「…………いってぇ~!? わっ冷たっ!?」
あまりの冷たさに飛び起きると、俺は何故か水辺で寝ていた。
頭から血を流して……。
はっ……!?
ちょっと待ってくれ!?
なんで俺はこんな水辺で寝てるんだ?
ええと……何してたっけ? 思い出せ俺!
「…………!!」
そうだ!
魔王をどうにか倒した後。
魔力も体力も枯渇しながらも、仲間達とどうにか王都に転移して戻ると、国王たちから泣いて喜ばれ、「次の日盛大な祝勝パーティと婚約パーティをしますので、今日はゆっくり寝て休んでくださいね」っと婚約者でもあるエメラメ皇女から言われ……?
それからどうしたっけ?
「いててっ」
頭が割れるように痛い。
その後……そうだ! 寝る前に挨拶だけでもしようと、エメラメ皇女の部屋を訪れると。
エメラメの奴は、部屋で剣聖のギールとイチャイチャしてやがったんだ!
そんで俺に向かって悪びれる事なく「見つかったら仕方ないわ。私はギール様と結婚するのです! いくら魔王を倒した勇者だからって、あなたの様な平民男と結婚なんて御免だわ!」そう言いやがったんだ。
「はははっ。悪く思わないでくれよアベル? エメラメ様の横にはお前のような男より、俺のように見目美しく地位もある男の方が似合うだろう?」
ギールは少し広角を上げ、俺を哀れむように見てくる。
そりゃ生粋の貴族様であるギールと、ジョブが勇者ってだけのド平民の俺じゃあ、比べようがないのは分かる。
だからこそ俺は馬鹿にされないよう、強い勇者となるよう人の何倍も努力した。
………なのに結局は、裏で馬鹿にされてたんだな。
「!? あがっ!? なっ!?」
急に立っていられなくなり、俺は膝から崩れ落ちる。
……何だ急に?
そんな俺を上から見下し、嘲笑うエメラメ。
「やっと毒が効いたのね? うふふ♡ その毒は普通の人なら即死の毒なのに、あなたは毒耐性があるから殆ど効果がない。でも魔王討伐後の弱っている勇者アベルなら? クスッ」
「流石に効果があるだろうな? なんせお前は過去最強の勇者様だからな、どうやって死んで貰おうか悩んでいたんだよ」
「……毒? だと?」
「祝勝の祝い酒を飲んだでしょう? いつもなら警戒する貴方が、疲れていてそんな気力もなかったのよね? その中に即死の猛毒が入っていたの。まぁさすが勇者様、即死とはいかないわね」
倒れている俺を見ながら、やっと死んでくれると嘲笑う二人。
ふざけるのも大概にしろよ?
必死に魔王と戦って、挙げ句の果てに馬鹿にされて死んでいくのか?
コイツら俺の人生をなんだと思ってるんだ。
こんな事になるなら、王都になんて戻って来なかったのに。
文句を言ってやりたいが、毒のせいで口が痺れてもう何も言えない。
「じゃあなアベル?」
ギールが口角を上げながら、剣先を俺の首筋に向けた。
二人の顔が擦れて見えなくなる。
クソッ…… 死ぬんだな……俺。
「そうだよ! 思い出した! 俺はギールとエメラメに殺されたんだ!」
何で生きてこんな水辺に……!?
「……ん?」
ふと目線を下に向けると。
ゆらりと水面が煌めく。
……そこに映し出された、自分の姿は。
「はぁああああああああ!?」
何だ!? この豚のように肥えた男は!? 誰だよ!?
「いててっ」
…………頭が痛い。
あっやばい。空の景色がぐにゃりと歪む。
ちょっと待ってくれ。
俺はまた死ぬのか?
そう思った時だった。
脳内に全く知らないの男の人生が、伝記ドラマの様に流れてきた。
……ってか伝記ドラマってなんだよ。
何でそんな言葉を知ってるんだ俺。
★★★
あまりの冷たさに飛び起きると、俺は何故か水辺で寝ていた。
頭から血を流して……。
はっ……!?
