「う〜ん……こんな感じかな?」
アリスが俺を遠目に見て、うんうんと頭を上下させながら一人で納得している。それを少し不安げに見る俺。
「本当に大丈夫か?」
信用して良いのか少し不安になってしまう。
「ばっちりだよ。この見た目レベルならちょっと痩せた? って感じだよ」
「そうか……信じてるからな? アリス」
「任せてちょーだい!」
アリスがフンスっと得意げに俺を見る。
「はははっ。期待してるぜ」
俺はそう言ってアリスの頭をくしゃっと撫でた。
「むっむう……」
するとアリスは俯き黙ってしまった。最近急に黙り込む時があるんだよな。
普段はちょっと黙って? ってくらいよく喋るのにな。
今日は三学期のスタート。
久々に学校に行くんで、色々と不安だが。
俺がダンジョンに飛ばされてコッチにいない間も、アリスが神聖魔法を使って代わりの俺のアバターを作り、登校してくれてた。なのでみんなの反応は大丈夫だろう(いつも通りどうでも良い存在)って感じだな。自分で言ってて凹む。
制服は特注サイズなので、間に合わなかったから今の俺は私服を着ている。
今から登校するのに、制服が間に合ってない、なのにどうして慌ててないかって?
———ふふふ。それはだな。
アリスの神聖魔法で、十キロくらい痩せた姿の俺を、着ぐるみの様に纏わせてくれているから。
だから他の奴から見れば、俺はいつもよりちょっと痩せたか? って思うか全く気づかないくらいのレベル。
コレを少しずつ痩せさせていき、最終的には痩せた姿の俺で登校するって算段だ。
だがアリスは、痩せた姿に変化させなくても良いっとなぜかゴネる。せっかく痩せたんだから、豚の姿より痩せた姿の方が良いと思うんだが……。謎だ。
「あっ! もうこんな時間、アベル様急がないと遅刻しちゃう」
「マジで? じゃっ行くか」
「うん!」
★★★
いつも通り二人で学校へと歩いていく……ん? いつも通り?
「ええとアリス? 何で俺たち手を繋いで登校してるんだ?」
それもイチャイチャしてる恋人同士が良くやる……れいの繋ぎ方で。
「え? 何が?」
アリスがコテンっと頭をかしげる。
「いや。だからっ……俺たち手を繋いで登校なんて、今までしてなかっただろ?」
「ふふ♡ それがしてたんだなぁ毎日。アベル様がダンジョンにいた間」
そう言ってドヤり気味で笑うアリス。おいおい。今の内容にドヤる所なにもないぞ?
「おまっ……なに勝手な事をしてくれてんだ!」
「ええ〜そんなこと言われても知らないよう。もうずっとこうやって毎日登校してたんだから、急にしなくなったら怪しいでしょ?」
アリスは離そうとした俺の手を握りなおす。ギュッとさらに指と指を絡めて。
「そっ……そうかも知れないが」
何だろう急に得体の知れない不安が。
本当に普通の学校生活をしてくれていたんだよな? アリス?
仕方なく手を繋ぎ歩いていると、確かに俺たちを見る他の生徒達が、そんなに反応しない。
ただいつもよりも睨まれてはいる。
「はぁ……アリスちゃん。今日もあんな奴とイチャイチャ登校して……」
「今頑張って体重増やしてるから! 待っててアリスちゃん」
「早く巨漢デブになってやる」
男どもが俺たちの事を見て、ブツブツと何か言っている。
いつものことなのか、そんな男どもの事なんてアリスは全く気にしていない様子。
……コレって男どもの俺に対するヘイトが、蓄積されてないか。
それに気のせいかも知れないが、太ってる奴が増えている様な気がする。って言ってもぽっちゃり程度で、俺のような巨漢デブには程遠いが。
「アベル〜♪ おっはよ」
「学校の門のところで葛井が待っていた」
あれ? コイツ俺のことアベルなんて呼んでいたか?
「ん? おはよ」
「あれ? どうしたんだよ? 今日はやけに大人しいな。いつもなら『おっはよ〜ん。今日も俺とアリスの邪魔しに来たのか?』っとか言ってくるのにさぁ」
は?
何だそのキャラは。
アリスを見ると俺と目を合わせない。もしやコイツ俺がいないのを良いことに、俺の体を使って好き勝手やってたんじゃ……。
「おいっアリスっ」
「あっ! 急がないと授業始まっちゃう! アベル様また後でね?」
アリスはバタバタと走っていった。
クソッ……都合が悪くなって逃げやがったな。
「あれっ……? 珍しいなぁ。いつもなら教室まで一緒に登校してたのに」
走っていくアリスの姿を見ながら、葛井がボソッと呟く。
———へっ? 何だと?
「ええと……葛井? 確認なんだが、俺はアリスを教室まで送ってから自分の教室に行ってたのか?」
「んん? 何だその変な質問は? 記憶喪失のふりか? 毎日の日課だったじゃん」
そう言ってギャハハっと笑い、俺の背中をバンバンと叩く葛井。
———マジか。
アリスよ。お前……俺の体を使って何をやらかしてくれてんだ?
俺は今日一日の学園生活が怖くなってきたんだが。
もう帰っていい?
