『うん。喋れるよー』
 宏明と和貴は目を点にして子猫を一瞥した。

「驚いたわー。守り猫って喋るんやなー」
「……」
 和貴が感心する中、宏明は驚きすぎて声も出ない。
「喋る猫とか初めて見たー可愛ええなー」

「しゃ……」

 夏都の震える声に2人はひやひやしてる。

「喋る猫ちゃんだー可愛い!」

 子猫は『えへー』と笑った。
「喋る猫とか平気なん?」
 和貴の問いに夏都は嬉しそうに答える。

「子どもの頃、誕生日に喋る猫をお母さんにオネダリして困らせたことがあるの。」

 夏都は興奮気味にそのことを話し出す。その思い出を語り出すと止まらないと言わんばかりだ。

 『俺、できたら花嫁に名前つけてほしいなぁ』

 子猫の最初のおねだりに夏都も「可愛い。いいよー」とメロメロになっいてる。先ほど、宏明と和貴が紙に書いた名前の一部だけ目にとまるものがあった。

 子猫は二人を見ると前足で『あっかんべー』とした。
 
 その態度に宏明と和貴は「可愛くねー」と青筋を立てている。

 和孝の書いた紙の一部は「SHINE」。
 宏明の書いた紙の一部に「NIKE」。

 それぞれの文字で思いつくものが浮かんだ。