「なぁ如月。あの尾崎がやってたのってさ? なんかの(まじな)いとか呪術なのか?」

 葛井は奴隷紋というものが、何なのかが分からない。
 得体の知れない奴隷紋(それ)に気持ち悪さがあるんだろう。
 俺にその謎をどうにか教えて貰いたいようだ。

 その気持ちは分かるので、教えてやりたいんだが。
 この世界に魔法なんてのはない。
 分かり易い呪術にしとくのが得策か。

「まぁ……そんなところだろうな」
「やっぱり! 漫画とかでも良くあるもんな。謎の本に呪文が書いてあって……呪いが発動するとか……」
「……どうだろうな」
「ってことはだ! 如月。お前は陰陽師とか……呪い師なのか? そんなのを祓ったり出来る奴か?」

 おいおい。何でそこで俺が陰陽師になるんだよ。
 それは違うぞと良いたいが、まあ陰陽師だと実在するしな。
 あった事ないけど。

 魔法なんて言うよりは、リアリティがあるかもだな。
 そこは合わせておくか。

「まぁそんな感じだ」
「スッゲェー! リアル陰陽師とか初めてあったぜ! お前そんな凄えのに、何で俺なんかに虐められて、全く仕返さなかったんだ? 尾崎みたいに呪術を使って、どうにかできそうじゃん」
「本当そうだよな。如月が良い奴で良かった。もし陰陽師の力を使われていたら……終わってたな俺ら」
「「「それな!」」」

 葛井達が子供みたいにはしゃぐ。
 てかお前らが率先して、俺をいじめてたんだろうが。
 今の俺は、勇者アベルの記憶の方が鮮明なので、性格はもう前の白豚アヴェルではない。
 以前の俺なら絶対にこの状況はあり得ないだろう。
 自殺するまで追い込んだ奴を助け、しかも一緒に話てるんだからな。

「そうだ葛井。俺の写真は全て消去しておけよ?」
「それは如月に携帯壊されたから……残ってねーよ。クラウド保存もしてねーし」
「お前らじゃなくてあの時いた奴ら全てだ。さらにネットに晒した画像も削除だ。ちゃんとしねーんならもう……どうなるのか分かるよな?」

 俺はわざと葛井の顔面に手をかざす。

「ひっ! わわっ分かったよ! よしっ今から連絡するぞ」
「じゃあな。如月」
「またな」

 慌ただしく葛井達が去っていった。

「ねぇ? アベル様。ネットの画像ってなに?」

 俺たちの会話を聞いていたアリスが、俺の顔を覗き込んで来た。
 恥ずかしい裸の写真を、ネットに掲載されました。
 ———なんて言えるか。

「なんでもねーよ。大した事ねーから」
「…………ふうん?」

 アリスはその後、何も聞いてこなかった。
 もっとツッコまれると思ったんだが。
 何かを真剣に考えていたのか、黙ったまま家路まで帰りついた。

「じゃあ。アベル様また明日」
「おう。またな」

 アリスに別れを告げた後、俺は動きやすい服装に着替え、再び外に出た。
 さてと、この後トレーンングとマラソンするか!
 痩せて体力と筋肉をつけないと。
 レベル上げもしたいし。
 この世界でどうやったら、レベルが上がるのかもまだ分からないからな。
 色々試したい。

 俺が必死に運動している中。

 ネット上には、葛井達の加工された恥ずかしい画像が拡散され、炎上していた。

 恥ずかしい画像をネット上に載せられたのは皆、俺の全裸の写真をネットに載せた奴らだった。
 その事を俺は、次の日の朝。知る事になるのだが。



 …………犯人はどう考えても。あいつだよな?