……まぶしっ
もう朝か。
久しぶりのベットは良く寝れたな。
ダンジョンでは紅蓮と雹牙のもふもふに包まれて一緒に寝てたから、まぁそれも幸せだったけど。
やっぱり眠り慣れた居場所は快適だ。
さてと今日はアリスに付き合う約束もしたし、そろそろ
「起きるか……え?」
起きあがろうとすると、右肩に得体の知れない重みと、違和感がある事に気づく。
この感覚は知っている。
顔をギギギと恐る恐る右に向けると、アリスがすやすやと気持ちよさそうに寝ていた。
俺の右腕を枕のように使って。
痩せたからかアリスの顔がやけに近い。さらに右を向いたせいで、口元にアリスの艶のある前髪が触れる。おでこに俺の口が当たりそうな距離なんだが。
———うっわ! なんだこれ。
何とも言えない恥ずかしさで、飛び起きる。
そのせいでアリスの頭がボフッとベットに落ちたので、目が覚めたようだ。
「うゆ……んみゃ」
眠そうに目を擦るアリス。
「あああっアリス! 前に言っただろ? 男のベットに忍び込むなって! なんかあったらどうするんだ!」
恥ずかしいのもあって、いつもより早口で捲し立てる俺。
動揺しすぎなのは重々承知である。だけどこんな状況下で、冷静でいられるわけねーだろ。そんなヤツがいるなら教えてくれ。
「ん……アベル様。朝から大声出して……うるさいよ〜。別に私は何かあっても良いし。んん〜っ」
アリスはそう言いながら、両手を上に上げ軽く伸びをすると、ベットに両膝をつけて女座りをする。その姿がまた可愛いんだが、口が裂けてもそんなこと言えない。
「とっとりあえず、この後お前に付き合うんだろ? 家で用意とかして来いよ。後で迎えに行くからさ」
俺がそういうと、目を爛々と輝かせへにゃりと口を緩ませて笑う。
「ふふ♡ デートだね。じゃあ用意してくるね〜」
スキップしながらアリスはベランダから出ていった。
デートってなんだよ。一日付き合うだけだ。
てか俺……何着て行こう?
今まで着ていた俺の服は、もちろん大きすぎて着れない。
親父が着てた服でサイズが合うの何かあるか?
よし。ちょっと見てみるか。
普段はほぼ入る事のない、両親の寝室の扉を開け中に入る。
う〜ん。困ったぞ、スーツなどのカッチリした服しかない。
もっとラフな服で良いんだが。ガサガサとクローゼットを漁っていると
「おっロンT見っけ。ジーパンもあるじゃん」
後はパーカーとかあれば良いんだけど、見つからないからジャケットを羽織るか。
親父と身長は同じくらいだからサイズは問題ないだろう。
まだ寒いし、コートも拝借しよう。お高そうなブランドタグが付いているが、今は着てないんだから良いよな。
「アリスを呼びに行くか」
支度を終えアリスを迎えに行くと、家の前で何故か緊張して来た。
よくよく考えたら、アリスの家を訪問するのなんて小学生ぶりだ。
インターホンを押せずに玄関の前でどーしようかと、うんうん唸っていたらいきなり扉が開いた。
「アベル様! ふふっ入り口でずっと何してるの?」
「まぁ! アー君なの? 久しぶりに見たらカッコ良くなって、おばちゃんドキドキしちゃう」
扉からアリスがひょこっと飛び出し、その後ろからアリスのお母さんが出てきた。久しぶりすぎて思わず固まる。
「もう。ママったら何言ってるの。はいはい、向こう行って」
「何でよ〜久しぶりにアー君にあったんだよ? ちょっとくらい話しさせて?」
「分かったから!」
少し恥ずかしそうに頬を染めたアリスが、無理やりおばさんを家に入れる。
「アー君。いつでも遊びに来て良いんだからね」
「あっはい。またお邪魔します」
アリスに押されながらおばさんは家に入って行った。
「は〜もう。ママったら」
「ははっ。相変わらず仲が良いな」
「ええ〜そうかな? でアベル様、その服どうしたの?」
アリスが俺の着てる服をマジマジと見てくる。
