◆2話

≪page1≫

〇場所:黒背景
ナレ「ニーニャの魔王就任 三日後」

〇場所:魔王の書斎
机に座る魔王と、傍らに立つアルベルス。
魔王の前には大量につまれた羊皮紙が。

魔王「ぬわああああああ、どうして書類がなくならないのだ!」
(『あ』の数はおさまりがいい数で調整してください)

≪page2≫

アルベルス「魔王様が仕事をほっぽりだして、遊びに行くからですよ」
魔王「私は魔王だぞ! もっと魔王っぽい仕事はないのか?」
アルベルス「それが魔王っぽい仕事です。ほら、早く片付けてください」
魔王「むぅ……」

 机にある書類を手に取る魔王。

≪page3≫

 それらにパラパラと目を通し始める。
 魔王の様子に満足しているアルベルス。
 すると、突然魔王は焦ったようにその書類を手に、バン! と机をたたいて立ち上がる。
 ビクッと驚くアルベルス

アルベルス「ど、どうしたんですか!?」
魔王「これは、まずいことになったかもしれん」

 アルベルスが魔王の持つ羊皮紙をのぞき込む。

≪page4≫

アルベルス「『不干渉条約』の期日について? なんですかコレ?」
魔王「魔族が平和を築けてきたその最たる理由。我が父上最大の功績だ」

〇背景:人と魔族が手をつないでいる背景

ナレ「『不干渉条約』先代の魔王が長きにわたる人間との争いの末制定した」
ナレ「両勢力の衝突を防止するための条約である」
ナレ「この条約により、両勢力は長年争いのない平和な世界を築いていた」

≪page5≫

〇背景:魔王の書斎

 書類に目を通す魔王。厳しい表情のまま、アルベルスへ状況を説明していく。

魔王「問題はその有効期限だ。百年に一度この条約を更新するか、人と魔族で協議することになっておる」

 魔王は羊皮紙を置くと、机に乗りあがりアルベルスの視線に合わせて指を1本突き付けた。

魔王「その期日まであと一年しかないのだぞ!」

 焦った様子の魔王だったが、アルベルスはきょとんとしている。

≪page6≫

アルベルス「えっと、更新すればいいんじゃないですか?」
魔王「あっまああああああああああい!!」
(【あ】の数はおさまりがいい量で調整してください)

 大声で怒る魔王。

魔王「甘すぎるぞアル! 貴様それでも私の従者か!」
アルベルス「す、すみません。でも何が問題なんですか?」

≪page7≫

魔王「最大の問題は我らの戦力だ! 父上亡き今魔族の戦力は大幅に低下している!」
魔王「同等の力がぶつかるからこそ、被害を抑えようと条約は制定されたのだ」
魔王「今の魔族に人との平和を願う力はない。力なき平和なぞまやかしにすぎん」
アルベルス「それは……そうかもしれませんけど」
魔王「さらに言うなら、問題はほかにもある」

≪page8≫

すると、慌てたように部屋の扉がノックされた。

下っ端魔族「ま、魔王様! 緊急の要件です」
魔王「構わん、入れ!」

扉を開けて入ってくる魔族。
魔族は一枚の羊皮紙を魔王に手渡してくる。
机の上からその羊皮紙を受け取る魔王。

下っ端魔族「魔族の一部が人間領土へと接触しております。早急な対応が必要かと」
魔王「まったく……レヴィーへ対処するよう伝えるのだ」
下っ端魔族「かしこまりました」

≪page9≫

一礼すると、急いで部屋から出ていく魔族。
それを見送ると魔王が話始める。

魔王「さっき言いかけたもう一つの問題がコレだ」
魔王「父上を失い、魔族の統制が取れなくなっておる」
魔王「弱者である魔族が人間へケンカを売っているのだ。このままだと『不干渉条約』を破棄し攻め込まれかねん」

