診断書も入手し弁護士に原本を提出。
 和泉は夏都のケアを根気よくしてくれた。
 彼女は、娘の生まれ変わりにこんな形で再会することに苦しんでいた。
 夏都は、和泉が娘の面影を重ねることに薄々、気づいていた。
「和泉さん、娘さんがもし生まれ変わったら、私たちにも会いに来てくれると思いますか?」
 そう言って、夏都は微笑んだ。
 和泉は、夏都の言葉に胸が締め付けられた。
「私たちは、きっと再会できると信じています。」
 そう言って、和泉は夏都の手を握った。
 もう目の前に娘の生まれ変わりはいると思ってもいた。

「和泉さん優しいな……お母さんが増えたみたい。」

 ※※※※※※※※
 実家の一室で三人は父親の明と膝を合わせて話をする時間を儲けられてた。

 明は神妙な顔をしている。
「息子たちよ。」
「……」
 三人は明の言葉に黙って耳を傾ける。
「共有花嫁として夏都ちゃんを迎えたのだから喧嘩はせずに3人で守っていくんだよ。」

 正明は「はい。」と返事をする中、泰明は面白くなさそうだ。
 父親だから息子のそういうところを見逃すはずは無い。

「泰くんは腑に落ちないって顔だね。」
「ううん。そんなんじゃない。ただ夏都ちゃんの相手は俺だけで十分とおもってる。それだけ。」
「そうか。宏くんは?」

 先刻まで黙っていた宏明もようやく口を開く。
「俺は不服なしだよ。それで納得してる。」

「分かった。パパはフェアじゃないのは嫌いだから正くんの意見を聞かせてくれないか?」

 正明は意を決して言葉を紡ぐ。
「あの子を独り占めにしようとかそういうことはしない。妹のように可愛いと思ってる。ただそれだけ。」

 正明の頭の中に疑問が浮かぶ。
「父さん。聞きたいことがあるけど、いいかな?」
「構わないよ。何?」
「いきなり母さんを向かわせるのはどうかと……」
 正明の問に明は頭をかいた。
「君たちの母さんは言い出すと聞かないんだよねー。」
 三人とも「あー」と察したような顔をした。

「もしかして母さんが行きたいと言い出したの?」
「うん。当たり。早く会いたいと言ってたからねー」

 4人とも顔を見合わせため息をついた。
 妻や母親の頑固さに頭を抱えてしまう。

「パパも夏都ちゃんに会いたいけどダメかな?」

 父親の問いに言うと思ったと言わんばかりに3人とも「ダメです」と即答するのであった。

「やっぱりダメ?パパも早く夏都ちゃん会いたいよー。母さんや正くんたちだけずーるーいー」
 明はまるで子供のように拗ねてしまった。
 3人がダメですと言うのは当然だ。
 もし、男性が来ると夏都が気を使うからだ。