「あっコレか? サイズの合う服がなかったから、親父の服を借りたんだ。もっとラフなのが良かったんだけど、そんな事言ってられねーし」
「すっごくカッコいいよ? だけどアベル様ならもっと別な感じの服も、似合いそうだね」
そういうアリスの服装は黒いミニスカートにグレーのハイネック、靴はサイドゴアの黒ロングブーツを合わせている。羽織るコートは白いダッフルコート。
……何だろう。
アリスにしては珍しい落ち着いたモノトーンコーデ。
前世を含めてアリスは、派手なカラーの色合いをよく着ていた記憶がある。
「アリスにしてはシンプルなコーデだな」
「むぅ〜。初めに言う言葉がそれ? 可愛いとか、大人っぽいとかないの?」
アリスは俺を上目遣いで見ながら口を尖らせる。そんな顔されても、なんて褒めたらいいのか分かんねーんだ。
「え……あ。似合ってる……よ?」
「なんで疑問系なの。まぁアベル様っぽいけど」
アリスはそう言って、俺に向かってベェっと舌を出す。
「そんで何処に行きたいんだ?」
「ええ? それはぁ。まずは初詣に神社行くでしょ? それから行きたかったカフェに一緒に行って貰ってぇ。その後はカラオケ! あっ一緒に買い物も行きたいし……新しくできた観覧車にも……」
「わっ分かった。分かった! 行ける範囲で付き合うから」
「わぁい♪ ありがと」
一日で回れるか? アリスよ?
プルルルル♪
そんな中アリスの携帯電話が鳴る。
「あれ? 編集者さんからだ。どうしたんだろ?」
アリスは電話に出ると、どんどん顔が険しくなって行く。
どうしたんだろう?
「はぁ……分かりました。でも午前中だけですからね?」
電話を切ったアリスは明らかにふてくれている。
「アリス?」
「アベル様……ちょっとだけ雑誌の編集部に行っていい? 断れない撮影が入っちゃって」
「んん? いいよ」
雑誌の編集部か、どんな場所なんだろうな。
この時の俺は、まさかこの後色々な騒動に巻き込まれる事になるなんて、考えもしてなかった。
もう朝か。
久しぶりのベットは良く寝れたな。
ダンジョンでは紅蓮と雹牙のもふもふに包まれて一緒に寝てたから、まぁそれも幸せだったけど。
やっぱり眠り慣れた居場所は快適だ。
さてと今日はアリスに付き合う約束もしたし、そろそろ
「起きるか……え?」
起きあがろうとすると、右肩に得体の知れない重みと、違和感がある事に気づく。
この感覚は知っている。
顔をギギギと恐る恐る右に向けると、アリスがすやすやと気持ちよさそうに寝ていた。
俺の右腕を枕のように使って。
痩せたからかアリスの顔がやけに近い。さらに右を向いたせいで、口元にアリスの艶のある前髪が触れる。おでこに俺の口が当たりそうな距離なんだが。
———うっわ! なんだこれ。
何とも言えない恥ずかしさで、飛び起きる。
そのせいでアリスの頭がボフッとベットに落ちたので、目が覚めたようだ。
「うゆ……んみゃ」
眠そうに目を擦るアリス。
「あああっアリス! 前に言っただろ? 男のベットに忍び込むなって! なんかあったらどうするんだ!」
恥ずかしいのもあって、いつもより早口で捲し立てる俺。
動揺しすぎなのは重々承知である。だけどこんな状況下で、冷静でいられるわけねーだろ。そんなヤツがいるなら教えてくれ。
「ん……アベル様。朝から大声出して……うるさいよ〜。別に私は何かあっても良いし。んん〜っ」
アリスはそう言いながら、両手を上に上げ軽く伸びをすると、ベットに両膝をつけて女座りをする。その姿がまた可愛いんだが、口が裂けてもそんなこと言えない。
「とっとりあえず、この後お前に付き合うんだろ? 家で用意とかして来いよ。後で迎えに行くからさ」
俺がそういうと、目を爛々と輝かせへにゃりと口を緩ませて笑う。
「ふふ♡ デートだね。じゃあ用意してくるね〜」
スキップしながらアリスはベランダから出ていった。
デートってなんだよ。一日付き合うだけだ。
てか俺……何着て行こう?
