いや、そもそも蕁麻疹の件については、彼はひどく混乱して泣いていたのだ。もしかしたら女性感知能力も、誤作動を起こしたのかもしれない。

(そうだよ。あれだけ高性能なんだから、まさか肉体レベルで私が男認定されるとは思えないし!?)

 自分に言い聞かせるようにエリザは思った。

 今後は、気を付けよう。そういったん胸を落ち着けた時、ジークハルトに覗き込まれてハッとする。彼のアイスブルーの瞳が、期待に輝いていてびっくりした。

「ジークハルト様?」
「エリオの指導が、ご褒美をいただける仕様だったとは気付きませんでした。子供のうちだけだと思っていたので、嬉しいです」

 まさか、食いついてくるとは思わなかった。

「えーっと…………その、頑張ったらご褒美、っていう方が気持ち的にも楽しく頑張れるかなぁ?と思いまして」

 彼は中身が幼いのだろうか。

 だが、まぁ、出まかせの発言とはいえ、彼がやる気になってくれるのであればエリザとしても歓迎だ。