運ばれていくジークハルトについて行きながら、セバスチャンがラドフォード公爵に聞く。

「どうされます?」
「はぁ、殿下の推測は当たっているのか……」

 どうしたものかなぁと、ラドフォード公爵が悩ましげに呟いていた。
 
                ◆

 ルディオが仕事のついでにフィサリウスへ報告するとのことで、エリザは王宮に行く彼へ今回のことを手紙にまとめた。

 書いた内容は、もちろん先程のクリスティーナの件だ。

(もし彼女が実行者だと分かったら、殿下の調べ物もの一気に解決に向かうかもしれないし)

 ジークハルトは、一度気絶すると四時間は目が覚めないらしい。

 気絶したのは正午前だ。夕刻頃まで目覚めないだろうとラドフォード公爵も言い、少し用ができたとのことで彼も王宮へ行くことになった。

「はぁ、それでセバスチャン様もいないわけか」
「はい。なんか、急ぎで結局みんな出て行ってしまって」

 昼食を済ませたのちに屋敷の主人がいなくなってしまい、治療係としてどうしたものかとエリザは困っていた。

 指示を仰げばよかったと玄関ホールでうろうろしていたら、料理長のサジが顔を覗かせてきたのだ。