彼は最後に庭をエリザに案内したところで、庭師の孫の女の子達が三人はしゃぐ姿に遭遇した途端、精神的な過労の限界に達したのか倒れてしまった。

 普段からそうなのか、慣れたように屋敷の兵がやって来て彼を運んだ。

 今回屋敷に出入りしていた女性達は、全てラドフォードが雇った舞台女優達だ。彼を交えて挨拶がされたのだが、一人、二階の寝室でうんうんうなされているだろうジークハルトが哀れに思えた。

 目の当たりにした彼の症状は、想像を上回る厄介さだった。

(ヘタレであることを考慮して、やっぱり少々荒治療でも女性に慣れてもらうしかないのかなぁ)

 その前に、短い間とはいえ自分が治療に協力するのは不安があるけれど。

「婚約者候補も出揃っているので、ぜひよろしくお願いしますね」

 セバスチャンに残る屋敷の案内をされながら、ラドフォード公爵の意志を代弁されて、まいった。

(バレるまでは、やるしかないかぁ)

 図書室で素晴らしい膨大な書物の山を見て、少し勇気が出たのだった。