「父さん、子どもじゃないだからもう少し我慢してください」
「父さん、大丈夫だよ。本人の気持ちが落ち着いたら連れてくるから」
 正明の言葉に明の顔はパァと明るくなった。
「ほんと?!まさくん大好き!」
 正明に抱きついた後、泰明と宏明を見ると「泰くんと宏くんも大好きだよ」と冗談めかしにいう。

 なんとも言えない顔をしてる正明と対照的に泰明と宏明は苦笑いだ。

 良し悪くも親からすると子どもはいつまでも子供であることを物語ってる。

「父さん、どうでもいいけどそろそろ離して?俺、もう23だからさすがに恥ずかしい。」
「えー」
 明は不満そうに正明を離した。
 その後、泰明と宏明に向くとニヤリ笑う。

「泰くんと宏くんもパパのところにおいでー」

 それにはふたりとも「気持ち悪!」と口を揃えた。

 突然の来客が見えた。
「おす!みんなー久しぶりー」
 その来客に宏明は目を輝かせた。
「和貴!」
「おぉ、久しぶりやな。宏明くん。3人にお祝い持ってきたでー。」

 和貴は、金一封と酒瓶を置いた。
「さすが和貴。話が早いなー」
「当たり前や。俺を誰やと思ってんねん。3人とも共有花嫁を娶ったらしいな。」

「うん。まあね。」と微妙な反応だったのを和貴は逃さなかった。

「なんや?お祝い嬉しくないんか?やろねー。事情が事情やしなー」

 夏都や家庭環境を調べたのはこの和貴だから知らないはずもない。

「しっかし、俺も他人事ながら調査結果を見てはらわた煮えくり返ったわ。ホンマに実の娘することなん?」

 明も「うーん」という顔をした。