———やってしまった。
我ながら……なんて間抜けな。
光が落ち着くと、俺の目の前に登場したのは前世で見慣れた景色。
ダンジョンの一階層。
洞窟タイプか。
このまま洞窟で終わるか、途中の階層で景色がガラリと変わるか。
それは初めて潜るダンジョンなので、全く分からない。
未知である。
頼むからレベルの低いダンジョンであってくれと、願うばかり。
なんせ俺は、ジョブが勇者とはいえレベル1なんだ。
ハッキリ言って低ランクダンジョンにさえ挑むべきでは無いレベル。
レベル1でダンジョンに挑むなんて、考えなしのバカのする所業だ。
「ハァ~。やるしかねえか」
俺は意を決して立ち上がった。
『もう! こんな事はやめてよね? 後ちょっとで間に合わなかったんだから!』
「え?」
アリスが小さな口を目一杯膨らませ、俺の周りをクルクルと飛んでいる。
「アリス! 一緒に来たのか?!」
『そりゃそうだよ! 赤ちゃんレベルのアベル様を放っておける訳がないでしょ?』
アリスは呆れたように両手を少し上げると、腕を組み俺をジト目で見てくる。
「ぐぬぬ……」
返す言葉もねぇ。
情けないが、アリスが一緒でホッとしたのも事実で……。
『さてと……このダンジョンがどんなものか見極めないとだね。この階層に出て来るのが低レベルなら、アベル様のレベル上げも出来るんだけど』
「そうだな。出来れば倒し易い魔獣が良いな」
『倒し易いねぇ……今のアベル様なら武器もないし、スライムでも苦労しそうだけど?』
またしてもアリスが目を細めて俺を見る。
ぐぬぬ。さっきからアリスの当たりがきつい。
巨漢デブの体をうまく操縦出来なかった所為で、勝手にダンジョンに入って悪かったってば。
反省してます。
『で? アベル様はサーチ魔法を使える? 私はなるべくこの体を維持したいから、極力魔法は使いたくないの。使っちゃうと消滅する時間を早めてしまうから』
そうか……今のアリスの身体は魔力で作られている、魔法を使えばそりゃ消滅しちまうか。
サーチくらいなら余裕だぜ。尾崎の時にも公園で使ったし。
なんせスキル全属性魔法を持ってるからな。
……これもLv、1 だけど。
《サーチ》
俺は魔法を詠唱し、ダンジョン一階層の気配を探る。
どうやらそこまで広くは無いらしく、俺のサーチが行き渡る。
この場にいるすべての生命体の情報が……!?
「はっ!? ちょっと待ってくれ!」
『何!? どうしたのアベル様!?』
「おおっ奥に……Bランクレベルの魔獣がいる……」
『はぁ!? 一階層でBランクが出るって!? そんなダンジョン前世でもなかったよ?』
「ああっ。ゴクッ……だがそれくらいの強さを感じる……そんで何かは分かんねーが得体の知れねーのも」
『得体の知れない? 全部で何体いるの?』
「……Bランクが一体いる。そんで良く分かんねーが二体すべて一番最奥に固まっているな。多分だが地下二階層に降りる場所だな」
『……はぁ。じゃあそいつらを倒さないと、 二階層に進めないって事ね』
「そうなるな」
『本当に得体が分からないじゃん! 私が見ても分からない……なんなのよコレ』
「アリスが見ても分からねーのか。相当やべえ奴じゃ……」
『私の神聖魔法をこんな所で使いたくは無いんだけれど……そうも言ってられないかもだね。それまでに、アベル様のレベル上げに成功できたら良いのだけれど』
本当にな。どうにか早くレベルを上げたい。
女に頼ってる勇者なんて、情けなすぎだろう。
くそっ。
なんせ現状のステータスはコレだからな。
【名前】 如月 アヴェル
【職業】 勇者
【レベル】 1
【体力】 10/15
【魔力】 42/50
【攻撃力】15/15
【素早さ】10/10
【スキル】 全属性魔法 Lv 1 神眼 Lv1 アイテムボックス Lv 1 状態異常耐性 Lv1 身体強化 Lv1
ただでさえ少ない体力がもう残り10にまで減っている。
おい俺よ……やばく無いか?