今まで着ていた俺の服は、もちろん大きすぎて着れない。
親父が着てた服でサイズが合うの何かあるか?
よし。ちょっと見てみるか。
普段はほぼ入る事のない、両親の寝室の扉を開け中に入る。
う〜ん。困ったぞ、スーツなどのカッチリした服しかない。
もっとラフな服で良いんだが。ガサガサとクローゼットを漁っていると
「おっロンT見っけ。ジーパンもあるじゃん」
後はパーカーとかあれば良いんだけど、見つからないからジャケットを羽織るか。
親父と身長は同じくらいだからサイズは問題ないだろう。
まだ寒いし、コートも拝借しよう。お高そうなブランドタグが付いているが、今は着てないんだから良いよな。
「アリスを呼びに行くか」
支度を終えアリスを迎えに行くと、家の前で何故か緊張して来た。
よくよく考えたら、アリスの家を訪問するのなんて小学生ぶりだ。
インターホンを押せずに玄関の前でどーしようかと、うんうん唸っていたらいきなり扉が開いた。
「アベル様! ふふっ入り口でずっと何してるの?」
「まぁ! アー君なの? 久しぶりに見たらカッコ良くなって、おばちゃんドキドキしちゃう」
扉からアリスがひょこっと飛び出し、その後ろからアリスのお母さんが出てきた。久しぶりすぎて思わず固まる。
「もう。ママったら何言ってるの。はいはい、向こう行って」
「何でよ〜久しぶりにアー君にあったんだよ? ちょっとくらい話しさせて?」
「分かったから!」
少し恥ずかしそうに頬を染めたアリスが、無理やりおばさんを家に入れる。
「アー君。いつでも遊びに来て良いんだからね」
「あっはい。またお邪魔します」
アリスに押されながらおばさんは家に入って行った。
「は〜もう。ママったら」
「ははっ。相変わらず仲が良いな」
「ええ〜そうかな? でアベル様、その服どうしたの?」
アリスが俺の着てる服をマジマジと見てくる。
「あっコレか? サイズの合う服がなかったから、親父の服を借りたんだ。もっとラフなのが良かったんだけど、そんな事言ってられねーし」
「すっごくカッコいいよ? だけどアベル様ならもっと別な感じの服も、似合いそうだね」
そういうアリスの服装は黒いミニスカートにグレーのハイネック、靴はサイドゴアの黒ロングブーツを合わせている。羽織るコートは白いダッフルコート。
……何だろう。
アリスにしては珍しい落ち着いたモノトーンコーデ。
前世を含めてアリスは、派手なカラーの色合いをよく着ていた記憶がある。
「アリスにしてはシンプルなコーデだな」
「むぅ〜。初めに言う言葉がそれ? 可愛いとか、大人っぽいとかないの?」
アリスは俺を上目遣いで見ながら口を尖らせる。そんな顔されても、なんて褒めたらいいのか分かんねーんだ。
「え……あ。似合ってる……よ?」
「なんで疑問系なの。まぁアベル様っぽいけど」
アリスはそう言って、俺に向かってベェっと舌を出す。
「そんで何処に行きたいんだ?」
「ええ? それはぁ。まずは初詣に神社行くでしょ? それから行きたかったカフェに一緒に行って貰ってぇ。その後はカラオケ! あっ一緒に買い物も行きたいし……新しくできた観覧車にも……」
「わっ分かった。分かった! 行ける範囲で付き合うから」
「わぁい♪ ありがと」
一日で回れるか? アリスよ?
プルルルル♪
そんな中アリスの携帯電話が鳴る。
「あれ? 編集者さんからだ。どうしたんだろ?」
アリスは電話に出ると、どんどん顔が険しくなって行く。
どうしたんだろう?
「はぁ……分かりました。でも午前中だけですからね?」
電話を切ったアリスは明らかにふてくれている。
「アリス?」
「アベル様……ちょっとだけ雑誌の編集部に行っていい? 断れない撮影が入っちゃって」
「んん? いいよ」
雑誌の編集部か、どんな場所なんだろうな。
この時の俺は、まさかこの後色々な騒動に巻き込まれる事になるなんて、考えもしてなかった。