「子猫ちゃんあなた、目は宝石のように綺麗だし毛並みも高級タオルのようにふわふわだから……」

 夏都の発言に子猫は『わー』と目を輝かせる。

「お前の名前はシャニ。シャイニー輝くという意味のシャニだよ。素敵でしょ?」

 『それが俺の名前!?わーい』

 子猫もといシャニは嬉しそうに駆け回る。

 宏明と和貴にも『俺の名前はシャニだって』と嬉しそうに言い続けるもふたりには「はい、はい」とあしらわれる。

 『花嫁の守り猫になれたことも名誉だけどそれ以上にその花嫁から名前をもらえたのがうれしいー』

 『俺はシャニ、俺はシャニ』と繰り返す。

 和貴はシャニに切り出した。

「シャニ、どうでもええけど……正明くんや泰明くんの前ではあまりしゃべらん方がええかもなー」

 『なんで?』

 和貴は「さぁな」と含みのある笑いを見せる。

 『なんで?なんで?教えて気になるよー』

 シャニは和貴に肉球を当てるだけの猫パンチを繰り返した。

「あははー痛くないわー」

「和貴、意地悪しないで教えてやれよ。大人げねぇぞ。」

 宏明が制すと、笑いすぎて涙目になった和貴は「悪い、悪い」と続ける。

「正明くんの耳に入ったらお前確実に研究材料にされるで?」

 その瞬間、シャニの動きがピシッと止まった。

「しゃべる猫は珍しいからそれだけでも対象やで?うんで、泰明くんの耳に入ったら……」
 
 宏明は和貴の発言に「うん?」となった。