アリスが俺を遠目に見て、うんうんと頭を上下させながら一人で納得している。それを少し不安げに見る俺。
「本当に大丈夫か?」
信用して良いのか少し不安になってしまう。
「ばっちりだよ。この見た目レベルならちょっと痩せた? って感じだよ」
「そうか……信じてるからな? アリス」
「任せてちょーだい!」
アリスがフンスっと得意げに俺を見る。
「はははっ。期待してるぜ」
俺はそう言ってアリスの頭をくしゃっと撫でた。
「むっむう……」
するとアリスは俯き黙ってしまった。最近急に黙り込む時があるんだよな。
普段はちょっと黙って? ってくらいよく喋るのにな。
今日は三学期のスタート。
久々に学校に行くんで、色々と不安だが。
俺がダンジョンに飛ばされてコッチにいない間も、アリスが神聖魔法を使って代わりの俺のアバターを作り、登校してくれてた。なのでみんなの反応は大丈夫だろう(いつも通りどうでも良い存在)って感じだな。自分で言ってて凹む。
制服は特注サイズなので、間に合わなかったから今の俺は私服を着ている。
今から登校するのに、制服が間に合ってない、なのにどうして慌ててないかって?
———ふふふ。それはだな。
アリスの神聖魔法で、十キロくらい痩せた姿の俺を、着ぐるみの様に纏わせてくれているから。
だから他の奴から見れば、俺はいつもよりちょっと痩せたか? って思うか全く気づかないくらいのレベル。
コレを少しずつ痩せさせていき、最終的には痩せた姿の俺で登校するって算段だ。
だがアリスは、痩せた姿に変化させなくても良いっとなぜかゴネる。せっかく痩せたんだから、豚の姿より痩せた姿の方が良いと思うんだが……。謎だ。
「あっ! もうこんな時間、アベル様急がないと遅刻しちゃう」
「マジで? じゃっ行くか」
「うん!」
★★★
いつも通り二人で学校へと歩いていく……ん? いつも通り?
「ええとアリス? 何で俺たち手を繋いで登校してるんだ?」
それもイチャイチャしてる恋人同士が良くやる……れいの繋ぎ方で。
「え? 何が?」
アリスがコテンっと頭をかしげる。
「いや。だからっ……俺たち手を繋いで登校なんて、今までしてなかっただろ?」
「ふふ♡ それがしてたんだなぁ毎日。アベル様がダンジョンにいた間」
そう言ってドヤり気味で笑うアリス。おいおい。今の内容にドヤる所なにもないぞ?
「おまっ……なに勝手な事をしてくれてんだ!」
「ええ〜そんなこと言われても知らないよう。もうずっとこうやって毎日登校してたんだから、急にしなくなったら怪しいでしょ?」
アリスは離そうとした俺の手を握りなおす。ギュッとさらに指と指を絡めて。
「そっ……そうかも知れないが」
何だろう急に得体の知れない不安が。
本当に普通の学校生活をしてくれていたんだよな? アリス?
仕方なく手を繋ぎ歩いていると、確かに俺たちを見る他の生徒達が、そんなに反応しない。
ただいつもよりも睨まれてはいる。
「はぁ……アリスちゃん。今日もあんな奴とイチャイチャ登校して……」
「今頑張って体重増やしてるから! 待っててアリスちゃん」
「早く巨漢デブになってやる」
男どもが俺たちの事を見て、ブツブツと何か言っている。
いつものことなのか、そんな男どもの事なんてアリスは全く気にしていない様子。
……コレって男どもの俺に対するヘイトが、蓄積されてないか。
それに気のせいかも知れないが、太ってる奴が増えている様な気がする。って言ってもぽっちゃり程度で、俺のような巨漢デブには程遠いが。
「アベル〜♪ おっはよ」
「学校の門のところで葛井が待っていた」
あれ? コイツ俺のことアベルなんて呼んでいたか?
「ん? おはよ」
「あれ? どうしたんだよ? 今日はやけに大人しいな。いつもなら『おっはよ〜ん。今日も俺とアリスの邪魔しに来たのか?』っとか言ってくるのにさぁ」
は?
何だそのキャラは。
アリスを見ると俺と目を合わせない。もしやコイツ俺がいないのを良いことに、俺の体を使って好き勝手やってたんじゃ……。
「おいっアリスっ」
「あっ! 急がないと授業始まっちゃう! アベル様また後でね?」
アリスはバタバタと走っていった。
クソッ……都合が悪くなって逃げやがったな。
「あれっ……? 珍しいなぁ。いつもなら教室まで一緒に登校してたのに」
走っていくアリスの姿を見ながら、葛井がボソッと呟く。
———へっ? 何だと?
「ええと……葛井? 確認なんだが、俺はアリスを教室まで送ってから自分の教室に行ってたのか?」
「んん? 何だその変な質問は? 記憶喪失のふりか? 毎日の日課だったじゃん」
そう言ってギャハハっと笑い、俺の背中をバンバンと叩く葛井。
———マジか。
アリスよ。お前……俺の体を使って何をやらかしてくれてんだ?
俺は今日一日の学園生活が怖くなってきたんだが。
もう帰っていい?