≪page10≫

アルベルス「ど、どうするんですか?」

ようやく事態を理解して慌て始めるアル。
その様子に満足いった魔王は机から降りる。

魔王「案ずるな。やるべきことは二つだ。戦力の増強と監視の強化」
魔王「アル、準備しろ! これから二人で人間領へ向かい――」


≪page11≫

ババーンと魔王の決め台詞&決めポーズ。

魔王「冒険者になるぞ!」

≪page12≫

回想終わり

〇場所:森
魔物を観察している魔王のことを見ているアル。

アル(内心)「戦力増強のため、人間領に封印されている先代魔王の装備を回収する」
アル(内心)「魔族の監視強化のために、人間側からの監視網を構築する」
アル(内心)「そのためにまさか冒険者になるなんてね……」

アル「この魔物、魔族の手引きですよね?」
魔王「だろうな。やはりこちら側からの監視は必要だったわけだ」

≪page13≫

そしてノエルが二人のところにやってくる

ノエル「助けてくれてありがとう!」
魔王「うむ、構わん。そこまで大変なことでは――」

魔物を見ながらノエルの言葉に応じる魔王。
振り返ると冒険者はアルの手をとって、お礼を言っていた

ノエル「さっきの魔法すごかったよね! ベテラン冒険者さんなの?」
アル「えっと……その、あはは」

困ったようにチラッと横目で魔王を見るアル。

魔王は頬を膨らませてふくれっ面。

魔王「何を気やすく触っておるか!」

≪page14≫

怒る魔王。ノエルはしゃがみ込んで魔王と視線を合わせると。

ノエル「お嬢ちゃんは大丈夫だった? ダメだよ保護者の人から離れちゃ」

メッ! と怒るノエル。
その様子におもわずぷっと噴き出すアル。

魔王「私がアルの保護者だああああ!」

空に魔王の怒った声が響いていく。

暗転

≪page15≫

森の中、切り株に腰かけながら話す三人。
魔物の死体がある場所とは別の場所。
アルとノエルが向かいに座り、魔王はノエルの膝の上に不満そうに座っている。

アルベルス「それで、何があったのか聞かせてもらえるかな?」
ノエル「それが――」

≪page16≫

時間経過

アルベルス「つまり仲間の冒険者に裏切られたってこと?」
魔族「まったく、種族内でだまし合うなど何をやっておるのやら」
ノエル「種族内?」
アルベルス「ま、まおうさ――」

 ハッとするアルベルス。

アルベルス(内心)「僕たちが魔族だってことはバレちゃダメなんだった……えっと」

≪page17≫

アルベルス「ニ、ニーニャのことは気にしないで」

突然ニーニャと呼ばれ驚く魔王。

アルベルス「それで、裏切られた理由に心当たりは?」
ノエル「たぶんこれかな」

ノエルが首にさげていたペンダントを主人公に見せる。

≪page18≫

アルベルス「ペンダント?」
ノエル「かなり高価な物なんだよね」
魔王「金品狙いか……ならそろそろだな」

魔王の言葉と同時に森の奥から三人組がやってくる
ノエルより上等な装備の三人組は、ノエルが生きているのを見ると眉をひそめる
Aは剣を装備。Bは槍。Cは弓を装備してる。

≪page19≫

裏切り者A「あ? なんでお前死んでねえんだよ」
裏切り者A「おい、魔物に襲わせたんじゃなかったのか?」
裏切り者B「そのはずですよ」
ノエル「気を付けて。こいつら実力だけは本物だから」
魔王「力があって性根が腐ってるとは、救いようがない」

 そして裏切り者Aは剣を抜くと、ノエルへつきつける。

≪page20≫

裏切り者A「どうやって魔物を追い払ったか知らねえが、そのペンダントを渡すなら見逃してやる」
ノエル「渡すわけないでしょ!」

裏切り者Aは主人公のほうに視線を向ける。

裏切り者A(内心)「あの装備から見て、新人の冒険者か」
裏切り者A(内心)「なら一緒に片付けてやる」
裏切り者A「しかたねえ、そこのやつらと一緒に殺してやるよ!」