科学的にも猫のゴロゴロ音は癒やされるのは証明されているのも説得力がある。

 「ただいまー、あれ?なつちゃん、シャニ?」

 泰明は「おかえりー」と返事がない家に違和感を覚えリビングまで走ると夏都がシャニを膝に乗せて夢の中にいた。
 そんな様子を見た泰明はクスリと笑う。

 「ただいま。愛してるよ。」
 泰明は眠っている夏都のさくらんぼのような唇に軽くキスをしたあと、そのまま夏都を寝室まで運んだ。

 ベッドの上に寝かせると「ゆっくり休んでいてね。俺のかわいいうさぎ姫」と眠っている夏都の髪を優しく撫でた。

 そして泰明も夏都の隣でそのまま眠りについた。

 ――――――――――
 そして最終日。
 宏明のところに行こうとする夏都に泰明は名残惜しそうにしていた。
 心底惚れている女性が他の男の所に行くのは面白くない。

 「泰兄ちゃん、1週間ありがとうね。」
 「うん。」
 『明日はあいつのところか……』
 「明日は俺が宏明のところまで送るよ。」
 「え?いいの?」
 「うん。なつちゃんとできるだけ長くいたいからね」
 泰明は柔らかく微笑んだ。
 夏都もようやく泰明に心を開いていた。
 恋愛感情かどうかはまだわからないといったところ。

 「泰兄ちゃん……」
 「うん?なに?」
 「泰兄ちゃんはなんでそこまで私に良くしてくれるの?」
 「それは愚問だね。しつこいようだけど俺はなつちゃんのことが好きだからだよ。」

 泰明は夏都にたいする長年の想いを隠そうとしない。
 自分だけをまっすぐ見てくれる。

 正明と同様に最後まで……とは行かなかったけどそれは大事にされている証拠何だと思ってしまう。
 
 この日、一日は泰明と家でゆっくり過ごすことになった。