ちょっと待ってくれ!?
なんで俺はこんな水辺で寝てるんだ?
ええと……何してたっけ? 思い出せ俺!
「…………!!」
そうだ!
魔王をどうにか倒した後。
魔力も体力も枯渇しながらも、仲間達とどうにか王都に転移して戻ると、国王たちから泣いて喜ばれ、「次の日盛大な祝勝パーティと婚約パーティをしますので、今日はゆっくり寝て休んでくださいね」っと婚約者でもあるエメラメ皇女から言われ……?
それからどうしたっけ?
「いててっ」
頭が割れるように痛い。
その後……そうだ! 寝る前に挨拶だけでもしようと、エメラメ皇女の部屋を訪れると。
エメラメの奴は、部屋で剣聖のギールとイチャイチャしてやがったんだ!
そんで俺に向かって悪びれる事なく「見つかったら仕方ないわ。私はギール様と結婚するのです! いくら魔王を倒した勇者だからって、あなたの様な平民男と結婚なんて御免だわ!」そう言いやがったんだ。
「はははっ。悪く思わないでくれよアベル? エメラメ様の横にはお前のような男より、俺のように見目美しく地位もある男の方が似合うだろう?」
ギールは少し広角を上げ、俺を哀れむように見てくる。
そりゃ生粋の貴族様であるギールと、ジョブが勇者ってだけのド平民の俺じゃあ、比べようがないのは分かる。
だからこそ俺は馬鹿にされないよう、強い勇者となるよう人の何倍も努力した。
………なのに結局は、裏で馬鹿にされてたんだな。
「!? あがっ!? なっ!?」
急に立っていられなくなり、俺は膝から崩れ落ちる。
……何だ急に?
そんな俺を上から見下し、嘲笑うエメラメ。
「やっと毒が効いたのね? うふふ♡ その毒は普通の人なら即死の毒なのに、あなたは毒耐性があるから殆ど効果がない。でも魔王討伐後の弱っている勇者アベルなら? クスッ」
「流石に効果があるだろうな? なんせお前は過去最強の勇者様だからな、どうやって死んで貰おうか悩んでいたんだよ」
「……毒? だと?」
「祝勝の祝い酒を飲んだでしょう? いつもなら警戒する貴方が、疲れていてそんな気力もなかったのよね? その中に即死の猛毒が入っていたの。まぁさすが勇者様、即死とはいかないわね」
倒れている俺を見ながら、やっと死んでくれると嘲笑う二人。
ふざけるのも大概にしろよ?
必死に魔王と戦って、挙げ句の果てに馬鹿にされて死んでいくのか?
コイツら俺の人生をなんだと思ってるんだ。
こんな事になるなら、王都になんて戻って来なかったのに。
文句を言ってやりたいが、毒のせいで口が痺れてもう何も言えない。
「じゃあなアベル?」
ギールが口角を上げながら、剣先を俺の首筋に向けた。
二人の顔が擦れて見えなくなる。
クソッ…… 死ぬんだな……俺。
「そうだよ! 思い出した! 俺はギールとエメラメに殺されたんだ!」
何で生きてこんな水辺に……!?
「……ん?」
ふと目線を下に向けると。
ゆらりと水面が煌めく。
……そこに映し出された、自分の姿は。
「はぁああああああああ!?」
何だ!? この豚のように肥えた男は!? 誰だよ!?
「いててっ」
…………頭が痛い。
あっやばい。空の景色がぐにゃりと歪む。
ちょっと待ってくれ。
俺はまた死ぬのか?
そう思った時だった。
脳内に全く知らないの男の人生が、伝記ドラマの様に流れてきた。
……ってか伝記ドラマってなんだよ。
何でそんな言葉を知ってるんだ俺。
★★★