翌日の朝食の光景。
 
 なんとなく気まずい日々が続く。
 泰明も夏都をチラチラ見る。
 だけど、夏都が見ると目をそらしてしまう。

 告白されてから、返事を保留にしている。

 そんな空気に耐えられず正明は朝食を最後まで食べずに「ごちそうさま」と箸をおいた。

「正兄ちゃん、もういいの?お口に合わなかった?
「ううん。おいしいよ。ただ今日は早めに出かけないとダメなんだ。なつちゃんが悪いんじゃないだ。」

 宏明も箸が進まない状態だ。

「二人ともなんかあったのか?空気重いんだけど?」

「脳内の大半が食欲で占めてるお子さま猿にはわからない大人の事情だよ。」
 
「なんだと!この脳筋性欲ゴリラ!だいたい俺とお前はひとつふたつしか変わらねぇだろ!?」

 正明は二人の頭をはたく。

「お前らふたりともガキだ!小学生レベルの口喧嘩ばかりして。」

 二人とも頭を押さえながら「なんで俺が」と言わんばかりの顔だ。

 「なつちゃんの前でみっともないだろ」
 
 正明の静かな一喝で二人ともおとなしくなる。