「いてて……」
転移した瞬間。
俺は、ボールのように勢いよく転がると、大きな木にぶつかりやっと止まった。
はぁ~っビックリした。
どこに転移したんだ?
辺りを見回すと、鬱蒼とした木々が何処までも広がっている。
南国って感じの派手な葉っぱも生えているし……見た事もない植物ばっかりだ。
それにもう直ぐ十二月ってのにクソ暑いんだが。
頭から滝のように汗が流れてくる。
……おいおいまさか南国……外国に転移したんじゃ?!
どうやって帰るんだよ!
パスポートも持ってねえし……
不法入国者とかで捕まったり……!?
やべえやべえやべえ!
とりあえず冷静になれ、俺。
こんな時は慌てちゃダメだ。
落ち着け落ち着け。
大きく息を吸ってぇ深呼吸。
「…………ふぅ」
ってか地球にも時空門があるなんて……前の世界じゃ当たり前だったけど。
あれかな? 神隠しで急に人が消えるって迷信あるが、時空扉で何処かに転移させられてたのかもな。
とりあえずこの森だかジャングルだか分かんねーが、人がいる所に行きてえな。
『…………ベル様!』
んん? 今アリスの声が聞こえたような?
そんな訳ねーよなぁっあ!?
「うわっぷ!?」
顔に大きな虫が張り付いてきた!
必死に虫を退けようとしたら『ちょっ! 痛いようっ』っと聞き慣れた可愛い声が聞こえて来る。
虫だと思ったのは、アリスだった。
手のひらサイズの大きさになって、フワフワと浮かんでいる。
これは神聖魔法の分身じゃねーか。
アリスが使うアバターは、同じ大きさの自分をもう一人作り出せるほどにレベルが高かった。
『急だったからね。急いで魔力をアベル様に飛ばしてついて来たの。これだと半日で消えちゃうと思う』
俺の手のひらの上でアリスがちょこんと体育座りをし、ため息を吐いた。
ちゃんとアバターを作れなかったから悔しいんだろう。
前世と同じ魔法を使いこなせているだけで、俺からしたら凄えんだがな。
『でもね? こんな姿でもついて来れて良かった。その間に私が協力出来ることは、何でもするからね』
小さなアリスが両手でガッツポーズをして、必死に俺を安心させようとしているのが分かる。
そんなに顔にでてたのか。
情けない、これじゃ前世勇者って言えないな。
「ありがとなアリス。お前のおかげで冷静になれた」
俺は人差し指でチョンっとアリスの頭を撫でた。
『ふふ。なら良かった』
「ところで……アリスはここが何処だか分かるか?」
『それがね? アベル様追跡システムだと……位置情報が富士の樹海なんだよね』
———何だその怖そうなストーカーシステムは。
深く聞くのが怖いので、今は触れないでおこう。
「富士の樹海って事は日本なのか!?」
『うん。山梨県の青木ヶ原樹海、別名【富士の樹海】だね』
「だとしたら! こんな南国に生えているような植物が鬱蒼と生い茂ってるのは、おかしくねえか?」
『そうなんだよね……それにサーチ魔法を使うと、微妙に磁場がおかしい場所があって』
「磁場がおかしい?」
『うん。その場所に行ってみる?』
「そうだな」
どう考えても原因はそこにあるだろ?
何となくだが、アリスが案内する場所に近付くにつれ妙な感じがする……何だろう? 知ってるような感覚? そんな訳ないんだが。
十分ほど道なき道を突き進んでいくとソレはあった。
前世で何回も見慣れた建造物……。
『アベル様これって…… 』
「ああ……ダンジョンだな」
転移した瞬間。
俺は、ボールのように勢いよく転がると、大きな木にぶつかりやっと止まった。
はぁ~っビックリした。
どこに転移したんだ?
辺りを見回すと、鬱蒼とした木々が何処までも広がっている。
南国って感じの派手な葉っぱも生えているし……見た事もない植物ばっかりだ。
それにもう直ぐ十二月ってのにクソ暑いんだが。
頭から滝のように汗が流れてくる。
……おいおいまさか南国……外国に転移したんじゃ?!
どうやって帰るんだよ!
パスポートも持ってねえし……
不法入国者とかで捕まったり……!?
やべえやべえやべえ!
とりあえず冷静になれ、俺。
こんな時は慌てちゃダメだ。
落ち着け落ち着け。
大きく息を吸ってぇ深呼吸。
「…………ふぅ」
ってか地球にも時空門があるなんて……前の世界じゃ当たり前だったけど。
あれかな? 神隠しで急に人が消えるって迷信あるが、時空扉で何処かに転移させられてたのかもな。
とりあえずこの森だかジャングルだか分かんねーが、人がいる所に行きてえな。
『…………ベル様!』
んん? 今アリスの声が聞こえたような?
そんな訳ねーよなぁっあ!?
「うわっぷ!?」
顔に大きな虫が張り付いてきた!
必死に虫を退けようとしたら『ちょっ! 痛いようっ』っと聞き慣れた可愛い声が聞こえて来る。
虫だと思ったのは、アリスだった。
手のひらサイズの大きさになって、フワフワと浮かんでいる。
これは神聖魔法の分身じゃねーか。
アリスが使うアバターは、同じ大きさの自分をもう一人作り出せるほどにレベルが高かった。
『急だったからね。急いで魔力をアベル様に飛ばしてついて来たの。これだと半日で消えちゃうと思う』
俺の手のひらの上でアリスがちょこんと体育座りをし、ため息を吐いた。
ちゃんとアバターを作れなかったから悔しいんだろう。
前世と同じ魔法を使いこなせているだけで、俺からしたら凄えんだがな。
『でもね? こんな姿でもついて来れて良かった。その間に私が協力出来ることは、何でもするからね』
小さなアリスが両手でガッツポーズをして、必死に俺を安心させようとしているのが分かる。
そんなに顔にでてたのか。
情けない、これじゃ前世勇者って言えないな。
「ありがとなアリス。お前のおかげで冷静になれた」
俺は人差し指でチョンっとアリスの頭を撫でた。
『ふふ。なら良かった』
「ところで……アリスはここが何処だか分かるか?」
『それがね? アベル様追跡システムだと……位置情報が富士の樹海なんだよね』
———何だその怖そうなストーカーシステムは。
深く聞くのが怖いので、今は触れないでおこう。
「富士の樹海って事は日本なのか!?」
『うん。山梨県の青木ヶ原樹海、別名【富士の樹海】だね』
「だとしたら! こんな南国に生えているような植物が鬱蒼と生い茂ってるのは、おかしくねえか?」
『そうなんだよね……それにサーチ魔法を使うと、微妙に磁場がおかしい場所があって』
「磁場がおかしい?」
『うん。その場所に行ってみる?』
「そうだな」
どう考えても原因はそこにあるだろ?
何となくだが、アリスが案内する場所に近付くにつれ妙な感じがする……何だろう? 知ってるような感覚? そんな訳ないんだが。
十分ほど道なき道を突き進んでいくとソレはあった。
前世で何回も見慣れた建造物……。
『アベル様これって…… 』
「ああ……ダンジョンだな」