「さあ紅蓮、雹牙、俺にお前たちが見てきた世界を教えてくれ」
俺は紅蓮と雹牙の頭に額をくっ付けた。
何故そんな事をしているのか? そんな事したって謎が分かるのか? 不思議に思うよな?
俺とコイツらは使い獣魔契約をしていて、頭をくっつける事で自分達が見てきた映像を俺に見せる事ができるんだ。それを他の奴に言ったら『そんな事できる獣魔なんていねーよ』って言われたから、フェンリルが特別なのかも知れないが。
映像が見えてきたぞ……何だ? 何もない平原にポツンと大きな石があるな。
この石はオリハルコンか? 滅多に手に入れる事が出来ない貴重な鉱石。
そんな貴重な石を無造作にこんな所に置いとくなんて。
この大きさなら数十億はするぞ。
それ以外は全く何もない。
「…………なんだココは? 紅蓮に雹牙。お前達は一体どこにどこに居るんだ?」
『クウン…… 』
俺がそう言うと悲しそうに鼻を鳴らす紅蓮と雹牙。
よく見ると、オリハルコンに何か書いてある。
———これは!?
《親愛なるアベル様。安らかにお眠りください》
とアリスティアの字で書いてある。
「……まさか俺の墓か?」
『くう……』
紅蓮と雹牙が俺の頬を舐める。
「そうかお前達……俺の墓の前に居たのか」
紅蓮と雹牙の顔を抱きしめる。
アリスも墓まで作ってくれてありがとうな。後でお礼を言わないといけねーな。
映像は、俺の墓の前から片時も離れようとしない二匹の姿を映したまま、時が過ぎていく。
「ってか、お前らずっと何も食べないし、この場所を全く動いてないじゃんか!」
このままだと死んでしまう。
何で動かないんだよ。
頼むから何か食べてくれよ!
弱っていく紅蓮と豹牙を見るのは、例え過去の映像だとしても本当に辛い。
そんな二匹の元に人影が近寄る。あれはアリスティアか。
『アベル様! やっと完成しました。貴方の所に行きますからね』
《………………………………………………》
アリスティアが墓の前で何か呪文を詠唱した後。パタリと墓に倒れ込む。
この時に、俺をストーキングしてくる禁忌の神聖魔法を使ったのか。
紅蓮と雹牙も、倒れたアリスティアの横に寝そべる。
もう余力も残ってないのだろう。
そして空を見上げると、日中なのに妙に暗くて惨憺とした赤い月が仰々しく輝いている。
【血の月】か……。
この後蘇った魔王が死霊を引き連れやって来るんだよな。
アリスが話していた通りだ。
だがまだコイツらが何故日本、それも謎のダンジョンにいるのかが分からない。
この後にその謎が何か分かるのか?
などと考えていたら、俺の墓に忌々しい奴がゆっくりと近付いて来た。
「…………魔王」
———嘘だろ!?
何で魔王が一人で俺の墓にやって来るんだ?
紅蓮と雹牙も最後の力を捻り出し、立ち上がる。
紅蓮! 雹牙! お前らじゃ無理だ。もう無理すんな!
だが魔王は、グルルと唸り声をあげる二匹の事など気にもせず、俺の墓の前で座り込んだ。
真っ白な髪、血の月と同じ色の目。恐ろしほどに美しい姿をしているのが魔王。
性別は不明だがな。
『どうしてお前が死ぬ? この先……誰が我の相手をするのじゃ。お前との闘いはそれは至極良いものじゃった。永遠にそれが続くと思うておったのに…………』
魔王は何を言ってるんだ? 俺と戦う事が至極だと?
……そんな恐ろしい事を考えてたのか。
俺はごめんだよ!
『……ふむ。お主らはまだ彼奴の魂と結ばれておるのか。フェンリルとは不思議な生物よのう……ふふ。それを利用させてもらおうか』
———利用だと? 何を言ってるんだ?
魔王はそう言うと、紅蓮と雹牙に向かって手を翳した。
すると二匹が立っていた地面が突如消失し、永遠とも感じるような奈落の底へと落ちていく。
地面に落ち切ると……。目の前にオークジェネラルが立っていた。
なるほどな。
そう言うことか、これは魔王の仕業か!
どうやったのかは分かんねーし想像も出来ねーが。
それに、俺の墓に居た時は子供のフェンリルだったのに、ダンジョンに落ちたら成長していた。
時空を移動したからか?
そもそも、魔王は何で紅蓮と雹牙をこの世界に寄越したんだ?
ダンジョンだって……謎だ。
まさか魔王の奴もダンジョンを使って……この日本に?
魔王が日本に!?
いやいやいや! ないないない!
これ以上は深く考えない様にしよう。
視点を二匹に戻そう。
だから紅蓮と雹牙は、オークジェネラルに苦戦していたのか。
成長したとはいえ、弱りきっていた状態で、ダンジョンに落とされたんだからな。
あの後魔王は国を滅ぼしたんだろうか?
それからの映像はないから分からない。
…………このダンジョンのせいで、前世の異世界と時空で繋がったとか……まさかないよな?
「それだとヤベエ!」
『ワフ?』
急に大声を出した俺を、不思議そうに見る二匹。
「ごめんごめん。今はこのダンジョンをクリアする事が最優先だよな」
よし! やってやるか!
