容姿にコンプレックスがあると言っていた宏明は小中高、勉学や部活に撃ち込んでいたとのことだ。
 
 そういった話をずっと、宏明の意外な子供時代の話を聞けた。

 「なんか、ヒロ兄ちゃんかわいいね」
 「男にかわいいいうなよ」

 宏明は夏都の言葉に顔を赤くした。

 ――――
 二日目……。
 
 夏都は買い物から帰った時だ……。
 ドアを開けきれずチャイムを鳴らした。

 ――ピンポーン。

 「はーい」
 そう聞き慣れない女性の声が響く。
 夏都は「え?え?」と戸惑うもドアが開くのを待った。

 ――ギィ……。
 ドガが開くと高身長でスラリとした美女が顔を出した。

 「あの……どちら様ですか?」
 「……」
 美女はしばらくの沈黙の後、「俺だよ」といきなり男性の声を発した。

 「え?この声はヒロ兄ちゃん!?」
 「そうだよ」
 シャニ二人の短いやり取りに『やっぱりな』と言いたげな顔だった。

 『ヒロアキ、ママの目はごまかせても俺の目はごまかせないよ。』
 「けっ、言うじゃねぇかよ。今のこと和貴にチクってもいいんだぜ?」

 宏明はにたっと笑うとシャニは『ゲッ!ボスの名前を出すとはひきょうだ!』と反論した。

 「もう子どもじゃないんだから、やめな?」

 宏明は「わーたよ。」と渋りながらもシャニを茶化すのをやめた。
 シャニも『ごめんなさい。』とシュンとしょげてしまった。

 「ごはん作るからヒロ兄ちゃんはシャニを見ておいてほしいな。」

 宏明は何も言わずにうなづいた。

 「今日は唐揚げ……と」
 夏都は慣れた手付きで唐揚げの仕込みをする。
 料理などの家事はさんざん実家でやらされていたからだ。
 大量の鶏肉とじゃがいもを前にシャニはポツリとつぶやく。