◇第1話

主人公ティルの両親は自分たち兄弟を祖母に預けて姿を消した。
翌年に祖母は死亡。頼れる大人を失ったティルたちは奴隷狩りに捕まり、弟とはその場で生き別れてしまった。
隷属紋を右手に刻まれ、ジョブやスキルを封印されてしまう。
奴隷商館で知り合った少女フェリスと共に助け合いながら生きていたが、彼女は希少ジョブの剣聖を授かっていたことがバレてしまう。
フェリスと引き剥がされ、馬車で街へまとめ売りに出される。

その後、ベタクリス領都で6年ほど過酷な労働をさせられる。
魔境から来るモンスターから都市を護るため、街を囲う外壁の工事を行う毎日。
ティルは奴隷の癖に苗字があることを周囲から弄られていた。

ある日の作業中、壁の外に興味を持った奴隷仲間の数名が持ち場を離れてしまう。
そんなところへ魔境からやって来た狼型のモンスター(魔獣のフェンリル)に襲われてしまう。
ティルは助けようとするが、隷属紋のせいでスキルを使うことができず、仲間たちは次々と喰われていく。
手も足も出ず絶望する中、隣領のアルファデクス領からやってきた女騎士が助けに入る。

最初こそ圧倒するもフェンリルは剣を持った人型の魔人と変貌。
フェンリルの剣(ヤドリギの剣)の一太刀を浴び、女騎士は倒れてしまう。
こんな状況でも何もできない自分に腹が立ったティルは、無我夢中で女騎士とフェンリルの間に飛び込む。
彼女を庇った結果、ティルは利き腕である右手を食われてしまう。
だがその瞬間、フェンリルがもだえ苦しみ始める。
その隙に女騎士は意識を失った主人公を拾い、アルファデクス領へと逃げるのであった。