目撃した住民や傭兵曰く、それは赤い髪と目をした最強の魔法使いである、と。
『無詠唱で強化魔法を発動し、片手一つで森の木を薙ぎ倒していた』
『その魔法使いは、魔物が徘徊する夜の森の中を平気で出歩くほどの奇人だ。それほどまでに強い魔法使いなのだろう』
『片手で魔物を滅するほどの魔力量を持った、規格外の恐ろしすぎる男である』
だが、それはもちろん彼らのイメージでしかない。
魔術師団の制服であるマントコートを着たエリザ――改め、活動用の偽名『エリオ』は、日中の買い物で噂を聞くたび「誰だソレ」と思う。
女性の平均身長よりもちょっと低め、全体的に見ても華奢だ。
そもそも魔法使いではないのだが、そうなると魔物を倒せる理由が少々厄介だ。
(――この国には、聖女がいない。魔術師も)
そこで結局、自分に関わる変な噂については口を閉ざしている。説明しようにも、師匠ゼットと森を転々として教育を受けていたのでこの国に詳しいわけではない。
『無詠唱で強化魔法を発動し、片手一つで森の木を薙ぎ倒していた』
『その魔法使いは、魔物が徘徊する夜の森の中を平気で出歩くほどの奇人だ。それほどまでに強い魔法使いなのだろう』
『片手で魔物を滅するほどの魔力量を持った、規格外の恐ろしすぎる男である』
だが、それはもちろん彼らのイメージでしかない。
魔術師団の制服であるマントコートを着たエリザ――改め、活動用の偽名『エリオ』は、日中の買い物で噂を聞くたび「誰だソレ」と思う。
女性の平均身長よりもちょっと低め、全体的に見ても華奢だ。
そもそも魔法使いではないのだが、そうなると魔物を倒せる理由が少々厄介だ。
(――この国には、聖女がいない。魔術師も)
そこで結局、自分に関わる変な噂については口を閉ざしている。説明しようにも、師匠ゼットと森を転々として教育を受けていたのでこの国に詳しいわけではない。