なんで戦ってもねーのに5も減ってんだよ。
『アベル様! 前から来たよっ』
「おっ? 初めて戦うにはありがてぇ奴!」
前からポヨンポヨンっと柔らかそうな体を揺らせながら、スライムが三体現れた。
我ながら……なんて間抜けな。
光が落ち着くと、俺の目の前に登場したのは前世で見慣れた景色。
ダンジョンの一階層。
洞窟タイプか。
このまま洞窟で終わるか、途中の階層で景色がガラリと変わるか。
それは初めて潜るダンジョンなので、全く分からない。
未知である。
頼むからレベルの低いダンジョンであってくれと、願うばかり。
なんせ俺は、ジョブが勇者とはいえレベル1なんだ。
ハッキリ言って低ランクダンジョンにさえ挑むべきでは無いレベル。
レベル1でダンジョンに挑むなんて、考えなしのバカのする所業だ。
「ハァ~。やるしかねえか」
俺は意を決して立ち上がった。
『もう! こんな事はやめてよね? 後ちょっとで間に合わなかったんだから!』
「え?」
アリスが小さな口を目一杯膨らませ、俺の周りをクルクルと飛んでいる。
「アリス! 一緒に来たのか?!」
『そりゃそうだよ! 赤ちゃんレベルのアベル様を放っておける訳がないでしょ?』
アリスは呆れたように両手を少し上げると、腕を組み俺をジト目で見てくる。
「ぐぬぬ……」
返す言葉もねぇ。
情けないが、アリスが一緒でホッとしたのも事実で……。
『さてと……このダンジョンがどんなものか見極めないとだね。この階層に出て来るのが低レベルなら、アベル様のレベル上げも出来るんだけど』
「そうだな。出来れば倒し易い魔獣が良いな」
『倒し易いねぇ……今のアベル様なら武器もないし、スライムでも苦労しそうだけど?』
またしてもアリスが目を細めて俺を見る。
ぐぬぬ。さっきからアリスの当たりがきつい。
巨漢デブの体をうまく操縦出来なかった所為で、勝手にダンジョンに入って悪かったってば。
反省してます。
『で? アベル様はサーチ魔法を使える? 私はなるべくこの体を維持したいから、極力魔法は使いたくないの。使っちゃうと消滅する時間を早めてしまうから』
そうか……今のアリスの身体は魔力で作られている、魔法を使えばそりゃ消滅しちまうか。
サーチくらいなら余裕だぜ。尾崎の時にも公園で使ったし。
なんせスキル全属性魔法を持ってるからな。
……これもLv、1 だけど。
《サーチ》
俺は魔法を詠唱し、ダンジョン一階層の気配を探る。
どうやらそこまで広くは無いらしく、俺のサーチが行き渡る。
この場にいるすべての生命体の情報が……!?
「はっ!? ちょっと待ってくれ!」
『何!? どうしたのアベル様!?』
「おおっ奥に……Bランクレベルの魔獣がいる……」
『はぁ!? 一階層でBランクが出るって!? そんなダンジョン前世でもなかったよ?』
「ああっ。ゴクッ……だがそれくらいの強さを感じる……そんで何かは分かんねーが得体の知れねーのも」
『得体の知れない? 全部で何体いるの?』
「……Bランクが一体いる。そんで良く分かんねーが二体すべて一番最奥に固まっているな。多分だが地下二階層に降りる場所だな」
『……はぁ。じゃあそいつらを倒さないと、 二階層に進めないって事ね』
「そうなるな」
『本当に得体が分からないじゃん! 私が見ても分からない……なんなのよコレ』
「アリスが見ても分からねーのか。相当やべえ奴じゃ……」
『私の神聖魔法をこんな所で使いたくは無いんだけれど……そうも言ってられないかもだね。それまでに、アベル様のレベル上げに成功できたら良いのだけれど』
本当にな。どうにか早くレベルを上げたい。
女に頼ってる勇者なんて、情けなすぎだろう。
くそっ。
なんせ現状のステータスはコレだからな。
【名前】 如月 アヴェル
【職業】 勇者
【レベル】 1
【体力】 10/15
【魔力】 42/50
【攻撃力】15/15
【素早さ】10/10
【スキル】 全属性魔法 Lv 1 神眼 Lv1 アイテムボックス Lv 1 状態異常耐性 Lv1 身体強化 Lv1
ただでさえ少ない体力がもう残り10にまで減っている。
おい俺よ……やばく無いか?
なんで戦ってもねーのに5も減ってんだよ。
『アベル様! 前から来たよっ』
「おっ? 初めて戦うにはありがてぇ奴!」
前からポヨンポヨンっと柔らかそうな体を揺らせながら、スライムが三体現れた。