるか」
アル「きっと魔王様ならそういうと思う」
ノエル「でもどうやって探すの?」
アル「配下の僕なら魔王様の居場所を感じ取ることができる。だから急いで向かおう!」
ノエル「わかった」

そして宿屋から飛び出す二人。

≪page27≫

〇場面転換:街中
人気のない空き地。
走って魔王の元へ向かうアルとノエルの前に一人の男が立ちはだかる
(宿屋の魔王を隠れてみていた男)

勇者「キミが新たな魔王の従者だね」
※魔王のところ『・』で強調してください

その言葉に立ち止まるアル

≪page28≫

ブライアン「初めまして僕はブライアン・ライトベンド」

その名前を聞いて驚くノエル
ノエル「その名前……も、もしかして勇者さん!?」
ブライアン「かわいい女性に知ってもらえているなんて光栄だね」
アル「その勇者様がなんの用ですか?」
ブライアン「要件は簡単さ」

≪page29≫

そして勇者が腰の剣を抜く
※カッコイイ勇者のカット

ブライアン「キミにはしばらくここにいてもらう」
ブライアン「魔王様の子守はお終いだ」