紅蓮と雹牙がいたらもう勝ちゲームだ! 怖いものなしだぜ。
「このダンジョンクリアするぞ」
『『ワフッ!』』
俺は紅蓮と雹牙の頭に額をくっ付けた。
何故そんな事をしているのか? そんな事したって謎が分かるのか? 不思議に思うよな?
俺とコイツらは使い獣魔契約をしていて、頭をくっつける事で自分達が見てきた映像を俺に見せる事ができるんだ。それを他の奴に言ったら『そんな事できる獣魔なんていねーよ』って言われたから、フェンリルが特別なのかも知れないが。
映像が見えてきたぞ……何だ? 何もない平原にポツンと大きな石があるな。
この石はオリハルコンか? 滅多に手に入れる事が出来ない貴重な鉱石。
そんな貴重な石を無造作にこんな所に置いとくなんて。
この大きさなら数十億はするぞ。
それ以外は全く何もない。
「…………なんだココは? 紅蓮に雹牙。お前達は一体どこにどこに居るんだ?」
『クウン…… 』
俺がそう言うと悲しそうに鼻を鳴らす紅蓮と雹牙。
よく見ると、オリハルコンに何か書いてある。
———これは!?
《親愛なるアベル様。安らかにお眠りください》
とアリスティアの字で書いてある。
「……まさか俺の墓か?」
『くう……』
紅蓮と雹牙が俺の頬を舐める。
「そうかお前達……俺の墓の前に居たのか」
紅蓮と雹牙の顔を抱きしめる。
アリスも墓まで作ってくれてありがとうな。後でお礼を言わないといけねーな。
映像は、俺の墓の前から片時も離れようとしない二匹の姿を映したまま、時が過ぎていく。
「ってか、お前らずっと何も食べないし、この場所を全く動いてないじゃんか!」
このままだと死んでしまう。
何で動かないんだよ。
頼むから何か食べてくれよ!
弱っていく紅蓮と豹牙を見るのは、例え過去の映像だとしても本当に辛い。
そんな二匹の元に人影が近寄る。あれはアリスティアか。
『アベル様! やっと完成しました。貴方の所に行きますからね』
《………………………………………………》
アリスティアが墓の前で何か呪文を詠唱した後。パタリと墓に倒れ込む。
この時に、俺をストーキングしてくる禁忌の神聖魔法を使ったのか。
紅蓮と雹牙も、倒れたアリスティアの横に寝そべる。
もう余力も残ってないのだろう。
そして空を見上げると、日中なのに妙に暗くて惨憺とした赤い月が仰々しく輝いている。
【血の月】か……。
この後蘇った魔王が死霊を引き連れやって来るんだよな。
アリスが話していた通りだ。
だがまだコイツらが何故日本、それも謎のダンジョンにいるのかが分からない。
この後にその謎が何か分かるのか?
などと考えていたら、俺の墓に忌々しい奴がゆっくりと近付いて来た。
「…………魔王」
———嘘だろ!?
何で魔王が一人で俺の墓にやって来るんだ?
紅蓮と雹牙も最後の力を捻り出し、立ち上がる。
紅蓮! 雹牙! お前らじゃ無理だ。もう無理すんな!
だが魔王は、グルルと唸り声をあげる二匹の事など気にもせず、俺の墓の前で座り込んだ。
真っ白な髪、血の月と同じ色の目。恐ろしほどに美しい姿をしているのが魔王。
性別は不明だがな。
『どうしてお前が死ぬ? この先……誰が我の相手をするのじゃ。お前との闘いはそれは至極良いものじゃった。永遠にそれが続くと思うておったのに…………』
魔王は何を言ってるんだ? 俺と戦う事が至極だと?
……そんな恐ろしい事を考えてたのか。
俺はごめんだよ!
『……ふむ。お主らはまだ彼奴の魂と結ばれておるのか。フェンリルとは不思議な生物よのう……ふふ。それを利用させてもらおうか』
———利用だと? 何を言ってるんだ?
魔王はそう言うと、紅蓮と雹牙に向かって手を翳した。
すると二匹が立っていた地面が突如消失し、永遠とも感じるような奈落の底へと落ちていく。
地面に落ち切ると……。目の前にオークジェネラルが立っていた。
なるほどな。
そう言うことか、これは魔王の仕業か!
どうやったのかは分かんねーし想像も出来ねーが。
それに、俺の墓に居た時は子供のフェンリルだったのに、ダンジョンに落ちたら成長していた。
時空を移動したからか?
そもそも、魔王は何で紅蓮と雹牙をこの世界に寄越したんだ?
ダンジョンだって……謎だ。
まさか魔王の奴もダンジョンを使って……この日本に?
魔王が日本に!?
いやいやいや! ないないない!
これ以上は深く考えない様にしよう。
視点を二匹に戻そう。
だから紅蓮と雹牙は、オークジェネラルに苦戦していたのか。
成長したとはいえ、弱りきっていた状態で、ダンジョンに落とされたんだからな。
あの後魔王は国を滅ぼしたんだろうか?
それからの映像はないから分からない。
…………このダンジョンのせいで、前世の異世界と時空で繋がったとか……まさかないよな?
「それだとヤベエ!」
『ワフ?』
急に大声を出した俺を、不思議そうに見る二匹。
「ごめんごめん。今はこのダンジョンをクリアする事が最優先だよな」
よし! やってやるか!
紅蓮と雹牙がいたらもう勝ちゲームだ! 怖いものなしだぜ。
「このダンジョンクリアするぞ」
『『ワフッ!』』