その後、物語が進むが遂に結末はまだ思い出せないまま途中まで描いた話の最後が終わってしまいどうしようか悩んでいた次の日突然に魔王軍とやらが街に攻めてきて戦争状態 になった、豊はあれで描いた話が終わりのはずだが話の展開が続いていることにもしかしてまだ続きを描いていたのかと思い始めた。 けれど突然クルトが冒険者メンバーを引き連れて直接魔王軍の本拠地まで行き魔王を倒 してこの戦争を終わらせると言い出した時これは明らかに自分で描いていない話が展開し 始めていると思った。 それで何故自分では描いていない物語が勝手に動き出すのか不思議に思いながら結局結 末が分からないまま冒険者メンバーとともに魔王を倒す旅が始まり今までは物語は描いた とおりに進んだがここからは自身も分からない物語が始まった。
それから自身も先を知らないストーリーが繰り広げていることに胸が高鳴ってときめいて おりこれまでのこの先どうなるか知った上でストーリーが繰り広げているのとは気持ちに差があることに気づいた。 それに漫画を描く時にこの気持ちを応用すればモチベーションが維持できおもしろいの が描けるのではないかと気づき始め、物語は結末を決めてから描くよりも結末を決めずに 読者も作者もこの先どうなるか分からない状態で漫画を描いた方がいいのではないかと思ったのだ。 それから魔王軍の本拠地に着き突入すると豊は結末が思い出せない不安よりも得体の知れ ないモンスターがいることや予測の付かない物語の展開にこの世界を作った豊本人自身が楽しんでいた。
遂に魔王の居場所に突入するとそこには巨大なドラゴンの姿をした魔王がおり豊はこの世 界を描いた作者すら知らない未知の凄まじい迫力的なドラゴンが目の前にいることにとても興奮していた。 そして苦戦しながらも魔王であるドラゴンを倒した瞬間豊は元の世界に戻っていた。 そこには漫画の原稿が置いてあり豊があの世界で過ごした日々が描かれていた、それで ドラゴンを倒して豊がその世界から消えた後のクルト達の様子が少し描かれていて街に平和が訪れた所で物語は終わっていた。
そして昔の自分はこの漫画の結末は最初から考えていなかったことを思いだした。物語の結末を決めてから漫画を描くと話の展開が分かった上で描くことになるのでワクワクするような気持ちが減ってしまい楽しんで描くことができなくなるとキャラやストーリーが生き生きとしなくなる のであまりパッとしない漫画が出来てしまうのではないかと思っていた。
そしてこの置かれていた漫画の原稿にまだタイトルが書かれていなかったので豊はタイトルを「極みの冒険」あらため「原作者も知らないドラゴン」と付け出したのだ。
それからその漫画を出版社に持ち込むと編集者がキャラに好感を持てるからいい所もあるが漫画のテーマが友情と成長ということはわかったがこのテーマだとありがちすぎると言われそしてこの主人公が不思議な世界に迷こむというのはあまり今の流行りではないから 読者に受けにくいとも言われ名刺を貰えなかった。 けれど豊は自分が描きたいであろう漫画ができたため落ち込んだ気持ちよりも喜びの気持 ちの方が多かった。 そして出版社の編集者は読者には受けないだろうと言われたが自分が本当に描きたいであ ろう漫画を読者に見てもらいたいため今までバイトなどで貯めてきた貯金切り崩し自費出 版をすることに決めた。
それから自費出版した漫画の本は最初のうちは編集者の言った通り読者には受けやしなかったがあとあと主人公が不思議な西洋風の世界に迷いこむという、いわゆる異世界ものが世間で流行り出し 時間を得てやっと豊の漫画が評価されたのだ。 そして豊は漫画家になるにはその時の「運」も必要だということがわかったのだ