森ゾーンは蒸し暑い感じだったが、同じ暑さでも今度はカラッとしてる暑さだな。
 地面が砂に変わった事で、少し慣れなくて歩きにくいが。

 海ゾーンか……。
 もしかして釣りとか出来ちゃう? 魚とか食べれちゃう?

「ぐふふ……良いじゃねーか」
『ワフッ?』

 変な笑い方をしたせいか、紅蓮が首を傾げ不思議そうに俺を見ている。
 しまった。主としての威厳が……。

「ゲフン! ヨシッ。行くぞ」

 ただっ広い砂場が、地平線の果てまで永遠と広がっている様に見えるが、探索魔法(サーチ)を使って調べてみると、西の方角に海らしき水辺が広がっている。そりゃもちろん向かうはそこ。

 砂浜を海に向かって歩いていると、五十メートル先でピョンピョンと貝が飛んでいるのが見える。
 あれはもしや……ハマグリィーじゃ? 
 どれどれ? 神眼で確認してみるか。


【甲殻類魔獣】
 名称  ハマグリィー
 ランク C
 強さ  100
 
 スキル 塩吐き


 
 ———やっぱり! ハマグリィーだ。

 意外と素早くて、近付くと二枚貝にバッッチーンと挟まれて痛いんだが。
 コイツは雷魔法にめっちゃ弱いから、低ランク魔法でも一撃なんだよな。

 俺は広範囲雷魔法をハマグリィーに向けて放つ。
 すると雷で簡単にショック死するのだ。

 後はそれを回収して食べるのみ。
 ああ~醤油があればなぁ。絶対にうまいのに!

 まぁ肉ばっかり食べていたので、あっさりした魚介類はなかなか嬉しい。
 アヴェルのわがままボディが喜んでやがる。

 急いでハマグリィーをアイテムボックスに回収する。
 海に着いたら後で魚と一緒に食べよう。

『ワフッ!』
『ワウ!』
「紅蓮? 雹牙? 急にどうしたんだ?」

 食べ物の事を考えてニマニマしてると。
 突然海の方角へと、猛スピードで走って行く二匹。
 俺は慌てて後をついて行く。

 猛スピードの二匹について行くのは、かなり必死だ。

「はっはぁっ…………追いついた」

 結局引き離され、五分遅れで俺は二匹がいる場所へと到着した。

「……ん?」

 二匹の足元にいっぱい転がっているのは……海老?
 いやアレは海老の魔獣【オオテナガエビ】だ。
 ……そうだった。
 オオテナガエビは、前世で紅蓮の大好物だ。
 しかもこのオオテナガエビは、中々出会えない超レア種。

 紅蓮のやつ……匂いでエビの匂いを嗅ぎわけ気付いたのか。
 だからあんなに必死に走っていたんだな。

「ククッ。可愛いやつめ」

 ヨシ。ちょうど良い。
 ハマグリィーと一緒に焼いて食べよう。
 良い感じの石を、アイテムボックスに入れといて良かった。
 砂浜で焼き台になりそうな石が全然なかったから、取っといて良かった。

 慣れた手つきで石を並べて、その上にハマグリィーとオオテナガエビを並べていく。
 後は焼けるのを待つだけ。

 折角だから待ってる間に釣りもするか。

 紅蓮達にハマグリィーの番を頼んで、俺は釣りに徹するか。
 ふふふ。森ゾーンで木も何かに使えると思って、アイテムボックスに入れたんだよな。
 さっそく役にたったぞ。
 風魔法を上手く操り、釣り竿の形を作っていく。

「よっし! 出来た」

 我ながら良い出来。後はこれに釣り糸を……………!! って!

「いっ糸がない!」

 くっそ! 何やってんだよ俺。
 なんでこんな重大なことに気が付かないんだ。
 折角釣り竿作ったのに! 糸がなかったら……ただの良くしなる棒だ。

 くそう……糸はまた何かアイデアを考えないとだな。

『ワッフ♪』

 紅蓮が焼けたと教えにきた。
 とりあえず旨い貝とエビを食うとするか。
 見るとハマグリィーから良い出汁が溢れ出ていて旨そうに焼けている。
 出汁を吸いながら貝を口に入れる。

「はぁ……うっま!」

 うん。海ゾーン最高だ。