さくらと大輔の間に表立った変化がないまま、時間は進んで行く。
一学期の期末テストが終わると、クラス内の雰囲気は一気にその先に待っている夏休みへと意識が向かっていった。しかし進学希望のさくらは、夏休みも夏期講習があるため浮き足立つことはなかった。一方、就職希望の大輔は相変わらず無邪気にクラスの男子たちと騒ぎ、夏休みの予定を立てている。
(夏休み、か……)
さくらは楽しそうに予定を決めるクラスメイトたちを少し羨ましいと感じながらも、大学受験を控えているのだから、と自分に言い聞かせていた。
夏休みが始まり、朝からうだるような暑さの中、夏期講習へと向かう。
さくらたちの高校は坂の上にあるため、毎年この暑さの中、坂道を登って通うのはかなり体力のいることだった。しかし坂を上りながら眼下に広がる海を眺めるのが、さくらは好きだった。
この日も心臓破りの坂と呼ばれる坂道を上りながら、さくらは吹き出る汗をタオル生地のハンカチで拭いながら登り、夏期講習へと向かっていた。すると後ろからバイクの音が近付いてくる。
さくらは条件反射で坂の隅に身体を寄せ、バイクを避けようとした。しかし、バイクはスピードを落とし、さくらの横で止まった。さくらの足も、条件反射で止まってしまう。
一学期の期末テストが終わると、クラス内の雰囲気は一気にその先に待っている夏休みへと意識が向かっていった。しかし進学希望のさくらは、夏休みも夏期講習があるため浮き足立つことはなかった。一方、就職希望の大輔は相変わらず無邪気にクラスの男子たちと騒ぎ、夏休みの予定を立てている。
(夏休み、か……)
さくらは楽しそうに予定を決めるクラスメイトたちを少し羨ましいと感じながらも、大学受験を控えているのだから、と自分に言い聞かせていた。
夏休みが始まり、朝からうだるような暑さの中、夏期講習へと向かう。
さくらたちの高校は坂の上にあるため、毎年この暑さの中、坂道を登って通うのはかなり体力のいることだった。しかし坂を上りながら眼下に広がる海を眺めるのが、さくらは好きだった。
この日も心臓破りの坂と呼ばれる坂道を上りながら、さくらは吹き出る汗をタオル生地のハンカチで拭いながら登り、夏期講習へと向かっていた。すると後ろからバイクの音が近付いてくる。
さくらは条件反射で坂の隅に身体を寄せ、バイクを避けようとした。しかし、バイクはスピードを落とし、さくらの横で止まった。さくらの足も、条件反射で止まってしまう。